Interview

ミラトレでビジネススキルを身につけ、異業種への転職を実現

ミラトレ梅田

S.Rさん

軽度知的障害(B2)

通所期間
1年8カ月
就職先企業
株式会社旭化成アビリティ(大阪営業所)

就職までの道のり

利用開始
週5日利用
約1年後
就職活動をスタート
1年8カ月後
就職内定!ミラトレ卒業

前職でつまずきがあり、退職後の検査で障がいを認識

仕事の段取りがうまく組めないことに、心苦しさを感じていた

前職は、旅館で2年ほど調理師として働いていました。主に盛りつけや切り物、食材の発注を担当していましたが、同僚が当たり前にできている仕事の段取りがうまく組めなかったり、発注漏れが多かったりで苦い思いをしていました。調理師の仕事は体力的にもきつく、厳しい世界です。このような状況について両親にも相談し、退職に至ります。その後、退職を機に検査を受けて、自身の障がいを認識したという経緯です。

振り返ると、前職で仕事の段取りを組むのが難しく、ケアレスミスが多かったのは、障がい特性によるものだったと考えています。

ミラトレを選んだ決め手は、和やかな雰囲気と自分に合った講座内容

ミラトレについては、母から教えてもらいました。母は私の障がいがわかった時に、主治医から就労移行支援事業所を紹介されたそうです。私自身は、就労移行支援事業所を「学校みたいなところ」とイメージしていましたが、ミラトレの体験利用を通じて印象が変わりました。

特に印象的だったのが、ミラトレの和気あいあいとした雰囲気です。私は真面目すぎる雰囲気が苦手なので、話しやすく和やかな環境に好印象を持ちました。午前は利用者同士でワークを行う講座を、午後はさまざまな部署を想定した擬似就労を体験。一般企業への就職を目指すなら、実務で活かせるパソコンスキルの習得が欠かせないと考えていたので、ミラトレが自分に合っていると実感し、利用を決めました。

支援員のサポートにより、ビジネススキル・マナーの基礎を習得

弱みに感じていたのは、一般企業で働くための基礎スキル

ミラトレの通所期間は1年と8カ月です。調理師の仕事に比べれば体力的にも問題はなく、当初から週5日利用していました。ミラトレまでは自宅から電車で1本だったため、負担も少なく通えました。

ミラトレ支援員のサポートには大変感謝しています。基本的なビジネススキルで至らない点を、丁寧に教えてくれました。前職が調理師だったこともあり、パソコンなどのビジネススキルや一般社会のマナーなどに弱みを感じていましたが、講座や支援員のアドバイスによって学びや理解を深められたと実感しています。障がい特性により苦手とする「段取り」や「ケアレスミス」については、指差し確認でのチェックに取り組みました。

また、パソコン講座では基本操作やデータ入力、パワーポイントの使い方などを習得。上司への話しかけ方やビジネスメールの送り方、電話応対、報連相などのビジネスマナーについては、講座だけでなく支援員からのアドバイスによってさまざまな気づきを得られました。実務を想定した訓練で身についたスキルは、現在の職場でも役立っています。

ワーク・ライフ・バランスを実現できる企業に就職したい

模擬面接を繰り返し、面接への自信をつけた

少しずつ始めていた就職活動に本腰を入れたのは、利用開始から約1年後。まずはdodaチャレンジに登録して、模擬面接を増やしたり、ハローワークに通ったりしていました。

就職活動の軸としていたのは、「ワーク・ライフ・バランスの充実を図れる職場に就職したい」との思いです。ミラトレでの自己理解によって、私は寝ないとミスが増えるとわかっていました。そのため、「仕事の時間が決まっている」「残業が少ない」「人間関係が良好」などを重視。よく寝て仕事に備えられるような職場を志望していました。

就職先企業とは、ハローワークの合同面接会で出会いました。面接で心がけていたのは、ゆっくり話すこと。落ち着いて本番に臨めるように、面接問答集を考えて模擬面接をし、支援員からのフィードバックを受けて改善に取り組みました。このサイクルをまわすことで、面接への自信をつけていけたと思います。

就職活動と並行して、強みとなる資格を取得

就職活動では、実務経験がないことに苦労しました。ワーク・ライフ・バランスの充実を考慮して事務職の求人を探していたのですが、実務経験を必要とするものがほとんどでした。そのため、応募しても書類選考で落とされることが多く、悔しかったです。

履歴書でアピールするにはスキルアップが必要だと考え、MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)を取得。MOSについては、ミラトレで出会った仲間から教えてもらいました。資格取得とともに、タイピングの速さと正確性の向上にも努めました。

できる仕事の幅を広げて、教えられる立場の人になりたい

ミラトレで品質へのこだわりを養い、仕事への向き合い方に変化

現在所属している部署の主な業務は、グループ会社からの書類の電子化です。私は書類のスキャンを担当しています。やりがいを感じる瞬間は、スキャンした書類がすべてきれいに仕上げられたとき。角を揃えたり、微調整したり、見たときにわかりやすくなるよう工夫しながら業務を進めています。

ミラトレの利用を通じて変わった点は、「仕事への向き合い方」です。擬似就労で利用者の皆さんへ渡すカレンダーづくりに取り組んだ際に、品質へのこだわりを意識できました。現在担当している業務でも、スキャンした書類が商品となってお客様の手元に届くため、より品質にこだわっています。抜けなどのミスがないよう、ダブルチェック体制に加えて、自分でもこまめなチェックを習慣にしています。

今はまず、任されている仕事に集中したいです。求められる品質の仕事を遂行した上で、将来は自分と同じ障がいを持っている人や悩みを持っている人に、先輩として教えられる立場になることを目指しています。そのために、自分ができることの幅を広げていくのも目標です。

障がい者雇用について知ることから始めよう

自分の障がいを知った時は、これからどう就職につなげていくか不安でした。ミラトレで障がい者雇用について知り、障がい者雇用で働き続けるための学びを深められたことで就労につながっています。支援員の指導やアドバイスも仕事に役立つことばかりです。ミラトレの利用を悩んでいる方は、一度見学をして体験することをおすすめします。

企業担当者コメント

株式会社旭化成アビリティ

何事にも積極的に取り組む姿勢を評価。できることは任せていきたい

  • 株式会社旭化成アビリティ 大阪営業所
  • 所長 宮川公治様
    (2023年7月現在)

株式会社旭化成アビリティは、旭化成株式会社の100%出資の特例子会社で、延岡、水島、富士、日比谷そして大阪に営業所を設けています。539名のうち426名が障がいのある社員です(2023年5月末現在)。仕事はほぼ100%、旭化成のグループ会社から請けています。大阪営業所は設立4年目で一番新しく、12名の障がい者を含む15名が勤務し、印刷・製本や仕分け・発送などさまざまな業務を担っています。

障がい者雇用の方針は、「障がいは個性であり、尊重されるべきもの」との考えです。お互いの障がいへの理解を深め、思いやりを大切に、全員が毎日安全に活き活きと働ける職場づくりを目指しています。その一環として、健常者比率を30%(現在は27%)にして、障がいのある社員へのフォロー体制を構築。全社組織として「活き活き推進部」を2017年に発足させ、社会人としてのモラルの教育や、障がい特性や配慮事項などについて相互理解を深める「自己紹介カード」の作成などに取り組んでいます。

Sさんは、面接での受け答えがきちんとでき、障がいがあると感じさせない印象でした。トライアル期間中から遅刻や欠勤もなく、素直で明るく元気なところを評価。業務においても比較的飲み込みが早く、スキャニングの設定や調整、スキャン後の編集作業などをスムーズに対応してくれています。素直に指示に従うだけでなく、効率的に作業を進めるための提案や、何事にも積極的に取り組む姿勢を頼もしく感じています。Sさんが入社してもうすぐ1年になりますが、安定して出勤し、品質の良い仕事をするためには、安定した私生活を送ることが大切です。できるだけ長く働き続けてもらうためにも、ミラトレの定着支援と連携しながら、フォロー体制を構築していきます。

※企業の表記ルールに合わせ、「障がい」「働く」と記載しております。
※所属・役職ほか記事の内容は取材当時のものです

就労移行支援事業所
ミラトレ梅田
所在地 :
大阪府大阪市北区梅田1-2-2 大阪駅前第2ビル 11F
営業時間:
8:45 – 17:45
電話番号:
06-6131-9693