自分から発信・行動することで、活躍の場を広げていきたい
ミラトレ川崎
T.Tさん
双極性障害
- 通所期間
- 1年6カ月
- 就職先企業
- 株式会社マイナビパートナーズ
就職までの道のり
- 利用開始
- 週2日午前のみ利用
- 1年後
- 段階的に通所日数・時間を増やし、週5日終日利用に
- 1年4カ月後
- 就職活動をスタート
- 1年6カ月後
- 就職内定!ミラトレ卒業
残業が続く職場で体調を崩し、休職と復職を経験
「周囲からの信頼を失っているのでは」との不安が常にあった
前職は、新卒入社した不動産仲介の会社で約5年間、営業事務として勤務しました。主な担当業務は、契約関係書類の作成や管理、諸経費精算、備品発注、会議資料作成などです。
業務経験を積むとともに責任が大きくなり、業務内容も複雑化して残業する日が続きました。次第に朝起きられなくなり、体調不良による欠勤や遅刻が増えたのです。内科では体調不良の原因がわからず、医師に勧められて精神科を受診した結果、双極性障害と診断されました。
診断後、医師の勧めで休職し、5カ月後に復職しました。ところが、復職後に配属されたのが今までで一番忙しい店舗で、担当業務は以前よりも増加し、再び体調を崩すことに。一年弱勤務した後、これ以上は休職期間を延長できないと判断し、退職に至りました。復職後は通常に勤務できる日もありましたが、再び遅刻や欠勤が増えたことで、「周囲からの信頼を失っているのでは」との不安を常に感じていました。
生活習慣の改善に役立つと考え、ミラトレの利用を決意
前職を退職後、再就職したい気持ちとは裏腹に生活習慣は乱れた状態でした。区役所の障害課でミラトレを知り、「就労移行支援を利用することで生活習慣の改善にも役立つのでは」と考えました。就労移行支援事業所についても初めて知りましたが、紹介されていた一日の流れや講座内容が楽しそうだと感じたのを覚えています。
さっそくいくつかの事業所に問い合わせたところ、コロナ禍のため対応検討中との返答が多い中、ミラトレはZoomを使ったオンライン面談の実施と見学の予定を組んでくださいました。事業所を見学した際は、支援員が親身に話を聞き、相談に乗ってくれたことが印象深かったです。
オフィスのような環境が、実際にはたらく職場をイメージしやすかったのも決め手の一つです。迅速かつ丁寧な対応に好感を抱き、ミラトレの利用を決めました。
ミラトレで自分から発信することの大切さを学べた
支援員の言葉に励まされ、自分のペースで利用できた
ミラトレに通所していた期間は1年6カ月間です。週2日の半日利用から始め、支援員と相談しながら徐々に利用頻度を増やしていき、1年後に週5日終日利用になりました。
支援員との面談で、「ここまで無理をしてはたらいてきたのだから、しばらく動けないのは当然。必ず安定してくる時期があるので、焦らずに進めましょう」と声をかけてもらい、自分のペースでよいのだと安心感を得ました。
ミラトレでは一人ひとりに合わせた個別支援計画を立て、通所から就職まで丁寧にご支援します。
ミラトレのあなたに合った個別支援計画
日々の体調を記録・管理することで生活習慣を改善
生活習慣を整えるために取り組んでいたのが、日々の体調を記録・管理することです。その日の体調を言葉にして、調子を4段階で評価します。その記録を定期的に支援員に共有し、面談にて「体調の波の傾向」を探す手伝いをしてもらいました。
その結果、以前より不調のきっかけや不調になりやすい時期がわかるようになったので、意識的に休息をとるなど工夫しています。日々の体調を記録・管理することで生活習慣が改善され、自身の障害特性を可視化することにもつながりました。
また、職業準備性を身につける講座で「日々の調子は自分で発信することが大切」だと教わり、体調に異変を感じた際は自分から状況や対処を発信する癖がつきました。以前は「自分から発信する」という発想がなかったので、誰にも相談せずに我慢していたのだと思います。自分から発信することが、はたらきやすさにもつながっていると実感しています。
就職活動を通して自己理解が深まり、自信がついた
業務改善をサポートできる仕事を希望
ミラトレ利用から約1年4カ月後に就職活動をスタート。前職で営業のサポート業務を行っていたこともあり、直接お客様と関わらずとも、陰で支える仕事にやりがいを感じていました。そのため、業種や職種にはこだわらず、「周囲の方がよりはたらきやすくなるようにサポートできる仕事」を希望。特に「業務改善」におけるサポートをイメージしていたので、就職先企業の求人票を見たときは、「私がやりたい仕事はこれだ」と思いました。
何度も問答集を推敲し、面接に臨んだ
就職活動で苦労した点は、体調やメンタル面の維持です。選考がうまくいかなくて気分が落ち込んだ時は、支援員と適宜面談を行い、気持ちの切り替えに努めました。
面接準備で力を入れたのが、問答集の作成です。面接の度に内容を推敲し、自身についてどのように伝えるか、軸となる部分を固めていきました。障害特性については、体調管理など普段の記録を見返して分析。自己理解が深まるとともに、自信がつきました。
また、これまでの経歴から私の強みは「慎重さ」だと理解できたのも大きかったです。ミラトレのデータ入力の講座で、転記作業における正確さと速さ、セルフチェックを習得できていたこともあり、現在の職場では「ミスが少なく正確に作業ができる」との評価をいただいています。
日々の業務はコツコツ丁寧に、新しい仕事にも挑戦していきたい
コミュニケーションを大切にして、丁寧な仕事で応えたい
現在は、新宿パートナー雇用開発課に所属し、他の部署で手間になっている事務作業を代行しています。主な業務は、求人の転記作業や修正作業など、パソコンを使った入力業務です。他にも、依頼元との交渉や業務フローの構築、マニュアルの整備などを担当しています。
仕事でやりがいを感じる瞬間は、私たちの日々の業務で依頼元の負担が減り、感謝の言葉をいただけた時です。入社して一年が経ち、チームメンバー以外にも関わる人が増えているので、常に丁寧なコミュニケーションを心がけています。
今後の目標は、事務作業にとどまらず、業務の幅を広げていくことです。そのためにも、積極的な姿勢を大切にしています。会社全体のITプロジェクトへの参加をきっかけに、プログラミングの勉強も始めました。実務に活かせるように学びを深めています。
ミラトレで自己理解を深め、新しい扉を開いてほしい
私は前職を退職後、体調や生活リズムが整っておらず、就職活動の基本も何もわからない状態からミラトレの利用を開始しました。そのため失敗も多かったですが、その度に支援員の皆さんが根気強く支えてくださり就職できました。障害や就職活動で悩んでいる方も、ミラトレの利用を通してきっといい結果が得られると思います。
※企業の表記ルールに合わせ、「障がい」「働く」と記載しております。
※所属・役職ほか記事の内容は取材当時のものです
企業担当者コメント
周囲のメンバーへ好影響を与えてくれる存在。今後も活躍の場を広げていってほしい
(2023年4月現在)
株式会社マイナビパートナーズは、マイナビグループの特例子会社として2016年に設立しました。主に「マイナビグループの事務業務代行」「マイナビグループ障がい者採用業務」「障がい者職業紹介事業」「ヘルスケア事業」の4事業を展開しています。当社では、「障がいへの配慮はするが遠慮はしない」という方針のもと、社員一人ひとりが存在価値を発揮して活躍していくことを期待しています。
Tさんは面接時の質疑応答が的確だった印象があります。就職活動でのエピソードでは、客観的に自身や状況を把握し、受け入れ、再考、改善ができる方とお見受けしました。また、自己対処の意識があり、セルフモニタリングを通じて予防策・対処策を立てられていることも評価した点です。サポートありきではなく、自己変容の意識を軸としている点が当社の求める人物像とマッチし、採用に至りました。
入社後は、コツコツと着実に業務を遂行され、徐々に対応できる業務の幅を広げています。Tさんは自身がつまずきやすいポイントを把握し対策に努めているので、安心して仕事を任せられます。難易度の高い業務や依頼元との打ち合わせなども、「やってみます!」と挑戦し、周囲のメンバーへ好影響を与えてくれる存在です。今後はチームリーダーとしての役割なども視野に入れ、活躍の場を広げていってくれることを期待しています。