Interview

新しい仕事にチャレンジできる職場だから、成長を実感できる

ミラトレ名古屋

K.Mさん

気分障害(うつ病)

通所期間
約9カ月
就職先企業
豊通ユニファッション株式会社

就職までの道のり

利用開始
週5日、6時間利用
3カ月目
就職活動をスタート
9カ月後
就職内定!ミラトレ卒業

通院しながら卒業論文を書き上げ、大学を卒業

不調に気づいたのは卒業論文の執筆時

障がいがわかったきっかけは、卒業論文を執筆している時に参考文献の本が読めなくなったことです。一つひとつの文字は認識できても、文章として意味が頭に入ってこなくなりました。当時は新型コロナウイルスが感染拡大している時期で、就職活動と卒業論文でやることは多いのに結果が出ない、しかも先行きが見えないことに不安を感じていたのを覚えています。夜になると些細なことで泣いてしまう、感情の起伏が激しくなるなどの症状もあったため、精神科への通院を決めました。

気分障害(うつ病)との診断がついたのは大学4年生の11月です。翌年の夏くらいに自分に合う薬が見つかるまでは、一定のサイクルで調子が悪くなり、体を起こすのもつらい時期がありました。休養期間の1年間で体調を整えながら卒業論文を書き上げ、大学5年目に卒業しました。

ミラトレの「利用者主体の雰囲気」に魅力を感じて、利用を決意

卒業論文を提出後、中断していた就職活動を再開するために就職エージェントに登録しました。そこでエージェントから勧められたのがミラトレです。ミラトレに出会うまでは現状の課題感を人と話す機会がなく、障がい者雇用についてはもちろん、自分のこともわかっていなかったように思います。ミラトレの体験利用を通じて、「体調に不安があるからこそ、周囲に理解してもらいながらはたらきたい」という思いに気づき、そのためには障害特性や配慮事項について自己理解を深める必要があると実感しました。

ミラトレの他にも就労移行支援事業所を見学しましたが、ミラトレだけに感じた「利用者主体の雰囲気」が決め手となり、利用を決意。講座の合間やお昼休みに利用者同士が交流している様子も好印象でした。

職業準備性講座や擬似就労を通じて、自己理解を深められた

社会人としてはたらくための基礎を習得

ミラトレの通所期間は約9カ月間です。体調が安定してきた時期だったので、当初から週5日、6時間利用しました。早期就職を目標にしていたこともあり、ミラトレ支援員には日々の体調管理から面接練習まで幅広くサポートしていただき、大変心強かったです。支援員の前職について話を聞かせていただいたのも勉強になりました。

課題に感じていた障害受容や自己理解については、職業準備性の講座や擬似就労で深めていきました。職業準備性の講座では、一般企業での就労に必要な力を養えます。一方、擬似就労では実務に近い環境でビジネススキルを習得。社会人は「体調に配慮しながら、決められた時間の中で結果を出さなければならない」と気づけたのも、大きな学びでした。社会人としてはたらくための基礎づくりに、大変役立っています。

合理的配慮を誤解なく伝えられ、安心感を得られた

自身の障がいによる困りごとへの配慮(合理的配慮)は、相手に通じる言葉に変換する必要があると講座で学びました。自分の苦手なことを洗い出したり、どのように説明するかを考えたりして配慮事項を整理すると、障害特性や自分自身の全体像が見えるようになりました。障がいについて誤解なく伝えられる言葉を持てたことが、大きな安心感につながっています。

ただ、障がい者雇用への理解度の差から、些細なやりとりで誤解を生んでしまった経験もありました。自分の伝えたいことが相手に伝わるとは限らないことを念頭に置き、誤解を生まない伝え方ができるように日々努めています。

就職活動での目標は、自分で考えて取り組める仕事に就くこと

こだわったのは「主体的にはたらける仕事かどうか」

就職活動で大切にしていたのは、「自分で考えて取り組む仕事をしたい」という思いです。自己理解を深める中で、体力的に負担が大きい仕事や単純作業は自分に合っていないと感じていました。業界にはこだわらず、「主体的にはたらける仕事かどうか」を軸に探しました。就職先企業との出会いは、ミラトレ支援員の紹介です。

面接での受け答えに課題を感じ、繰り返し練習

就職活動で苦労した点は、企業側からの質問について文面上の意味と実際に聞きたいことの乖離です。たとえば、「休日は何をしていますか?」という質問は、「休日の過ごし方」を聞かれているのではなく、「ストレスの発散方法を持っているか」などを知りたいのだと考えました。このように、企業担当者が実際に聞きたいことを推し量るのが難しかったです。事前にできるだけ質問の意図を把握できるように、面接練習に努めました。

また、いくら準備をしても緊張してしまうので、面接では柔らかい雰囲気を出すように意識していました。支援員から「普段は朗らかなのに、面接練習になると顔がこわばっているよ」と言われたこともあります。とにかくリラックスするために、手のストレッチをして物理的に体に力が入らないように工夫していました。

「自分で考える仕事」に挑戦させてくれる職場に出会えた

同僚との積極的なコミュニケーションは、はたらきやすさにつながる

現在は総務部経理グループに所属し、経理業務だけでなく、総務人事グループの業務も一部担当しています。主な業務は、経理の入金消込や仕訳、支払いなどです。入社してから触れた簿記では、自分の判断した勘定科目が過去の仕訳と合っていると、小さなやりがいを感じます。また、予算の管理や複雑な工程をスムーズにできた時や、担当業務以外にもプラスアルファですべきことに気づけた時には成長を実感します。単純作業だけでなく、自分で考える仕事にも挑戦させてくれる職場に感謝しています。

今年度から支払いや計上などの経理業務を本格的に任されるようになったので、まずはそれを完璧にするのが目標です。今は勘定科目の正確さや、支払いまでの流れをしっかりつくることに取り組んでいます。また、同僚との積極的なコミュニケーションも心がけています。例えば休憩中に趣味の話をするなど、業務外の会話がきっかけで、業務に関する質問や相談もしやすくなりました。

ミラトレは、共感できる仲間とともに今の自分と向き合える場所

ミラトレには、周囲に理解されにくい障がいについての悩みや困りごとを共有し、共感し合える仲間がいます。私は講座や支援員のサポートを通じて、自分ができないこと・できなくなったことを受容する大切さを学びました。それは時に苦痛を伴うこともありますが、それでも自分を理解し、受け入れるところから始まると思います。皆様にとっても、ミラトレとの出会いが、今の自分と向き合うきっかけになることを願っています。

企業担当者コメント

豊通ユニファッション株式会社

自分の考えや想いを発信して、将来的にはリーダーを目指してほしい!!

  • 豊通ユニファッション株式会社
  • 総務部 総務人事グループ グループリーダー 塚原京子様
  • 総務部 総務人事グループ 勝木鈴菜様
    (2023年7月現在)

豊通ユニファッション株式会社は、トヨタグループ理念に基づく商品づくりと、ユニフォームアパレルとして長年にわたり蓄積されたノウハウを基盤に、企業ユニフォームの企画販売を展開しています。当社のようにデザイン部門を擁するユニフォーム会社は少なく、お客様のニーズをデザインに反映できるのが強みです。障がい者雇用については、「ご本人がいきいきとはたらける環境を従業員と一緒につくり上げていく」という方針のもと、ご本人の得意分野を活かしながら信頼関係をつくり、双方向でしあわせな環境づくりをしようと、従業員のエンゲージメント向上に取り組んでいます。

Kさんの第一印象は、「明朗快活」です。企業実習に参加いただいた時から、やる気に満ちた印象を受けました。当社は少数精鋭のため、障がいの有無にかかわらず一人ひとりが考え、さまざまな業務にチャレンジしてもらうことが必要です。Kさんの、何にでも興味を持ち、「積極的に業務を理解したい」「新しい取り組みでもやってみたい」という姿勢を評価し、採用に至りました。現在は経理の基礎を習得いただく段階ですが、既に同僚を助けようとしてくれる思いも強く、入社一年目ながら難しいプロジェクトへの挑戦意欲もあり、高く評価しています。

今後期待することは、謙虚な気持ちでまずはできるだけ多くのことを吸収すること。そして自分の考えや想いをどんどん発信して、将来はリーダーを目指していただきたいと思っています。

※企業の表記ルールに合わせ、「障がい」「働く」と記載しております。
※所属・役職ほか記事の内容は取材当時のものです

就労移行支援事業所
ミラトレ名古屋
所在地 :
愛知県名古屋市西区那古野2-25-11 スクエアオフィス名駅 3F
営業時間:
8:45 – 17:45
電話番号:
052-433-3543