失敗を糧に自分自身が変わることで、やりがいを感じる仕事に出会えた
ミラトレ横浜関内
K.Dさん
発達障害
- 通所期間
- 約7カ月
- 就職先企業
- 田辺パルムサービス株式会社
就職までの道のり
- 利用開始
- 週5日利用(週4日午前中のみ、週1日終日)
- 3カ月目
- 就職活動をスタート
- 6カ月目
- 就職内定!
- 7カ月後
- ミラトレ卒業
障がいを受け入れることで前向きに
転職を繰り返す中で自身の障がいに気づいた
大学卒業後は研究職や接客業、物流業、ガスの技術職などさまざまな仕事に就きましたが、コミュニケーション面で苦労する場面が多く、転職を繰り返していました。障がいに気づいたきっかけは、接客業時代の先輩社員から業務の習熟度や職場でのコミュニケーションに関して叱責を受けたことです。以前の職場でも似たような経験をしていたこともあり、私には何らかの障がいがあるのではないかと考えて病院を受診。検査を受けた結果、発達障害と診断されました。
障がいがわかったことで一般雇用での就労は難しいと判断し退職に至りますが、「自身の障がいを受け入れることで前向きにはたらけるようになる」と、ポジティブにとらえることにしました。「両親を安心させたい」「親孝行をしたい」という気持ちも強かったです。
ミラトレ利用者が訓練に励む姿に感銘を受けて通所を決意
ミラトレを勧めてくれたのは、dodaチャレンジのキャリアアドバイザーです。正直その時点では訓練の必要性がピンと来なかったのですが、体験利用をしたミラトレ横浜関内で、利用者同士が協力しあって訓練に励む姿に感銘を受けて、考えを改めました。「これ以上離職を繰り返したくない」という思いもあり、ミラトレ利用を決意しました。
訓練に集中するためにスケジュール管理を徹底
支援員のアドバイスで作業の効率化を体感
前職を退職してから約2カ月後にミラトレ利用をスタート。諸事情があり、週4日は午前中のみ、週1日は終日利用していました。短い時間で訓練効果を高めるために心がけていたのは、予習復習です。私は覚えるまでに時間がかかるという特性があるため、日々の訓練でトライアンドエラーを繰り返しながら、実践的に身につけられるように意識していました。短い訓練時間の中で最大の効果が得られるよう、支援員の皆さんに計画・相談の手配などを対応していただけたことも大きかったです。
支援員からのアドバイスで印象的だったのは、日報を書く際の考え方やコツです。まずは枠組みをつくって肉づけしていく形で進めれば、時間を短縮できるということ。いきなり細部を詰めすぎるのではなく、「まずは全体を把握する」という気づきを得られたことで、30分かかっていた作業を最終的には5分で終わらせることができるようになりました。
スケジュール通りに1日を過ごすことで生活リズムをコントロール
常に最高のコンディションで取り組むには、体調管理も重要な課題です。経験上、私の場合は睡眠が仕事のパフォーマンスに影響するため、睡眠時間を確保できるように1日のスケジュールを組み立てました。規則正しい生活と適度な気分転換でモチベーションを維持することで、講座や訓練にも集中できたと感じています。
ミラトレの講座で克服できた「自己分析」
自己分析を通じて得手不得手を伝えられるようになった
ミラトレの講座を通じて克服できたことの一つに「自己分析」があります。自分の長所や短所を書き出し、短所についてはなぜ苦手なのかを分析します。同じようにミスや失敗についても振り返るクセがつき、苦手なことへの対策を立てられるようになりました。自己理解を深められたことで自分の得手不得手を整理でき、他の人にも具体的に伝えられるようになったのは、大きな成果だと実感しています。
実践の場となった「参加報告会」
実務で役立っているのは「参加報告会」という講座での経験です。参加報告会では参加者の前で自己紹介や訓練時の目標などをスピーチします。私は人前で自分のことを話すのも、決まった時間内でスピーチするのも経験が少なく、最初は上手く話せませんでした。
そこで、「時間内にわかりやすく伝える」という目標を立て、スピーチのポイントを練り直し、時間を計りながら練習を繰り返したのです。最終的には「伝えたい内容がわかりやすく、抑揚がついてよかった」というフィードバックをもらい、ホッとしました。これまでは失敗しても落ち込むだけで次につなげるという考えに至らなかったのですが、失敗から学ぶ姿勢で取り組めたのは、ミラトレでの訓練のおかげです。
実際の業務でも、ミスをした際は「自分自身を変えない限り今までと同じ過ちを繰り返す」と考えられるようになり、常に危機感を持ちながら一つ一つの業務に取り組めています。
企業実習を通じて希望職種の幅が広がった
もともとは研究職に携わる仕事を希望
大学での学びや前職での経験を活かしたいとの思いから、研究職に携わる仕事に就きたいと考えていました。ミラトレ横浜関内のセンター長から就職先企業の求人を紹介してもらったのですが、当初は経験のない事務職での求人に迷いがありました。未経験の事柄をイメージするのが苦手なため、どのような仕事をするのか想像がつかなかったのです。
事務職として研究をサポートできる業務内容に魅力を感じた
支援員に背中を押されて参加した5日間の企業実習では、実際の業務や実務で求められるチームワークなどを体験でき、事務職としてはたらくイメージを膨らませることができました。事務職でも研究を支える仕事ができることにやりがいを感じて、入社意欲が高まったのを覚えています。実習先の指導スタッフの人柄や職場環境づくりに力を入れている会社の姿勢も大変魅力的だったので、この会社に入社して貢献したいと思いました。
応募書類の準備や面接対策のサポートなどスムーズな就職につながる支援をご用意しています。
ミラトレの細やかな就職支援
後輩を指導する機会に備えてスキルアップしていきたい
指導スタッフやメンバーの良いところを真似ることも大切
現在の主な業務は、研究で使う資材(ガスボンベやドライアイスなど)の管理、請求書処理、従業員リストの管理、施設・設備点検です。業務を介して知り合った他部署の社員などから直接感謝の言葉をかけてもらうこともあり、やりがいを感じます。
チームメンバーとのコミュニケーションで心がけているのは、相手が好きなことや得意なことを把握することです。相手の良いところを見つけた際は、「真似させていただきますね」と声をかけるなどしてコミュニケーションを図っています。指導スタッフやメンバーの良いところを真似て、スキルの習得につなげることも大切にしたいです。
業務の幅を広げることが目標への第一歩
今後の目標は、「特定のメンバーや指導スタッフしかできない業務をなくすこと」と「人にわかりやすく教える力を身につけて、将来後輩に教えられること」の2つです。この目標に向けて、担当業務以外にも業務の幅を広げられるように、日々精進しています。また、前職などで後輩を指導する機会があり、教えた人が現場で活躍している姿にやりがいや喜びを感じていました。現在の職場でも後輩の指導を任される日が来るかもしれません。そのときに備えて、一つ一つの業務の正しい知識を習得して、スキルアップしていくことが目標です。
ミラトレは自分自身を変えられる場所
私にとってミラトレは、社会人として役立つスキルを身につけるとともに、自分自身を変えることができた素敵な場所です。ミラトレでの訓練を受けながらコツコツと努力したことにより、人生が良い方向に動き出したと実感しています。迷っている方には利用をおすすめしたいです。
※企業の表記ルールに合わせ、「障がい」と記載しております。
※所属・役職ほか記事の内容は取材当時のものです。
企業担当者コメント
業務進捗や全体を見渡すようなリーダーシップにも期待
(2024年4月現在)
田辺パルムサービス株式会社は、田辺三菱製薬グループの特例子会社です。親会社の田辺三菱製薬プロビジョン株式会社を窓口に、グループ各社からデータ入力や請求書の送付など、定型性が高いオフィスサービス系業務を中心に受託しています。大阪、東京に次いで2021年1月に設立した横浜事業所には、現在、Kさんも含めて4名の方が障がい者雇用として勤務しています(2024年4月時点)。
Kさんが参加してくださった選考を兼ねた企業実習は、当事業所を立ち上げて初めての採用活動でした。Kさんは自身の特性を踏まえて必要な配慮をしっかりと伝えてくれたのが印象的でしたね。実習で特に評価したのは、間違いや指摘を謙虚に受け止め、注意事項をメモして次に活かそうとする姿勢です。実直な人柄や真面目さ、コツコツ努力できる点も採用の決め手となりました。
当職場で一番大切にしているのは、障がい特性や得手不得手を伝えあえる環境づくりです。一人ひとりの得意を活かし、できないことは補いあえる関係性の構築を目指しています。そのため、失敗を話しやすい雰囲気も重視しているのですが、Kさんは率先してその日の失敗と対策について話してくれます。すぐに原因を追究し、同じ失敗を繰り返さないための努力ができる人です。現在では失敗もかなり減りました。
Kさんに今後期待することは、業務進捗や全体を見渡すようなポジションでのリーダーシップです。メンバーに対しても良い影響を与えてくれていますが、抱え込み過ぎないようにバランスを取ることが課題でもあります。私たち指導スタッフとの面談やミラトレの定着支援などを活用し、定年まで勤めたいという目標に向かって日々やりがいを感じながら仕事に取り組んでほしいと思います。