Interview

人を笑顔にできる仕事で、これからもステップアップしていきたい

ミラトレ大井町

坪内智幸さん

右上肢機能障害
下肢機能障害
高次脳機能障害

通所期間
1年間
就職先企業
株式会社ベイクルーズ

就職までの道のり

利用開始
利用当初から週5日通所
利用当初から
訓練と並行して就職活動をスタート
1年後
就職内定!ミラトレ卒業

事故による後遺障害を負っても好きな仕事への就職を目指した

自分には何ができるのか、問い続けながらリハビリを行う日々

現在は「株式会社ベイクルーズ」のサポート統括・総務Div・ダイバーシティSECに所属し、本社内のクリンネスを担当しています。

以前は美容師としてはたらいていましたが、24歳の頃に交通事故に遭い、入院。事故の後、病院ではじめて目が覚めたときは身体が思うように動かない状態でした。入院中は「自分には何ができるのか、何もできない...」との考えが頭をめぐっていたのを覚えています。そのような状態から始まった入院とリハビリの生活は、1年半におよびました。

退院後は、地域の障害者支援センターや生活介護センターに通所。神奈川リハビリテーション病院に入院してからは、職業リハビリテーションの訓練や支援を受けました。ミラトレと出会う前に、障害者雇用としてはじめてアパレル関連の企業に就職し、店舗での商品管理を担当。約3年弱勤めましたが、店舗の異動により業務量が減った為退職しました。

事故により後遺障害を負いましたが、中学生の頃からオシャレが好きで美容師を目指した経緯もあり、これからも好きな仕事に就きたいとの思いが強かったです。

ミラトレで出会った仲間の存在が励みに

選択肢を広げるためにミラトレを選択

事故から約3年後、当時相談していたdodaチャレンジのキャリアアドバイザーから就労移行支援について教えてもらい、ミラトレを知りました。インターネットやハローワークで障害者雇用の求人を探していましたが、就労移行支援を行うミラトレなら幅広い求人と出会えるのではないかと考え、通所することを決意。ミラトレには1年間通いました。利用当初から週5日通所でき、1日の利用時間は5時間程度で体力的にも問題ありませんでした。

ミラトレを利用してよかったことは、就職に向けて切磋琢磨できる仲間に出会えたこと。みんなで集まって情報交換をしたり、励まし合ったり、就職が決まれば「おめでとう会」を開いたり、同じ目標をもつ仲間の存在はとてもよい刺激になりました。

一緒に頑張る仲間たちが就職していくのを目の当たりにし、「自分も必ず就職する」という強い気持ちを持てたこともよかったです。一人で就職活動をしていたら、前向きな気持ちを保つのは難しかったかもしれません。

ファッションに関わる仕事で人を笑顔にしたい

内定をもらう前に「模擬出社」を実施

就職活動で苦労した点は、「仕事選び」と「企業理解」です。私は「人を笑顔にできる職業に就きたい」という目標を掲げていました。その思いを叶えられる仕事として思い浮かんだのがファッションに関わる仕事です。ミラトレの支援員の方には、「アパレル業界ではたらくためにはどうすればよいのか」とよく相談するほど、本気でアパレル業界への就職を希望していました。障害者雇用ではアパレル企業からの求人が多いとは言えない状況にあります。ミラトレでの訓練を続けながら、支援員の方に面接指導をしていただきながらハローワークへ登録して就職活動を行っていました。

現在の就職先に出会い、選考が進む中で「この会社ではたらきたい」との思いが強くなりました。そこで、内定をもらう前でしたが「模擬出社」したのを覚えています。私は足に障害があるため、通勤にどのくらい時間がかかるのかが気になりました。はたらき始めると障害を理由に遅刻はできないので、実際の就業時間に合わせて会社の前まで行き、事前に通勤時間や電車の混み具合を確認しました。

ミラトレでの訓練でチームワークの大切さを実感

ミラトレでの訓練でチームワークの大切さを実感できたのも、大きな成果だと感じています。地域の清掃活動に取り組む訓練では、さまざまな障害がある人と一緒に作業し、多くの気づきを得ました。誰かが苦手なことは得意な人が補えばいいのだと。一つの目標に向かって取り組みを進める中で、周囲への配慮について学べたこともよかったです。

今の仕事をはじめて社会の一員としての責任感が強くなった

誰もが気持ちよくはたらけるスペースをつくりたい

現在の会社には2018年9月に入社し、今年で4年目になります。当初は身体障害者手帳を所有しており、事務職として入社しました。ところが事故後、高次脳機能障害を発症していたことが判明し、入社後に精神保健福祉手帳も取得。障害特性とスキル面を考慮され、現在担当する清掃業務へ配置転換となりました。

日々の清掃業務を通して、パートナーや本社を訪れるお客様が気持ちよく過ごせるスペースをつくることにやりがいを感じています。オフィスや商談スペースを常に快適な状態にしておくのは大変ですが、辛いと思ったことはありません。お客様に出会う場所ではたらいているため、カジュアルな服装になりすぎないようにも気を配っています。

ミラトレ支援員のサポートやアドバイスを受けて、業務管理表を作成

業務を遂行する上で工夫している点は、一緒にはたらく聴覚障害のあるメンバーとのコミュニケーションです。2人体制ではたらいていますが同じ場所を清掃するケースもあるため、お互いの業務の遂行状況を確認し合えるように、同じチェックシートを用いて認識をそろえています。

チェックシートを見れば、ここはできていて、ここはできていないというのがすぐにわかるのがメリットです。自身の障害特性として、どこまで作業を完了できたのかを忘れてしまうことがあるため、業務管理表としても活用しています。メンバーとのコミュニケーションツールとしても役立っています。

このチェックシートは、ミラトレの支援員の方にアドバイスをいただきながら作成しました。清掃業務の進め方やチェック項目などをまとめていくのが大変でしたが、就職後もサポートやアドバイスをいただけたので心強かったです。

日々の積み重ねを大切にしながらスキルアップしていきたい

現職ではたらくようになってから、以前の自分と比べて社会の一員としての責任を感じるようになりました。生活介護センターに通っているときは、「おはようございます」「終わります」「ありがとうございました」といった挨拶ができればよしとされる生活だったため、「やりがい」などは感じにくかったです。しかし仕事となると、さまざまな人と関わっていきます。挨拶ができればよいという社会復帰ではなく、責任をもってスキルアップやステップアップしていきたいと意識するようになりました。

今後の目標は、正社員になって会社のためになる仕事をすることです。今はまだ会社の期待に応えきれていないと考えています。まずは目標に向かって、目の前にある課題をひとつひとつ解決していくしかないと思っています。先を見据えて、注意されたことはしっかりと受け止め、いただいたアドバイスを活かしながら日々の業務に取り組んでいきたいです。

ミラトレには、就職することを目標にした仲間がたくさんいるのでとても励みになりました。就職活動に迷いや不安を感じている人には、一人で頑張るのではなく、同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨できる環境に身を置くことをおすすめしたいです。

企業担当者コメント

広い視野を持ち、できる領域をどんどん広げていってほしい

  • 株式会社ベイクルーズ
  • サポート統括 総務Div ダイバーシティーSEC 
    羽山様
  • サポート統括 総務Div ダイバーシティーSEC 
    須貝様

私たちベイクルーズでは、障害者雇用の方針として、会社としてできる限りの配慮は行いますが、仕事や待遇で区別はしていません。障害の有無を問わず、「成長」や「自己実現」を目指し自ら進んで行動することを大切にしています。そこで、さまざまな特性を持つパートナー(従業員)には、ご自身の特性に対しても前向きに取り組むことをお願いしています。例えば「チェックリストがあれば一人で業務を完遂できる」「マニュアルに自身の注意点を追加できればミスを減らせる」など、主体的に行動ができるようになって欲しいと考えています。

現在、障害者雇用としてはたらいている方は当社全体で35名です。渋谷の本社やサテライトオフィスでの勤務、店舗スタッフとしてなど、さまざまなフィールドで活躍しています。ダイバーシティSecにはJOBサポーターを配置して、特性に応じた業務の進め方のアドバイスや、定期的な面談の実施など、安定的な就労ができるよう環境を整えています。

坪内さんは入社前から弊社が展開しているブランドをいくつかご存知で、弊社のブランドのスーツを着用して面接に臨んでくれたのが印象的でした。特性により業務上の物忘れなどの課題はありますが、誰よりも仕事軸の捉え方が強く、注意を受けてもめげずに業務に取り組んでくれています。軸は持ちつつも、少しずつ視野を広げられると、会社からの期待に更に応えられる部分が増えていくと期待しています。

※所属・役職ほか記事の内容は取材当時のものです

就労移行支援事業所
ミラトレ大井町
所在地 :
東京都品川区大井1-49-12 大井町ビル 5F
営業時間:
8:45 – 17:45
電話番号:
03-6417-1622