Interview

ミラトレ支援員との面談を通じて自己理解を深め、自分の強みにも気づけた

ミラトレ川越

U.Mさん

多動性障害

通所期間
1年9カ月
就職先企業
野村かがやき株式会社

就職までの道のり

利用開始
週5日利用
6カ月目
就職活動を始めるが、体調を崩して中断
1年5カ月目
就職活動を再開
1年7カ月目
就職内定!
1年9カ月後
ミラトレ卒業

ゼミと就職活動の両立に苦労した大学時代

大学4年生の時に自覚症状があり、診断に至った

障がいがわかったのは、大学4年生の時です。ゼミの発表で板書をしながら説明できない、1時間半の発表時間を10分程で終えてしまうなど、発表が思うようにできずに困っていました。幸いなことにゼミの仲間たちは温かく接してくれましたが、周囲の期待に応えられないことが心苦しかったです。当時はゼミの発表だけでなく就職活動への不安もあったので、大学内の相談室に足を運ぶようになりました。そこで初めて自身の状況を相談でき、話を聞いてくださった精神科の先生の紹介で病院を受診し、診断に至ります。

診断を受けた時はむしろ少しホッとし、現状を変えるための解決策があるのではと、明るい気持ちになったのを覚えています。自身の障がいについて話したのは大学の先生だけでしたが、ゼミの仲間たちが自然とフォローしてくれたお陰もあり、変わらぬ大学生活を過ごせました。ただ、ゼミと就職活動の両立に難しさを感じていたのが正直なところです。

就職実績や定着率の高さに惹かれてミラトレを選択

診断後は障がい者採用枠での就職活動を考えていましたが、当時は自身の障がい特性を十分に理解できておらず、面接でもそれを上手く伝えられずにいました。周囲の期待に応えたいと焦っていた時期に、大学の就職相談でアドバイスされたのが、働くことについての経験がないので、まずは訓練が重要ではないかということ。納得した私は就労移行支援事業所へ通うことを視野に入れ、dodaチャレンジのカウンセラーに相談したところ、ミラトレを紹介されました。

いくつか事業所を見学した中で、就職実績や定着率の高さに魅力を感じたのがミラトレです。講座や実務に即した訓練など、自己分析ができる環境が整っているので自分にマッチしていると感じました。一日の訓練の流れが明確だったので、働くイメージをつかみやすかったのも決め手の一つです。また、dodaチャレンジを利用して就職活動を進める上で、連携が取りやすいのではないかとの考えもありました。

ミラトレでは支援員との面談を重ねて、話すことへの苦手意識を軽減

就職活動でアピールできるように通所率を維持

ミラトレの通所期間は1年9カ月間です。大学を卒業後すぐに週5日の利用を始め、半年が経った頃に就職活動を始めましたが、一時体調を崩してしまい、就職活動を中断せざるを得ない状態になりました。しかしミラトレへの通所は続けようと思い、体調について医師に相談しながらも無理なく通所を続けることができました。通所率を維持することで安定感を出し、生活リズムを保つことで就職活動にもつながるので、アピールポイントになると考えたためです。利用から1年5カ月目に就職活動を再開し、約2カ月後に内定をもらいました。

支援員との面談を通じて、障がい特性を整理

ミラトレの支援員には気軽に話せる雰囲気の方が多く、居心地がよかったです。面談では日々の生活の相談や訓練の振り返りなどを行い、それに対するフィードバックを受けることで障がい特性への理解が進んだと感じています。

私は、考えを言葉として整理するのが難しく、相手に伝えることが苦手です。面談を通じてこれも特性の一つだと理解できたことで、「一度にいくつか説明する場面ではメモを活用する」などの工夫によって、対処することができるようになりました。コミュニケーションに対する抵抗感や苦手意識が徐々に軽減され、人と話すことへの自信が持てたのも、支援員との面談の積み重ねがあったからです。

擬似就労で働くイメージを醸成

ミラトレの講座で一番役に立っているのは擬似就労です。擬似就労は実際の業務を想定した訓練で、仕事の流れや時間配分、休憩のタイミングなどの感覚をつかむことができます。これまで私は就労経験がなかったので、ミラトレでの訓練で働くイメージが湧くとともに、これから就労していくことへの安心感を得られるようになりました。訓練を積み重ねた結果、現在の実務でも 活かされていると感じています。また、データ入力やエクセルを使った業務などを実践していく講座もあり、支援員から丁寧さを褒められることも多く、「正確性」が高いことを自身の強みとして認識できたこともよかったです。

障がい特性への理解を深めて、就職活動に臨めた

特性を整理して、アピールポイントを認識

就職活動では、長く安定して働ける仕事内容かどうかを重視していました。それには得意なことが活かせる仕事が大事だと思っていました。ミラトレの訓練によって、正確性を活かせるデータ入力や書類作成を扱った仕事が向いているのではないかとイメージしていました。

就職活動を始めて苦労した点は、障がい特性の整理です。自身の特性をいかにアピールポイントにできるか、支援員との面談でつめていきました。例えば、「一度に複数のことを行うのが苦手」という特性をポジティブに変換すると、「一つのことに集中し、正確性を担保できる」と捉えることができます。障がい特性やアピールポイントを整理してからは、積極的に面接練習に取り組み、自信をつけていきました。

オンライン見学会で理想的な企業と出会えた

就職先企業との出会いは、オンラインの企業見学会でした。野村グループという大きな組織であること、特例子会社として障がい者への理解があること、ミラトレでの訓練が活かせることなどを魅力に感じ、求人への応募を決意。休憩の推奨など無理のない業務体制が整っている点にも、好印象を受けました。

選考面接ではきれいな会議室に通され、慣れない環境にいつも以上に緊張したのを覚えています。面接を進めていく中で動揺する場面もありましたが、これまでの面接練習の甲斐あって、落ち着いて話すことができました。ここまで、順調に進んでいけたのも、講座や疑似就労を通して自身のアピールポイントや障害特性を知り、整理することができたからだと思っているので、ミラトレに通ってよかったと感じています。

入社3年目。工夫や配慮に加えて、正確性を磨いていきたい

やりがいを感じる瞬間は、仕事での工夫を褒められた時

担当業務には、郵送物の仕分けや受け渡し、PDF化業務、社内電話対応、書類のハンコ押し、封入作業、入館カードチェックなどがあり、主に仕分け業務とチェック作業を担当しています。特にやりがいを感じるのは、スムーズかつ正確に仕事を遂行できた時や、工夫したことを周囲から褒められた時です。部署内外を問わず笑顔で接する、一つひとつの書類を丁寧に扱うなど、細かな点にも気を配るようにしています。業務に慣れてきたからこそ、さらなる正確性を磨いていきたいです。

また、同僚とのコミュニケーションではネガティブな発言をせず、お互いが気持ちよく業務を進められるように心がけています。これまでの業務内容はある程度ルーティン化されているものが多く、安定した働き方を実現できています。しかし、日によって求められる内容や業務量などが変わるため、対応が難しいと感じる時もあります。こうした場合に備えて、これまでの業務経験を活かしてより動きやすく、精度が上がる工夫を実践できるようになっていくことが目標です。「小さな工夫を積み重ねることで他部署の方々の役に立ち、所属している会社の存在感を出していきたい」と思っており、それが自身のモチベーションにもつながり、長く働くために必要なことだと考えています。

障がい者雇用について不安や悩みがある方は、まずは見学してみよう

ミラトレは非常に過ごしやすく、スタッフとも相談しやすい環境です。支援員との面談を積極的に活用することで、目標が定まっていくと思います。自分のペースでコツコツ取り組めば、きっと目標を叶えられるはず。障がい者雇用で働くことに不安や悩みがある方は、まずはミラトレを見学してみることをおすすめします。

企業担当者コメント

モチベーションを高く持ち、より一層成長していくことに期待

  • 野村かがやき株式会社
  • 大手町グループ グループ長 髙木茂之様
    (2023年12月現在)

野村かがやき株式会社は、野村ホールディングスおよび野村グループ各社における郵送物取扱業務や入館カード管理、書面の電子化業務などを行っています。「障がい者雇用の促進と安定を通じて、共生社会の実現を目指す」という企業理念のもと、障がいのある社員一人ひとりの成長を通じて、野村グループの発展に貢献することを目標としています。2020年1月23日に野村グループの特例子会社の認定を取得しました。

大手町グループには、現在障がい者雇用としてUさんを含めた21名が勤務しています。20以上の業務をメンバー全員でローテーションしながらまわしていく体制をとっているのが特徴です。障がい特性によって一人ひとり得手不得手があることを踏まえ、みんなでカバーし合えるチームにすることで個々の成長を促し、会社全体を成長させるとの考えを持っています。

面接でのUさんを振り返ると、当社で働きたいとの強い思いを感じさせる方でした。もともと業務遂行能力は高いという印象を持っていたので、特例子会社では物足りないのではとの危惧もありました。就労経験がないことから同僚とのコミュニケーション面で多少の心配はありましたが、実際に就業してみると他のメンバーとの関係性は良好で、仕事へのモチベーションも高く持ち続けています。

後輩社員へのレクチャーや他メンバーの不得手業務の手助けなども積極的に担ってくれており、当初の危惧や心配は全く不要でした。体調面の自己管理もでき、勤怠面も安心しています。引き続きモチベーションを高く持って業務に取り組み、長く勤めあげ、より一層成長していくことを期待しています。

※企業の表記ルールに合わせ、「障がい」「働く」と記載しております。
※所属・役職ほか記事の内容は取材当時のものです。

就労移行支援事業所
ミラトレ川越
所在地 :
埼玉県川越市脇田本町11-1 川越シティービル 5F
営業時間:
8:45 – 17:45
電話番号:
049-257-4283