チャレンジ精神をもち、業務の領域拡大に貢献したい
ミラトレ川崎
E.Kさん
うつ病
- 通所期間
- 11カ月
- 就職先企業
- 出光興産株式会社
就職までの道のり
- 利用開始
- 週3日利用からスタート。2カ月目以降は徐々に週5日利用
- 9カ月目
- 就職活動をスタート
- 11カ月後
- 就職内定!ミラトレ卒業
就労移行支援事業所の存在を知り、再就職への不安が和らいだ
前職在職中にさまざまな不調が表れ、心療内科を受診
新卒入職した病院で医療事務としてはたらいていた時に、うつ病と診断されました。業務の多さや人間関係のストレスがさまざまな不調につながっていたのだと思います。通院・服薬しながら仕事を続けることも検討しましたが、体調が良くならず、退職に至ります。
その後、保険会社の営業職や病院での医療事務に転職しましたが、1社目と同じような悩み・不調で退職することになり、生きづらさを感じていました。前職を退職後は約1年間休養し、心身の安定を図ることに専念。
一方で、1年間のブランクが空いたことで再就職への不安が大きくなり、焦る気持ちもあったと思います。そのため、SNSで就労移行支援事業所の情報を見つけた時は、「私が必要とするサポートはこれだ」と嬉しくなりました。同じタイミングで障害者雇用という選択肢があることを知り、再就職への不安が少し和らいだのを覚えています。
施設見学・体験利用を通じて、ミラトレとの相性の良さを実感
ミラトレ以外に2つの就労移行支援事業所を検討しました。それぞれの施設見学と体験利用をして比較した結果、ミラトレが一番自分に合っていると実感。特に興味をもったのが、パソコンスキルやコミュニケーションスキルに関する講座です。
また、障害特性への理解と対処、面接対策の必要性を感じていたので、それらの支援が充実している点も決め手になりました。事業所の雰囲気や支援員の対応に安心感を得られた点も、ミラトレを選んだ理由です。見学時に障害者雇用の現状について説明があり、非常にわかりやすい内容でした。
体験利用で通所生の皆さんと一緒に講座を受けた際は、何かあればすぐに話しかけられるように寄り添ってくれました。事前に事業所との相性を確かめられたので、安定して通所できたのだと感じています。
常に寄り添い、励ましてくれるミラトレ支援員
第1ステップは生活リズムを整え、通所の安定を図ること
私がミラトレに通所した期間は11カ月間です。1年間のブランクで生活リズムが乱れていたので、まずは決まった時間に起きて通所することを心がけました。当時は体力もかなり落ちていたので、最初の2カ月は週3日利用、その後、週4日から週5日というように徐々に通所日数を増やしていきました。
自分で始められることとして取り組んだのは、体力・筋力アップのために自宅から事業所まで片道約50分歩くことです。ミラトレ川崎は、JR「川崎」駅より徒歩8分、京急「京急川崎」駅より徒歩6分の場所にありますが、自宅から徒歩で通所することで季節の移ろいを感じられ、気分転換としても効果的でした。
ミラトレでは一人ひとりに合わせた個別支援計画を立て、通所から就職まで丁寧にご支援します。
ミラトレのあなたに合った個別支援計画
支援員の何気ない声かけや気配りに支えられた
支援員のサポートも大きな支えになりました。些細なことですが、「今日はいつもと雰囲気が違いますね」といった何気ない声かけや「具合が悪くないですか?」という体調への配慮など、温かな気配りが嬉しかったです。通院の同行や就職活動に向けて自己理解を深めるための面談、就職後の人生について一緒に想像する時間など、どのシーンを振り返っても大変手厚いサポートだったと思います。
就職活動では、「障害特性や経歴は一人ひとり違うので、Eさんのペースで進めていきましょう」「まだ気持ちが整っていなければ、先に延ばしても大丈夫ですよ」と声をかけてもらい、大変励みになりました。また、個別支援計画を一緒につくる作業は目標やプランが明確になるだけでなく、体調の安定や達成感について実感を得られる機会になっていました。
就職活動の強みとして、MOS Excelの資格を取得
ミラトレの講座で実務に役立つスキルを習得
ミラトレに通所して9カ月が経った頃、就職活動を始めました。面接では何か自己アピールできる「強み」が必要だと考え、在所中にMOS Excelの資格を取得。事務職を目指す上で有利となる資格を取得できたことで、面接でも「基本的なパソコン操作はできます」と自信をもって言えるようになりました。現在の仕事でも、Excelの知識を活かせています。
また、コミュニケーションスキルに関する講座では「発言力」や「発信力」を鍛えられ、「傾聴」の姿勢を改めて学べたことも有意義でした。企業実習では、人事担当者から「報告・連絡・相談の徹底」「周囲とのコミュニケーション」「入力データの正確性」について高い評価をいただき、自身の成長を実感。就職活動を進める中で大きな自信になりました。
納得するまでやりきった応募書類の添削と模擬面接
就職活動でも支援員のサポートが大変心強かったです。履歴書や職務経歴書、障害説明書の添削では、私と支援員の双方が納得するまで何度も手直ししました。特に力を入れていた面接対策でも、面接官からの質問を想定し、回答に矛盾がないよう細部まで確認。自分の言葉で話せるようになるまで模擬面接を繰り返し、万全な状態で本番に臨めました。
就職先企業の面接では、きれいなオフィスに少々萎縮しましたが、広い会議室の奥まで声が届くように意識して話しました。面接練習の通り、障害特性に関する説明も自分の言葉で話せたと思います。私の中では焦って話している部分もありましたが、後に面接官だった現在の上司から「落ち着いて話せていた」と聞き、自分の印象と見られている印象の違いに驚きました。内定をいただいた時は嬉しかったです。
新しい業務への挑戦が、自分やチームの成長につながる
チームの仲間と協力して新たな領域の業務に挑戦
現在は人事部に所属し、「チーム・アルテミス」という障がい者がチーム就労する職場で、他部署から依頼されたデータ入力やスキャン業務などを担当しています。新しい領域の業務を依頼される際に大事にしているのが、チャレンジ精神です。「まずは着手してみる」「業務の手順がわかりにくい時はすぐに問い合わせる」「行き詰まった時は指導員や先輩に相談する」などを心がけ、一つひとつ解決しながら業務を進めています。わからないことをそのままにせず確認・理解した上で進める姿勢は、ミラトレの訓練で身につきました。ミスの指摘がなく無事に納品できた時は、達成感を得られます。
入社して約2年になります。チームにご依頼いただく業務もかなり増えて疲れを感じることもありますが、さまざまな業務にチャレンジすることで成長できると信じています。チームのメンバーと協力しながら業務に取り組み、病気と向き合いながら末永く勤めることが目標です。最近、ミラトレの卒業生がチームの後輩に加わりました。困っていることがあれば教えてあげたいですし、後輩へ適切な指導ができるよう自身のスキルアップも図っていきたいです。
ミラトレでの出会いや体験は今後の人生の糧になる
ミラトレに少しでも興味がある方には、体験利用をおすすめしたいです。気になる講座があれば気軽に参加できますし、小さな質問にも支援員が真摯に答えてくれるので、気持ちが楽になると思います。さまざまな背景をもつ支援員や通所生の皆さんとの出会いも、今後の人生の糧になるでしょう。私は就職後もミラトレの仲間と連絡を取り合い、一緒に食事をしながら近況報告するのが楽しみの一つになっています。
※企業の表記ルールに合わせ、「障がい」「働く」と記載しております。
※所属・役職ほか記事の内容は取材当時のものです
企業担当者コメント
チーム就労型障がい者雇用のロールモデルとして、さらなる活躍に期待
(2024年9月現在)
出光興産株式会社は、1911年に石油販売業として創立しました。燃料油事業を大きな柱としつつ、2050年カーボンニュートラル・循環型社会の実現に向け、「一歩先のエネルギー」「省資源・循環資源」「スマートよろずや」という3つの事業領域において社会実装に挑戦しています。
障がい者雇用では、障がいの種類にかかわらず能力を発揮して働けるよう、環境整備や活躍機会の提供に取り組んでいます。Eさんは、本社オフィスに2020年12月に設置されたチーム就労型障がい者雇用の職場、「チーム・アルテミス」の一員として入社されました。面接時の堂々とした受け答えや佇まいが印象的で、仕事に対する前向きさやエネルギーを感じられたのが採用の決め手です。
Eさんが配属されたスキャンチームは、当時、担当業務をスキャン専門からデータ入力業務に領域拡大するチャレンジを始めたばかりでした。Eさんが入社して半年が過ぎた頃、スキャンチームから他部署に出向き、先方の社員と一緒に書類整理をする出張スタイルの業務依頼がありました。Eさんは新たな業務に物怖じすることなく率先してチームの牽引役を担ってくれたのです。成果として出張先の文書保管庫の資料は電子化され、空いたスペースは会議室として活用できるようになりました。Eさんを筆頭にチームメンバーの仕事ぶりが評価され、継続依頼をいただいています。
Eさんに今後期待することは、ご自身の体調管理を第一に、新たな業務に取り組むことで自身の能力や可能性を伸長させ、チーム就労型障がい者雇用のロールモデルとして活躍されることです。その先に、Eさんが目標とする「チーム・アルテミスを卒業し、部室への直接配属」の実現があるでしょう。指導員としてEさんの成長を支援するとともに、組織内の環境整備に努めたいと考えています。