Interview

努力や苦労を大きな糧に、やりがいのある仕事で勤続3年を目指す

ミラトレ横浜関内

O.Hさん

双極性障害

通所期間
1年間
就職先企業
エイヴィエルジャパン株式会社

就職までの道のり

利用開始
利用当初は週3日は午前中のみ、週2日は終日利用
3カ月目
週2日は午前のみ、週3日は終日利用に切り替え
7カ月目
週5日終日利用となり、就職活動をスタート
1年後
就職内定!ミラトレ卒業

仕事の繁忙期が終わった後、体調を崩すように

システムエンジニアとしてキャリアを積む中、体調を崩し約8年勤めた会社を退職

現在は「エイヴィエルジャパン株式会社」の人事総務部IT課に所属し、社員のパソコンのセットアップや管理などの業務に携わっています。

前職は、IT業界の企業2社でシステムエンジニアとして勤務していました。1社目は、3年間勤めた後に転職。2社目でもシステムエンジニアのキャリアを積んできましたが、仕事の繁忙期が終わった後に体調を崩すようになりました。頭がはたらかず一日中ボーっとする日が続いたり、倦怠感や吐き気などで出勤できなくなったりという状態になり、クリニックを受診したところ、うつ病と判明。その後は踏ん張りがきかなくなって休職に至ります。9カ月の休職期間を経て、約8年間勤めた会社を退職しました。当時は仕事を続けたいのか、続けたくないのかも考えられない状態だったことを覚えています。

なかなか体調が回復しなかったため、病院を変え、新しい医師の診断を受けたところ、双極性障害だとわかりました。幸い再発はしていませんが、いつまた発症するかわからない不安や、通院と服用を続けなければならないことに、少し生きづらさを感じています。

リワーク利用を経て、就労移行支援事業所へ

退職後、回復を待って利用したのが、主治医に勧められた病院の「リワーク」です。リワークを利用する前は生活リズムが乱れ、体力も衰えていましたが、徐々に一般的な生活リズムを取り戻していきました。しかし、リワークの卒業を控えているにも関わらず、就職活動やはたらくことへの不安を拭いきれずにいました。主治医から「就労移行支援事業所を利用する選択肢もあるのでは」との提案を受け、リワークの支援員から紹介された「ミラトレ横浜関内」の利用を決意。生きていく上で社会復帰は必要ですが、ときには急がない選択も大切だと実感しています。

安心感とほどよい緊張感の中で「現場感覚」を取り戻せた

新しい事業所の新鮮な環境と、支援員の丁寧な対応が好印象

私が「ミラトレ横浜関内」の説明会に参加したのは、事業所が開所して間もない頃でした。新鮮な環境と少人数という状態は、当時集団に混じることに抵抗を感じていた私にとって通いやすい環境だったと認識しています。通勤訓練としてもほどよい距離の立地だったことも、ミラトレを選んだ理由です。また、支援員の皆さんの丁寧な対応も好印象で、ミラトレを利用する決め手になりました。

ミラトレの利用期間は1年間です。利用当初は、週3日は午前中のみ、週2日は終日利用というペースでしたが、支援員の提案を受け入れながら段階的に増やしていき、最終的には週5日終日利用となりました。自分の体調と向き合いながらペースをつかめたのがよかったです。

支援員が自分の状態を把握してくれているという安心感が支えに

ミラトレでは毎朝、支援員と体調確認を行います。一日の始まりに親身に話を聞いてもらえたのが印象的でした。また、その時に話した内容は事業所内の支援員同士で情報共有され、支援員全員がその日の自分の状態を把握してくれているのは、大きな安心につながりました。

ミラトレでは、午前中は講座、午後は擬似就労という流れで過ごすことが多かったです。擬似就労では、支援員が会社の上司のように接する環境を提供してくれたことで、はたらくイメージを取り戻せました。ほどよい緊張感の中に身を置けたことで、実務で求められる「正確さ」も意識できたと思います。

企業実習を経験したことで就職活動の軸を持てた

前職の経験を活かせる仕事も視野に入れて、就職活動を開始

ミラトレの利用頻度や体調が安定してきたタイミングで就職活動をスタート。前職と同じパソコンを使う仕事として職種を事務職に絞り、選考前提の企業実習を2社経験しました。企業実習を経験して感じたのは、もう少し自分の経験に合った仕事に就きたいとの思いです。やはりIT関連の仕事も視野に入れて就職活動を続けました。

就職先企業のエイヴィエルジャパン株式会社との出会いは、支援員からの紹介がきっかけです。求人票に「パソコンのセットアップ」との記載があり、前職での経験を活かせるのではないかと考え、応募。前職では、パソコンやサーバー、OSのセットアップなどのインフラ方面のシステムエンジニアだったため、「これだ」と思いました。

面接問答集を作成し、模擬面接で何度も練習

面接時のことは緊張しすぎてよく覚えていません。1次面接はその日のうちに結果をいただき、あまりの早さに驚きました。努力をして準備を進めてきた結果が実り、嬉しかったのを覚えています。一方、最終面接では結果のご連絡までに時間があったので諦めかけていましたが、内定をいただけて嬉しかったです。

就職活動で苦労したのは、職務経歴書の作成と面接対策です。特に、自身の特性を伝えることに関しては難しさを感じました。配慮事項を整理するために、再発の要因となりうる「睡眠時間が削られること」「ストレスがかかること」を洗い出しました。支援員から「精神面を考慮して極力苦手なことは配慮事項に挙げてもよいのでは」とアドバイスをいただき、迷わずに整理できたと思います。面接問答集を作成し、何度も練習したことが自信となり、当日は力みすぎずに臨めたのが良い結果につながったと感じています。

仕事にやりがいを持ち、安定的に長くはたらき続けたい

やりがいを感じるのは、トラブルを解決したとき

現在担当している業務は、社員のパソコンのセットアップと管理、モバイルの管理やSIMカードの発注、パソコンやモバイルの梱包と発送、請求書のデータ入力、ユーザーサポートなどです。仕事を進めていく上でトラブルはつきものですが、一人で抱え込まず、先輩社員や上司に相談しながら解決できた時にやりがいを感じます。

ミラトレの講座で業務に役立っているのは、Excel講座で学んだvlookup関数とメンタルケア講座です。メンタルケア講座では、物事にはさまざまな視点があるという気づきを得ました。講座を通してさまざまな見方や考えを知れたことで、気持ちを落ち着かせたり、もう一歩先を考えたりするきっかけになっています。

勤続1年を達成。3年目達成に向けて堅実に進んでいきたい

入社時に当面の目標としていた勤続1年を達成できました。次の目標は、勤続3年です。安定してはたらき続けられるよう、薬を飲み忘れず、生活リズムを崩さないように心がけ、堅実に進んでいきます。

私には入社初日から持参しているノートがあります。教わったことをすぐに書き込み、必要に応じて何度も見返してきました。大抵のことは頭に入っていますが、自身の成長を実感できる大切なアイテムです。私は努力や苦労が苦手ですが、今の自分があるのはこれまでの努力や苦労のおかげだと考えます。ミラトレでの経験も、次のステップへの大きな糧になっています。

企業担当者コメント

ITスキルの高さを評価。少しずつ業務の幅を広げていってくれることに期待

  • エイヴィエルジャパン株式会社
  • 人事総務部人事課 尾田みず希様
  • 人事総務部IT課 IT課長 山光弘靖様

エイヴィエルジャパン株式会社は、オーストリアのグラーツに本社を置くAVL社の日本法人として、主に自動車のパワートレイン開発に向けて最先端技術とソリューションを提供しています。当社では障害のある社員も安心して勤務できるよう、一人ひとりに合わせて周囲が協力し合える環境を整えています。

Oさんの選考時に印象的だったのは、IT技術の高さです。過去の経歴からも明らかでしたが、受け答えもしっかりしていて、一緒にはたらきやすいだろうと感じました。

現在は、予定や日程を組みやすい業務を担当してもらっています。Oさんから同じ質問を2回受けたことはなく、仕事も安心して任せられますし、確実に業務を遂行してくれるため評価も高いです。だからこそこれから期待する部分でいうと、スケジューリングできない業務への対応です。トラブル対応などの突発的な業務は負担が大きくなるため、慎重に見極めながら、少しずつ業務の幅を広げていってくれることに期待しています。

※所属・役職ほか記事の内容は取材当時のものです

就労移行支援事業所
ミラトレ横浜関内
所在地 :
神奈川県横浜市中区尾上町6-83 東横尾上町ビル 1F
営業時間:
8:45 – 17:45
電話番号:
045-305-6642