はたらきながらスキルを磨き、興味があることに挑戦し続けたい
ミラトレ川口
S.Kさん
双極性障害Ⅱ型
- 通所期間
- 9カ月
- 就職先企業
- 株式会社i-plug
就職までの道のり
- 利用開始
- 週4日終日利用
- 2カ月目
- 週5日終日利用
- 6カ月目
- 就職活動をスタート
- 9カ月後
- 就職内定!ミラトレ卒業
長時間労働で体調を崩し、
好きだった仕事を諦めることに
やりがいと同じくらいプレッシャーも感じていた講師の仕事
前々職で予備校の講師をしていたとき、長時間労働が続いて体調を崩してしまいました。講師の仕事にはやりがいを感じていましたが、日常的な長時間労働に加え、生徒たちへの責任が大きなプレッシャーになっていたのだと思います。疲労がたまりすぎるとプレッシャーばかりが大きくなり、次第に起きられなくなりました。病院を受診して双極性障害Ⅱ型と診断されたときは、体調不良の原因がわかり、少しホッとした気持ちもありました。
講師の仕事を退職後、体調を整えながらもはたらくことに慣れる期間を持ちたいと考え、約3年間さまざまなアルバイトを経験。中でも、水道の検針などの身体を動かす仕事をしたおかげで就職活動を前向きに進められ、初めての障害者雇用枠で前職のIT関連企業に就職できました。急いで就職するよりも、体調を整えることを優先してよかったと思います。
「22時就寝」と「6時間以上睡眠」が体調維持の絶対条件
体調を崩さないための絶対条件として主治医から伝えられたのが、「22時就寝」と「6時間以上睡眠」です。この2つの条件は守られていますが、楽しみの一つだった深夜番組をリアルタイムで観られないことや、睡眠を確保するために自由な時間が少なくなったことは少し残念ですね。
また、非常にありがたいことですが、周囲から慎重に扱ってもらうことにはたらきにくさを覚えるときがあります。もう少し仕事をしたいと思っても、最初は残業をしないよう、時間の管理が徹底されていました。しかし、長くはたらき続けるためには、時間や体調の管理が欠かせないと理解しています。
説明会で出会った支援員が好印象でミラトレを選択
オフィス勤務をイメージできる環境が魅力
前職を退職後、ハローワークの担当者から選択肢の一つとして教えてもらったのが就労移行支援事業所です。前職は人間関係で疲れてしまって退職した経緯があり、まずは、はたらくための準備期間を持ちたいと考えていました。インターネットで就労移行支援事業所について調べる中で、ミラトレを知りました。「ミラトレ川口」を選んだ理由は、通勤がしやすく、オフィス勤務をイメージできる環境が備わっていたためです。パーソルグループであること、事務職への就職率や定着率が高かったことも決め手になりました。
実は、他の事業所と最後まで迷っていましたが、説明会でお話しした支援員が好印象でミラトレを選択。この支援員の方には、ミラトレ利用時も大変お世話になりました。途中で異動されましたが、私の就職が決まった際はご報告し、一緒に喜びを分かち合えたことが良い思い出になっています。
支援員のサポートと利用者同士の交流が励みとなり、就職活動を乗り切れた
ミラトレを利用したのは、2021年4月から12月までの約9カ月間です。最初の1カ月は受給者証発行の都合で体験利用期間となり、当時は週4日利用からスタート。5月から正式利用となったのにあわせて週5日利用に変更しました。生活面を考えて半年後には就職活動を開始し、現在の就職先企業に内定をいただきました。
支援員のサポートには大変満足しています。特に就職活動を始めてからは、希望すればすぐに面談をしていただき、不安を抱え込む前に相談できたので非常に心強かったです。支援員のサポートと利用者同士の交流が励みとなり、就職活動や週5日はたらくことへの不安を克服できました。
ミラトレでは一人ひとりに合わせた個別支援計画を立て、通所から就職まで丁寧にご支援します。
ミラトレのあなたに合った個別支援計画
「過去の私」ではなく「未来の私」を重視してくれる企業に出会えた
スキルアップに努め、就職できたことが自信に
これまではたらいてきた経験を踏まえて、自由な社風の企業ではたらきたいと考えていました。事務職が希望だったこともあり、就職に向けた準備として3カ月間、毎日4時間、Excelを勉強。スキルを定量的に表す実績が少なかったこともあり、タイピングの計測を毎日継続するなど、スキルアップに努めました。
就職活動では心が折れてしまいそうになることも多かっただけに、就職できたこと自体が自信になっています。就職活動という大きな壁を乗り越える過程で忍耐力も得て、「大抵のことはできる」と考えられるようになりました。
面接ではたらくイメージが湧き、この会社に就職したいと思った
就職先企業はハローワークの求人で見つけました。選考フローは、1次面接と2次面接、内定という流れです。選考に関して驚いたことは、企業からのレスポンスが早かったこと。すべてのやりとりにおいて、翌日か翌々日には連絡をいただきました。
就職活動で苦労した点は、職歴のブランクに関する説明です。私は新卒入社した企業を2カ月で退職しているのですが、ほとんどの企業の面接で退職理由を聞かれました。ところが、就職先企業の面接では、過去の経歴に対する「なぜ?」より、「今何ができるのか」「これから何をしていきたいのか」といった現在や未来の話が中心で、前向きな気持ちになったことを覚えています。「ルーティンワークを続けていきたいか」「新しい仕事をどんどんやっていきたいか」といった質問にはたらくイメージも湧き、この会社に就職したいとの思いが強くなりました。
はたらきながら動画編集スキルを習得
現在は、人事部内に設けられたOSSユニットに所属し、主に各部署のバックオフィス業務を担当しています。業務内容は多岐にわたり、常に複数の業務への対応が求められる仕事です。それぞれの納期に間に合わせるために同時並行で進行するのは大変ですが、やりがいを感じています。
また、入社後に動画編集スキルを習得し、各部署から依頼を受けて動画制作を担当。趣味だった動画編集を本格的に学ぶため、はたらきながらスクールに通い、休日も動画編集の勉強時間に充てました。そして、目標通りに計160時間という勉強時間を達成。自分のしたかったことが仕事に結びつき、大きなやりがいにつながっています。
チームで連携を図りながら、より伝わる動画を提案していきたい
今後の目標は、ビデオエディターとして活躍すること。知識と経験を積みながらクリエイターとなり、当社のPR動画を制作するのが目標です。動画制作では、自分がやりたい表現を提案するだけではなく、動画の目的と内容にそった編集であるかが重要だと考えます。一人で進めるのではなく、チームで連携を図りながら、見る人により伝わる動画を提案していきたいです。
振り返ると、ミラトレの見学を申し込むのに勇気が必要でしたが、今は利用して本当によかったと思います。改めて、最初の一歩に勇気が必要なチャレンジほど、得られるものが大きいと感じています。ミラトレ支援員の方々は親身になってサポートしてくださり、心から信頼できる人たちばかりです。ミラトレ利用を迷っている人にも、新しい一歩を踏み出してほしいと思います。
※所属・役職ほか記事の内容は取材当時のものです
企業担当者コメント
これからも積極的に、興味のある分野を突き詰めてほしい
奈良可奈様(写真:右)、河口拓哉様(写真:左)
当社では、新卒市場でのダイレクトリクルーティングサービス「OfferBox」グループ会社では中途採用市場で求職者と企業をマッチングする「PaceBox」を提供しています。グループ全体としてあらゆる人々に対してキャリア・ポテンシャルを引き出すサービスを展開しています。障害者雇用においても「キャリア・ポテンシャルを開花させる」を方針に掲げ、雇用拡大を推進。Sさんを含めた5名の障害者社員が在籍するOSSユニットでは、まだ会社にはない新たな業務の創造も視野に入れて、一人ひとりの可能性を開花させる活動に取り組んでいます。
Sさんの第一印象は「引き出しが多いおもしろい人」です。本人の話にもありましたが、過去の経歴よりも、Sさんが自己認知していることを評価しました。自分の障害についてもきちんと認識されています。そして何より、はたらくことに対して「意志」を感じました。動画編集に関しても、積極的に自分から手を挙げて、スキルを磨いてくれました。クオリティに対する評価も高く、各部門からの依頼も殺到しています。良い成果を出すためにきちんと仕事をやりきる責任感もあるため、OSSユニットでもチームを牽引してくれることを期待しています。これからも興味のあることを突き詰めて、Sさん自身と会社の可能性を広げていってほしいです。