長くはたらくためのスキルを身につけ、やりがいのある仕事に出会えた
ミラトレ川口
司馬 瑞基さん
統合失調感情障害
- 通所期間
- 1年5カ月
- 就職先企業
- 富士フイルムシステムサービス株式会社
就職までの道のり
- 利用開始
- 最初の3カ月は週4日利用。その後、週5日利用
- 10カ月目
- 就職活動をスタート
- 1年5カ月後
- 就職内定!ミラトレ卒業
長期就労を目指して就労移行支援事業所へ
前職を経て、自分に合うはたらき方を模索
専門学校に通っていた頃に統合失調感情障害を発症し、服薬治療をしながら学生生活を送りました。卒業後は印刷工場に就職し、印刷から検品、発送まで一連の工程を担当。約半年間勤めましたが、体調が悪く、思うように仕事についていけない時もありました。自分に合うはたらき方について模索するようになったのはこの頃です。
前職を退職後、障害者手帳を取得しました。自立支援医療の申請手続きで市役所を訪ねた際に、就労移行支援について教えてもらいました。長期就労に必要なスキルを身につけるきっかけになるかもしれないと思い、さっそく最寄りの事業所を紹介してもらったのです。いくつか候補をいただいた中の一つが「ミラトレ川口」でした。
「心身ともに安定した長期就労」を目指してミラトレを選択
私は長期就労に必要な実力を身につけられる就労移行支援事業所を探していました。そのため、ミラトレの多彩なプログラムや実践的なトレーニング、支援員のサポート体制が大変魅力的に映りました。ミラトレなら「障害特性への理解が深まる」「職業準備性を高められる」と感じたのです。また、「心身ともに安定した長期就労」を重視している点も、ミラトレに信頼を置いたポイントです。
実はミラトレの他に見学した事業所で、「すぐに就職できる」との説明を受けて、「すぐ」という言葉に違和感を覚えました。すぐに就職できても、長期就労に必要な実力がなければ、退職することになるかもしれないと考えたからです。納得できる就職を叶えるためにも、しっかりとした支援が受けられるミラトレを選択しました。
支援員のサポートと実践的な学びで自信をもてた
自分に足りないものを的確に指摘してくれた支援員
私がミラトレに通所していた期間は1年5カ月間です。最初の3カ月は週4日、その後は週5日通いました。適性検査や支援員との面談は、自分の現在地を確認できる良い機会だったと思います。支援員から「おどおどしていると自信がなさそうに見える」と指摘され、自分では気づけない部分にも目を向けることにつながりました。
支援員からのアドバイスで気づけた「長くはたらくためのコツ」をメモしたり、落ち着いて見える話し方や仕草を心がけたりするうちに、少しずつ意識が変わっていったように感じます。私に足りないものを的確に指摘してくれる支援員の存在は大変ありがたかったです。
総務部を想定した部署活動で「はたらく自信」を取り戻す
実際の職場を意識した環境で実践的なトレーニングを受けられるのもミラトレの魅力です。部署活動では総務部を想定したBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)に取り組みました。最初は先輩方に教えてもらう立場でしたが、先輩方が就職してミラトレを卒業すると、私が先輩となり教える立場に変わります。一緒に訓練する皆さんに作業を教える経験を積むことで、自然と「はたらく自信」がつきました。
自分の経験から得られたコツやノウハウなど感覚的な部分について、人に教えるのは難しい。だからこそ、物事の本質を捉えて伝えることの大切さにも気づけました。たとえば、「問題が起きそうな部分は事前に要点を押さえて相手に伝える」など工夫しています。部署活動をはじめとしたミラトレの実践的なトレーニングは、現在の仕事にも役立っています。
ミラトレでは一人ひとりに合わせた個別支援計画を立て、通所から就職まで丁寧にご支援します。
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障害特性への理解を深めることが就職活動の第一歩
スキルアップに努め、就職できたことが自信に
ミラトレに通い始めてから10カ月が経った頃、就職活動をスタート。ミラトレの訓練で身につけたパソコンスキルや手作業などを活かして、人の役に立てる仕事に就きたいと考えていました。ただ、電話応対だけはどうしても難しかったので、電話応対がない求人を探すのに苦労しました。
就職活動で注力したのが、自身の障害特性について理解を深めることです。心身ともに安定して長くはたらくためには、自分の「苦手なこと」や「できないこと」を明確にして伝える必要があると考えました。苦手なことやできないことを明らかにしていくと、得意なことにも気づけたのです。自分一人で自己理解を深めるのは、簡単ではありません。支援員の適切なサポートを受けながら就職活動を進められたのは、大変心強かったです。
入社選考を兼ねた企業実習に参加
実際の職場ではたらく経験を積むために企業実習に参加しました。就職先企業の実習も経験の一つとして捉えていましたが、面接で入社選考も兼ねた実習だと知り、少し焦った記憶があります。一方で、もともと実習内容に興味をもって応募した経緯があったので、入社できたら楽しそうだなという思いも湧いていました。
5日間の実習で経験した業務は、パソコンの入力業務やファイルのインデックスシールを貼る手作業、監視カメラチェック業務などです。初めて経験する作業もありましたが、ミラトレの部署活動での取り組みを実際の職場環境でも活かせました。実習期間が終わる頃には入社後のはたらく姿を想像していたので、内定をいただいた時は嬉しかったです。
作業の効率化や後輩の育成にやりがいを感じる
マニュアルやチェックシートを作成し、作業効率をアップ
入社後は、社内に設立された障害者雇用の専任組織「チャレンジドセンター」の配属となり、監視カメラチェック業務やスキャニング業務、パソコン関連のIT業務を担当しています。入社して3年になりますが、作業の効率化や後輩の育成にやりがいを感じています。
作業効率化として取り組んだのが、マニュアルやチェックシートの作成です。監視カメラチェック業務の場合、カメラアングルによって見方やチェックポイントが異なるため、マニュアルやチェックシートを整備することで確認作業を進めやすくなると考えたのです。成果として、監視カメラ映像の確認時間の削減につながり、後輩の育成にも活用されています。
さらにいろいろな人に作業を分かりやすく、多岐にわたって教えられるようになるのが目標です。自身の作業理解を深め、今後も率先して作業効率化や後輩の育成に取り組んでいきます。
ミラトレで長くはたらくためのスキルを身につけよう
心身ともに安定した長期就労を叶えるために大事なことは、「どのように長くはたらける体になるか」です。私はミラトレの講座や訓練、支援員のきめ細かい支援のもと、時間をかけて「長くはたらける体」をつくれたことに満足しています。短期間で就職を目指す選択肢もありますが、少しでも迷いがある場合、ミラトレで自分に合ったはたらき方や長くはたらくための方法を探すことも、有意義な時間になると思います。
※所属・役職ほか記事の内容は取材当時のものです
企業担当者コメント
チームを牽引する役割とメンバーを支える役割の両方を任せられる存在
チャレンジドセンター 伊藤文昭様(2024年9月現在)
富士フイルムシステムサービス株式会社は、全国の自治体および企業向けBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスの提供を行っています。障害者雇用においては、障がいの有無にかかわらず、一人ひとりがベストパフォーマンスを発揮できるような環境づくりなど、企業の成長と社会貢献の実現に向けてさらなる取り組みを進めています。
司馬さんが所属するチャレンジドセンターは、社内業務だけでなく、お客様案件における一部業務も担っています。司馬さんは非常に真面目で控えめな印象を与えますが、仕事への情熱は人一倍感じられることも少なくありません。既存の手順書の改善を提案してくれた際は、ただ分かりやすく作り変えるのではなく、今後この手順書をどのように使っていくのかまで想定し、広い視野をもって改善してくれました。自身でやるべきことを考え、必要に応じてしっかり相談して物事を進めていく姿は、大変頼もしく感じます。
司馬さんはチームの中でリーダーの役割とメンバーを支える役割の両方を担える人材です。長くはたらくためには、新しい仕事への挑戦やより成長していくことが求められる場面も出てくるでしょう。体調や生活を整えることと並行して、挑戦する意欲も育み続けていただきたいです。そして、自身が学んで身につけた業務内容や技術をまとめ、後輩に伝えていくことを期待しています。