Interview

チャレンジを積み重ねた先に「自己実現」がある

ミラトレ藤沢

鈴木哲生さん

睡眠障害

通所期間
7カ月
就職先企業
ボッシュ株式会社

就職までの道のり

利用開始
週3日利用からスタート。
2カ月後
週5日終日利用に変更
5カ月目
就職活動をスタート
7カ月後
就職内定!ミラトレ卒業

就労移行支援事業所への問い合わせが一歩に

睡眠障害によるうつ病を発症し、好きだった仕事を退職

私は物心がついた頃から睡眠に難があり、「寝つけない」「中途覚醒」「不要な早起き」などを自覚していました。学生時代は今より体力があったので生活への支障を感じにくく、障害との認識はありませんでした。ところが、新卒入社したメーカーで営業職としてはたらき始めると、仕事への責任やクレーム対応などでストレスが増加。帰宅後も仕事のことを考えてさらに眠れなくなり、完全徹夜状態で出社する日もありました。そのような生活を続ける中で体調を崩し、休職に至ります。

主治医から睡眠障害によるうつ病と診断されました。休職期間を設けながら仕事を続けましたが、休職期間満了をもって4年8カ月勤めた会社を退職。やりがいを感じていた仕事を諦める悔しさと、同僚に迷惑をかけてしまった心苦しさでいっぱいだったのを覚えています。

ミラトレ支援員の言葉に背中を押された

体調が整えば前職に復職したいと考えていたので、その旨を元上司に相談したところ、再チャレンジする方法としてリワーク支援を勧められました。リワークとは、精神的な不調によって休職した人の復職を目的としたリハビリテーションプログラムのこと。私はすでに退職していたので、主治医は就労移行支援を提案してくれました。

最寄りの就労移行支援事業所を検索してトップ表示されたのが「ミラトレ藤沢」です。資料請求のつもりで電話をかけると、「ぜひ見学に来てください」と施設見学を勧められました。当時は再就職への不安が大きく次の一歩が出せない状態だったので、思いがけない一言に背中を押され、ミラトレ藤沢を訪ねました。

施設見学ではセンター長や支援員の対応が非常に丁寧で、安心感を得られました。就労移行支援に関する説明も分かりやすかったです。パソコン講座やコミュニケーションに関する講座など、多彩なプログラムや訓練内容にも魅力を感じました。体験利用では、他の通所生の方とコミュニケーションを取り、久しぶりに学生時代に戻ったような感覚で楽しく過ごせました。施設見学と体験利用を経て、ミラトレが自分に合っていると確信でき、利用を決意したのです。

擬似就労での成功体験が大きな自信に

支援員のサポートで自己肯定感がアップ

私がミラトレに通所していた期間は7カ月間です。週3日利用から始め、2カ月後には週5日利用になりました。前職を退職後に自分にとって適正な服薬量がわかってきたので、通所期間中は睡眠で困ることはなかったです。ただ、ミラトレ通所を始めた頃は精神的に落ち込んでいたのも事実で、支援員の皆さんからいただいたアドバイスが支えになりました。

職場環境を模した擬似就労での成功体験や、面接練習でのフィードバックや評価により、自己肯定感が高くなったように感じます。症状が重い時は新しいことにチャレンジするのが億劫でしたが、現在は「初めてでも何とかなる」とポジティブに考えられるようになりました。

擬似就労ではポスター制作に挑戦

擬似就労は3チームに分かれて、チームで作業を進めます。私は、ミラトレの土曜開所日に開催するイベントのアンケートやポスターの制作に取り組みました。締め切りに間に合わせるため、チームメンバーのスケジュール管理や作業の進捗状況を把握するなど、初動の大切さを実践的に学びました。

依頼主である支援員とのやり取りを通じて、答案用紙のようなアンケートは親しみを感じられるデザインに変更し、カラフルになりすぎたポスターは3色遣いで目にやさしいデザインに改善。満足のいく仕上がりとなり、デザイン系の作業に対する苦手意識を少し克服できたように思います。制作物の趣旨や目的を考えてデザインすることの大切さを実感できたのが、大きな収穫でした。

支援員との対話によって自己理解を促進

必要な配慮事項を考えることに苦戦

就職活動では、障害理解や必要な配慮事項を考えることに時間を費やしました。特に難しかったのが、睡眠障害における配慮事項です。支援員との対話によって、漠然とした内容が明確になり、配慮事項への気づきに変わっていくのを感じました。

私は服薬のタイミングを夕食後の20時半から21時に設定しています。帰宅が遅くなると薬を飲む時間が後ろにずれてしまい、翌日に影響します。そのため、職場に求める配慮事項は「生活リズムが崩れるレベルの残業は難しい」としました。現職では配慮事項への理解があるため、仕事を終えてから適切なタイミングで服薬でき、安定した体調を維持できています。

障害者雇用の基本理念に共感し、入社を決意

支援員の紹介で、就職先企業のボッシュ株式会社と出会いました。入社選考は面接ではなく、面談後に10日間の企業実習を受けて、その評価により内定をいただきました。企業実習を通じて魅力的に感じていたのは、職場環境や柔軟なはたらき方を選択できる点です。入社を決めた一番の理由は、障害者雇用の基本理念に共感したことでした。

企業実習前の面談で「ゆくゆくは前職に復職したいと考えている」と正直に伝えたところ、「ボッシュでは“職業リハビリテーションによる自己実現”を基本理念としているため、その考えでも構わない」との返事をいただきました。他社の選考では断られることが普通だったので、自分の考えが受け入れられたことに驚き、大変ありがたく感じたのを覚えています。「長期就労」だけでなく「自己実現」にも焦点を当てている点が自分の考えに合致していると実感し、入社しました。当時の考えがゼロになったわけではありませんが、現在の仕事にやりがいを感じており、正直離れ難くなっています。

英語力を身につけて、仕事の幅を広げていきたい

業務が円滑に進むよう、風通しの良い環境をつくる

現在は、人事部に設置された障害者雇用専任組織の「ビジネスサポートセンター」に所属しています。主な業務は、IDカード(社員証)の発注とアクセス権の管理です。他にも、社内向けの動画編集やAutoCADによる図面の修正などを担当。手配した社員証が使われていたり、社内モニターに制作した動画が流れていたりするのを見ると自分の貢献度を実感でき、やりがいを感じます。

多くの業務をチームで進めるため、同僚とのコミュニケーションでは「相手に不快感を与えない」「ネガティブな感情を抱かせない」といった点を心がけています。相手が快く思ってくれると、私自身も仕事をしやすいです。後輩に業務を説明する機会も増えているため、常に伝える努力を怠らず、後輩が質問しやすい環境づくりを意識しています。

入社して2年、正社員になるという第一目標を達成

入社して2年目となり、第一目標としていた正社員になれました。パートタイマーと正社員では評価基準が異なるため、さらに気合を入れて仕事に励みたいと思います。次の目標の一つが、TOEIC600点以上を取得すること。ボッシュ株式会社はドイツ・ロバートボッシュの100%出資の日本法人であり、業務において英語でのコミュニケーションが必要となるケースがあります。メールは翻訳機能を活用すれば困りませんが、今後、仕事の幅を広げていくためにも英会話でのコミュニケーションを取れるようになるのが目標です。

障害者雇用では勤怠の安定が大前提です。入社後も、就寝時間や起床時間、服薬時間にずれが生じないように意識し、生活リズムを崩さないように心がけています。引き続き、生活リズムと体調を安定させ、自己実現を目指していきたいです。

訓練での成功や失敗は、実務で必ず役に立つ

ミラトレの擬似就労では、職場環境を想定したスケジュール管理やチームワークを経験できるのが魅力です。苦手意識をもつ方もいると思いますが、訓練での成功や失敗は実務で必ず役に立つので、勇気を出してチャレンジしてみてください。私もデザイン系の作業で課題をどのように解決しようか悩み、支援員と相談しながら苦手を克服できました。食わず嫌いせず、挑戦するメンタルを養いましょう。いろいろ経験することは人生の糧になるはずです。

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ミラトレの確かな実績 ミラトレの確かな実績

企業担当者コメント

各業務の中心メンバーとして周囲へのリーダーシップを発揮してほしい

  • ボッシュ株式会社
  • 人事部門 業務サポートセンター 横浜事務所 ジョブコーチ 細谷みゆき様
  • 人事部門 業務サポートセンター 横浜事務所 ジョブコーチ 塩見圭介様
    (2024年10月現在)

ボッシュ株式会社は、1911年に日本国内に進出し、およそ9割を占める自動車関連事業をはじめ、電動工具の販売事業を展開。2024年5月下旬に本社が横浜に移転となり、工場・事業所・テストコース等国内に複数の拠点を有しています。障害者雇用では「職業リハビリテーションによる自己実現」を基本理念に掲げ、「ゴールは定着ではなく自立・自己実現」「勤怠(体調)の安定は絶対&前提」などを指針としています。

鈴木さんが所属する「ビジネスサポートセンター」の横浜事務所には、鈴木さんを含めた8名が障害者雇用で勤務しています。選考を兼ねた企業実習での鈴木さんは非常に礼儀正しく、業務説明に対する理解力の高さがうかがえました。選考では仕事を進める上でのコミュニケーション力にも着目しますが、鈴木さんはメンバーに合わせてさまざまな話題で楽しそうに会話ができ、職場にうまく馴染めると感じられた点を評価しました。

睡眠障害についても通所や通院によって症状が改善されており、自己管理もされていたので不安感はなく、入社後の勤怠も非常に安定しています。新しい業務への挑戦意欲も高く、大変頼もしいです。加えて、客観的な視点をもち、自身が責任をもってすべき業務を把握しています。自身の業務量を考えながら新規案件を受けられる点も、評価しているポイントです。今後は面倒見の良さも活かしていただき、各業務の中心メンバーとして周りへの指導・助言等リーダーシップを発揮されるのを期待しています。

※企業の表記ルールに合わせ、「障がい」「働く」と記載しております。
※所属・役職ほか記事の内容は取材当時のものです

就労移行支援事業所
ミラトレ藤沢
所在地 :
神奈川県藤沢市南藤沢4-3 日本生命南藤沢ビル 1F
営業時間:
8:45 – 17:45
電話番号:
0466-55-2888