ポジティブな思考を身につけ、就職活動への取り組み方が変わった

ミラトレ上野
勝久大成さん
ADHD(注意欠陥多動性障害)
- 通所期間
- 約24カ月
- 就職先企業
- 野村不動産ソリューションズ株式会社
就職までの道のり
- 利用開始
- 週3日利用からスタート。
- 6カ月目
- 週5日終日利用に変更
- 12カ月目
- 就職活動をスタート
- 24カ月後
- 就職内定!ミラトレ卒業
「支援員と通所生の壁がない」と、ミラトレへの通所を決意
就職活動に苦戦し、就労移行支援を利用することに
高校時代はExcelのIF関数などを学び、職業訓練校ではネットワークプログラミング科に在籍していたので、卒業後はIT関連の仕事に就きたいと考えていました。しかし就職活動が思うように進まず、はたらき方を見直して事務職に職種変更することにしたのです。しかし、就職活動のストレスから抑うつ状態になってしまいました。福祉課で医療機関を紹介してもらいカウンセリングを受けていたとき、地域支援機関を通じて就労移行支援の存在を知りました。アドバイスやフィードバックを受けながら就職活動を進められると知り、自分にぴったりの支援だと感じました。インターネット検索や個人のブログなどで情報を収集し、3カ所の就労移行支援事業所を見学することにしました。
ミラトレへの行き帰りも就労トレーニングの一環
ミラトレでは、支援員が通所生にまじって講座に参加する光景や、支援員からネクタイの結び方を教わっていた通所生の姿が印象に残っています。通所生と支援員との距離が近く、支援員と接していても壁を感じませんでした。ほかの事業所を見学した後も、そのときの印象が強く残っていたため、ミラトレへの通所を決意。自宅の最寄り駅から事業所まで片道1時間15分ほどかかりましたが、「通勤のトレーニング」だと考え、徐々に通所日数を増やしていきました。
障害者雇用枠の事務職に目標を定めてスキルアップ

実際の職場で役立つスキルを習得
ミラトレで自分に合うはたらき方を見つめ直し、障害者雇用枠でデータ入力などの事務職に就きたいと思うようになりました。障害者雇用枠であれば、障害があっても安定してはたらける体制が整っていると考えたからです。事務職を目指してWordやExcelなどオフィスソフトのスキルを磨き、はたらく力を養いました。擬似就労では、Excelを使った備品管理やマニュアル作成などの実務作業を通して、スキルを強化できたと感じています。
また、リフレーミングなどのメンタルケア講座を受講して、物事を客観的に見られるようになりました。ネガティブな考えも、視点を変えてみるとポジティブにとらえられることに気づいたのです。ポジティブシンキングが身についたのは、定期面談のおかげでもあります。支援員が親身に寄り添ってくれたので、就職活動だけでなく人間関係の悩みも相談でき、第三者視点のアドバイスに助けられました。
「苦手意識を克服したい」と、面接練習を反復
視野を狭めてしまわないよう、さまざまな企業の実習に参加しました。1社目でデータ入力の実習をさせていただきましたが、慣れない環境に緊張してなかなか質問できなかったことを覚えています。担当者から「もっと自分から発信できると良いですね」とフィードバックをいただき、2社目の実習では自己発信を実践できました。
しかし、就職活動における最大の難関は面接でした。学生時代から、2次面接がある求人への応募は避けていたほど、面接に苦手意識をもっていたのです。しかし、2次面接を避けていては選択肢が限られてしまうと考え、何人もの支援員に面接練習をお願いしました。特に印象に残っているのは、「言葉が出てこないときは、素直に“緊張しています”とひと言添えると良い印象を持ってもらえますよ」という支援員からのフィードバックです。本番の最終面接でもそのひと言を添えたことで、気持ちが落ち着きました。
ミラトレでは「はたらく力」を身につけるために、実践的なトレーニングを行える環境をご用意しています。
ミラトレの実践的トレーニング
誰もが安心してはたらける職場環境を目指して

勇気を出して、大手企業の求人に応募
野村不動産ソリューションズの求人は、ハローワークを通じて知りました。生活圏内の立派な営業店舗を見知っていましたし、私が希望するデータ入力の求人だったので、思い切って応募することにしたのです。課題だった面接では、家族とのエピソードを交えながら落ち着いて発言でき、練習の甲斐があったと感じています。最終面接を振り返ると、「企業説明会で聞いたことをもっと活かせれば良かった」などの反省点もありましたが、無事、採用通知をいただけてほっとしました。
チームのメンバーと助け合いながら、専門知識を吸収
現在は、2025年開設の「人財サポートセンター」で業務にたずさわっています。人財サポートセンターは、障害者雇用枠で入社した26名のメンバーが、さまざまな部署から業務を請け負う部門です。私は、自社サイトに掲載する情報のチェック作業や、社内システムを用いた物件情報の更新作業などを担当。資料作成においては、ミラトレの「手順書の作り方」講座で得た知識や、マニュアル作成の経験が役立っています。確認作業には複雑でイレギュラーな対応が求められますが、周囲に相談しながら対応策を見出してきました。
HTMLの知識が求められる業務では、オンライン学習やメンバーとの知識共有によってスキルアップを図っています。「皆さんのスキルアップには目を見張るものがあります」という担当者の言葉が、自信と成長につながりました。人財サポートセンターでは、さまざまな障害のあるメンバーが一緒にはたらいているので、同僚への配慮をよりいっそう意識しています。「どうすれば一人ひとりが安心してはたらけるのか」を考え、上司にアドバイスをもらいながら業務の進め方や伝え方を工夫しています。
先輩社員の背中を追いかけて成長したい
通所生からの励ましを胸に、これからも日々挑戦
以前は、苦手なことから目をそむけ挑戦することを避けていましたが、「今のままではだめだ」と思っていました。就職活動中、ミラトレの先輩通所生から「勝久さんは絶対に就職できる!」と言われ、その言葉を信じてみようと思ったのです。それ以来、どんなに苦手なことでも前向きに挑戦する気持ちが芽生えました。仕事でも、業務リーダーやミーティングの進行などに自ら挑戦しています。自分が目標としているメンバーの方は、業務の正確性や多角的な視点、情報の取捨選択など、見習いたいところばかりです。周囲のメンバーの教えを吸収しながら、日々精進したいと思います。
就労移行支援の利用を検討している方へ
就労移行支援の利用を検討している方は、まず見学相談や体験利用に参加してみてはいかがでしょうか。支援員の姿勢や雰囲気は事業所ごとに異なるので、自分の目で確かめることをおすすめします。私も、見学初日に感じた雰囲気は、今でも鮮明に覚えています。また、ミラトレの支援員は就職活動だけでなく生活面の相談にも親身に耳を傾けてくれるので、一人で悩みを抱え込むことがありませんでした。ささいな悩みでも、支援員に話してみてください。きっと、いろいろな視点で物事を見られるようになりますよ。
※所属・役職ほか記事の内容は取材当時のものです
企業担当者コメント
失敗を恐れず、多くのことにチャレンジしていろいろな経験をしていただきたい
(2025年2月現在)
野村不動産ソリューションズ株式会社は、野村不動産ホールディングスのグループ企業として仲介・CRE部門を担っています。不動産に関するあらゆるニーズに対して、最適なサービス・コンサルティングを提供しています。 また、当社は企業価値向上を目的としたD&Iを推進しており、様々な多様性を認め合い、互いに手をとり合いながら全社員が活躍することが新価値創造に繋がると考えています。 その為、障がい者雇用においても、いきいきと働き続けるための環境を整備しています。その一つとして勝久さんが在籍している「人財サポートセンター」は、一人ひとりが主体的に輝ける場となるよう、業務面と体調面のサポート体制を整えています。
勝久さんには就労経験がありませんでしたが、ミラトレで前向きに訓練に取り組んできた様子や、素直で誠実な人柄が伝わってきました。入社当初は戸惑う場面もありましたが、自分が何をすべきか考えられるようになり、着実に成長しています。まず人の話に耳を傾け、自分の言葉で発言するコミュニケーションスタイルや、責任ある業務にも自ら立候補する積極的な姿勢が好印象です。若いメンバーですが、新メンバーへの業務レクチャー等にも積極的にチャレンジしてほしいと思っています。
1on1ミーティングなどを通じて業務面の不明点には明確な答えを出すようにしていますが、ミラトレの定着支援が業務以外のフォローを担ってくださっています。勝久さんにとっても、支援員への相談が精神的な安定や日々の成長につながっているようです。今後もミラトレの定着支援と連携しながら、勝久さんがチャレンジの幅を広げられるようサポートしていきたいと考えています。