Interview

幅広い業務に挑戦できる会社で、さらに成長していきたい

ミラトレ川越

Hさん

持続性抑うつ障害(気分変調症)

通所期間
11カ月
就職先企業
スマートキャンプ株式会社

就職までの道のり

利用開始
利用当初は月・水・金の週3日利用
6カ月目
週5日通所できるように
7カ月目
就職活動をスタート
11カ月後
就職内定!ミラトレ卒業

社会復帰したいけど、再就職するのがこわかった

学生時代から感じていた「しんどさ」

現在は「スマートキャンプ株式会社」の経営管理本部に所属し、主にバックオフィス業務を担当しています。

前職は、コールセンターでオペレーター業務や事務業務に従事していました。高校生の頃から心配や不安が強く、特に対人関係において人より疲労が激しかったと思います。大学生になってもしんどさは感じていましたが、就職して環境が変われば状態は改善され、自身も変われると考えていました。

ところが、はたらき始めると極度に落ち込む頻度が高くなり、体重も減少。周囲から「様子がおかしい」と心配され、病院を受診しました。医師に高校時代から悩んでいたことを伝えると、障害名を告げられたのです。コールセンターの仕事は基本的に喋りっぱなしで、気が休まらないと感じていたため環境を変えたほうがよいと思い、短期間の休職を経て退職しました。

社会人に戻ることに不安を感じ、就労移行支援を選択

前職を辞めてからは、社会復帰に向けて何か行動を起こさねばと焦っていたのを覚えています。退職後すぐにハローワークで就職活動を始め内定をもらっていたのですが、社会人に戻ることに不安や恐怖を感じていたため、内定を辞退しました。

そんな時、インターネット検索で就労移行支援の存在を知り、まずはこれからのことを相談できる環境が必要だと考え、就労移行支援を利用しようと決意しました。

ミラトレでのトレーニングで、はたらくイメージが湧いた

オフィスさながらの環境で学び、表現する楽しさも思い出した

就労移行支援事業所は、「ミラトレ川越」を含めて3カ所ほど見学しました。その中でミラトレを選んだ理由は、「近すぎず遠すぎず、電車を使う距離」「パソコンを使った訓練が中心」「コミュニケーションを重視した環境」という3点が自分に合っていると感じたからです。電車通勤を想定して通えましたし、ミラトレではオフィスの中ではたらいているイメージをつかみやすかったのもよかったと感じています。

ミラトレを利用していた期間は、2020年9月1日〜2021年7月30日までで、体験利用も含めて11カ月間です。3カ月目までは月・水・金の週3日の利用でした。5カ月目から週4日、6カ月目からは週5日というように、体調を整えながら利用頻度を増やしていきました。他の利用者の皆さんとの作業やコミュニケーションをとる中で、徐々に気持ちが明るくなれたと感じています。

次第に積極的に動けるようになり、土曜の開所日に開催するレクリエーションの企画なども担当。お気に入りの本をプレゼンし合う「ビブリオバトル」を企画し、発表しました。参加者からポジティブなフィードバックをもらえてうれしかったです。これらの経験を通して、「自分にも伝えられることがある」「伝えるのは楽しい」という感覚を思い出せました。

自分の行動について「労力」と「効果」を見える化するマトリクス

ミラトレで印象に残っている講座は、マトリクスを用いて自分の行動に関する「労力」と「効果」を見える化する講座です。このマトリクスを使えば、自分は何をするとどのくらい回復できるのかを整理できます。

体調が落ち着いているときに、いろいろなパターンのリラックス方法を書き出しておくのがポイントです。事前にリストアップしておけば、その場で考える労力を減らせます。感情のコントロール方法を見つめ直せたことで、明るい気持ちでいられる時間が長くなりました。

チャレンジ精神を認めてくれた企業との出会い

障害特性への配慮は必要。でも仕事の幅は狭めたくなかった

ミラトレを利用し始めてから7カ月が過ぎる頃、就職活動をスタート。障害者の就職支援サービスのキャリアアドバイザーに就職先企業を紹介してもらいました。その中に現在勤めている企業もあり、「勢いのある企業だけど風通しがよく、Hさんのチャレンジしたいという気持ちに応えてくれるのでは」と勧めていただいたことが印象に残っています。

はたらく上で障害特性への配慮は必要ですが、障害を理由に仕事の幅を狭めるのは嫌だと考えていたので、興味を引かれました。しかしながら、「ベンチャー企業」「港区のきれいなオフィス」といったイメージには正直怯えました。
ですが、公式サイトなどで企業理解を深めるうちに、自分の中に新しい可能性が広がったように感じました。チャレンジするつもりで応募し面接まで進んだ時、対応してくださった面接官が、ベンチャー企業に抱いていたイメージとは一致しない、とても穏やかな方だったので、安心したのを覚えています。

オンライン面接後すぐに採用。実感を得たくてオフィス訪問を希望

コロナ禍での就職活動だったこともあり、面接はオンラインで実施されました。そして面接後すぐに内定の連絡をいただき、とても驚きました。うれしい反面、なぜ自分は採用されたのかを知りたくなって。入社前にオフィスの雰囲気を見ておきたいとの思いもあったので、内定承諾の返事をする前に、もう一度私からお願いして対面でお話しする機会をいただきました。

その際に対応してくださったのが、現在の上司の菊地さんです。菊地さんはやわらかい雰囲気で接してくださり、失礼ともとれるような私の質問にも率直に答えてくださいました。まだ私のように障害者雇用で採用される人が少ない中でも、「一緒にはたらいていきたい」と話してくれました。その言葉に、「この会社なら障害と診断された自身の経験も活かせる」「自分らしくはたらける」と実感。居心地のよいオフィスを見学できたことで、はたらくイメージもよりリアルになりました。

就職活動で注力したのは、自身の障害特性を説明すること

就職活動で注力したのは、自身の障害特性を説明するための自己理解と、その言語化です。私が診断されている「気分変調症」は、名前を聞いても、症状を説明されても、「それは障害なの?」と思う方が少なからずいると思います。障害の説明というよりは自分自身の特徴として説明できることが大切だと考えました。

また、その特徴が仕事上の障壁とならないように対処法についても伝える必要があります。きちんと理解できていることをアピールするため、障害の概要説明や配慮事項など自己理解に時間をかけて整理しました。ミラトレの講座自体が自己理解を促進する内容が多かったので、講座内で作成した資料やエクセルシートも活用しました。

担当できる案件が増え、毎日が充実

新しいことにチャレンジできる職場で、はたらくのが楽しい

社内全体に関わるものなど、幅広い業務に携わらせていただいています。ほぼ毎日ある仕事といえば、郵便の仕分けや新規取引先の与信反社情報集めなどです。

個人情報保護に関する業務やオフィス管理に関する業務などは、菊地さんの手伝いをしながら、自分がメインでできるように勉強中です。名刺の発注や一部データ作成も担当していますが、最近デザインツールの使い方を教えていただき、以前より担当できる業務が増えました。

入社時に思い描いていたように、今までやったことがない仕事を任せていただいています。自分の中の新しい可能性も広がっていくようです。毎日がとても楽しく、充実しています。

目標は安定就労。その上で自身の経験を活かした職場づくりにも携わっていきたい

今後の目標は、まずは自分がしっかり一年間はたらくこと。現在のポジションでは、毎週新しい仕事や発見があります。日々吸収しながら、各事業部の皆さんを少しでもサポートできたらと思っています。

最近、「心理的安全性」という言葉を知りました。今の職場は心理的安全性が高いので、私は楽しんではたらけていると実感しています。今後会社が大きくなり、多様な人材が入社してくる中で、今度は自分が主体となって心理的安全性の高い職場をつくっていきたいです。

現在感じているはたらきやすさや、今後生じるかもしれない課題を、これから入社する人のためにも発信していきたい。その役割を担っていくことも目標の一つです。

これからミラトレを利用する方は、就職活動に限らず、普段の生活の中でも焦る気持ちや暗い気持ちになることがたくさんあると思います。それを話せる人がいるというのは大きいです。まだ就職まで考えられないという方でも、一度支援員の方と話してみると、なにか見えてくるのではないでしょうか。人と関わろうとすることは続けてほしいと思います。

企業担当者コメント

やりたいことをどんどん増やして、活躍の場を広げてほしい

  • スマートキャンプ株式会社
  • 人事本部 内堀奈美様
  • 経営管理本部 菊地桂太様

弊社では、多様な人材が活躍できるよう、誰もが安心してはたらける職場環境づくりに取り組んでいます。障害者採用は約2年前から進め、現在はHさんを含む4名を雇用。うち2名はフルリモート採用で活躍していただいています(※)。

Hさんは、面接時に「いろいろなことを経験したい」と率直に話してくれました。弊社の採用基準として、どれだけ前向きに業務に取り組んでくれるかを重視しているため、Hさんの意思に応えるかたちで採用を決めました。面接の段階から前向きな印象を受けていましたが、入社後は期待以上にさまざまな業務に取り組んでくれています。

これからもアンテナを張りめぐらせて、仕事への興味や関心を増やしていってほしいです。その中で注力したいことがあれば応援します。業務の幅を広げるだけでなく、仕事の深さも担っていってくれる人材だと期待しています。

※2022年4月現在の実績です。

※所属・役職ほか記事の内容は取材当時のものです

就労移行支援事業所
ミラトレ川越
所在地 :
埼玉県川越市脇田本町11-1 川越シティービル 5F
営業時間:
8:45 – 17:45
電話番号:
049-257-4283