基礎知識

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就労移行支援事業所の選び方

採用担当がおすすめする、就職に繋がる就労移行支援事業所の選び方とは?

採用担当がおすすめする、就職に繋がる就労移行支援事業所の選び方とは?

全国に3000カ所以上ある就労移行支援事業所。それぞれの事業所に様々な特徴がありますが、選ぶ際に最も大切なことは、「自分の目指す仕事・企業への就職が叶うか」や「就職後に継続してはたらくことに繋がる訓練をしているか」を見極めることです。そこで今回は、企業の採用担当者から聞く「採用したい人材」「採用後に職場で長く活躍している人」の特徴をもとに、自分に合った事業所の選び方を紹介します。

はじめに : 就労移行支援事業所の主な種類と基本的な選び方

就労移行支援所

まずは、就労移行支援事業所にはどのような種類があるのか、そして、基本的な選び方について、簡単に紹介します。
就労移行支援事業所には、ビジネスマナーやビジネススキル又メンタルケアなど汎用的な訓練や講座を行う「一般型」と、職種や職域、障害種に特化した「特化型」の2つのタイプに分けられます。特化型の就労移行支援事業所は、ITやWebデザインなど専門分野に就職し活躍できる人材育成を目指した支援を行っている事業所や、障害特性に合わせた訓練を行う事業所があります。
就労移行支援事業所を選ぶ際には、まずは以下の3つのポイントを抑えましょう。

選び方 1 : 通いやすさ

就労移行支援事業所は通所を基本とした福祉サービスのため、自宅から通う必要があります。事業所までの距離や通所のための所要時間、どのような交通手段を利用するのかなど、無理せず通うことができるか、きちんと判断して選びましょう。

選び方 2 : 就職・定着実績

就労移行支援事業所の利用は「希望する企業への就職」と「就職後の定着」(長くはたらき続けられること)を目的としているため、これまでの「就職実績」や「定着率」がどの程度なのか、ホームページやパンフレットなどで公開している情報を確認しましょう。また、希望する業界や職種がある場合は、その実績も調べると良いでしょう。

選び方 3 : プログラムの充実度

就労移行支援事業所の支援内容にはそれぞれ特色があるため、希望する企業へ就職するために、求めるスキルやマナーを習得できるか、確認しましょう。また、「模擬ワークの回数」や「実習先との連携」など、実践的なプログラムがあることも大切です。

体験会や説明会などを定期的に実施している事業所もあります。直接見て、体験し、雰囲気を感じとることで、より自分に合った事業所を選びやすくなるでしょう。

採用担当者が「採用したい」と思う人、職場で長く活躍している人の特徴は?~就職に繋がる就労移行支援事業所を選ぶヒント~

就職・定着実績や充実したプログラムはあっても、自分が希望する就職に本当に繋がるのか、長くはたらき続けられるのか、気になる人もいるのではないでしょうか。就職やその後の活躍を叶えるためには「実際に、企業で活躍している人はどのような人なのか?」「長くはたらき続けるためには何が必要か?」「企業側はどのような人を採用したいと考えているのか?」を知っておくことが大切です。そこで、実際に就労移行支援事業所利用者を採用しているパーソルチャレンジの採用担当者に、採用の際に重視している点や活躍している人の特徴を聞いてみました。

求める職務遂行能力やスキルがある

私たちは採用活動を行うなかで、説明会などを通じ採用方針や、どのような人材を求めているかを伝えています。様々な企業の採用方針や、会社ではたらく上で必要なことについて情報を集め、求職者に対し訓練とて実施できている就労移行支援所もあります。そうした就労移行支援事業所は、企業側としても大変心強いです。

そのうえで、私たちが求めるスキルを持っているのかどうかも、大事なポイントです。事務職として採用する場合、一般的なレベルでのパソコンスキルが求められますし、専門職種の場合は相応のスキルがあるかどうかで判断します。一方でスキルだけでなく、業務を円滑に進めるための「職務遂行能力」も重視します。「仕事に対する意欲があるか」「同じ作業の繰り返しに抵抗がないか」「規則を守ることができるか」「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)ができるか」など、これらの能力がある人は現場で活躍できるでしょう。

障害受容ができている

「障害受容」とは、自分の障害を受け入れきちんと把握したうえで、客観的に伝えられることができれいるということが、私たちの採用で最も重視することの1つです。
自分自身の得意・不得意を認識できており、その上で、不得意なことに直面した際やストレスが発生しそうなときに、自分で対応できる人は、就職後も活躍できている傾向にあります。例えば、2015年に入社し、いまはリーダーとして活躍する社員(気分障害)は、何かが起きて気分が動いたときに、「何が起きたか」「どんな行動を取ったか」「どんな感情だったか」を書き出すそうです。その書き出したものに対して、客観的に赤字を入れる。赤字は、友人に対し前向きに捉え行動するためのアドバイスとなるように、意識して書いていたそうです。
もちろん、企業によって求めるレベルは異なりますが、「自分の障害に対して、自分の言葉で説明できる」ことは、どの企業に就職したとしても重要ではないでしょうか。履歴書や面接の場で、自分の障害や必要な配慮、対処方法について、自分の言葉で整理して具体的に伝えられる人は、障害の自己受容ができている人だと思っています。

自己管理ができる

自分の変化にいち早く気づくことができ、コントロールできる人は、現場で活躍している人に共通する特徴です。健康管理の仕方や生活リズムの確立、日常生活の管理など、これらは履歴書などで知ることができない部分であるため、企業によっては採用面接の際に、休みの日の過ごし方や睡眠時間に関する質問をし、把握しています。業務中に体調の変化があった場合、自分で対応できる人は企業側も積極的に採用したいと思える人材です。
また、困っているときに自ら発信できるかどうかも重要で、たとえ伝え方が上手くなくても、「伝えようとする意思」を見せることが求められます。これも自己管理の要素と言えるでしょう。

採用担当者からみた就職に必要なこと、就労移行支援事業所で身につけておいてほしいことは?

企業ではたらく上で必要なことや、そのために就労移行支援事業所で身に着けておいてほしいこととしては、以下が挙げられます。

職業準備性

職業生活を継続するための基本ベースとなる資質を「職業準備性」と言います。次の3つのことを身につけておけるとよいでしょう。
1,障害受容ができている
自分の障害を受け入れきちんと理解するのはもちろん、それを客観的に伝えられ、体調に変化が生たときに対応できる力が必要です。「障害がありながらはたらく」というイメージを、自分の中でしっかり描けるように準備しましょう。
2,はたらき続けるためのスキルや労働習慣がある
企業によって求めるスキルは異なります。希望する企業や職種でどのようなスキルが必要なのか、事前に調べ、実務や訓練を通して身につけておきましょう。また、スキルがあっても、継続的にはたらける「労働習慣」や「職務遂行能力」がなければ、存分に活かすことができません。基本的なビジネスマナーを習得し、ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)や規則順守に関する意識を高められるようにしましょう。
3,はたらき続けるための自己管理ができている
継続してはたらくためには、日常生活の管理や健康維持が欠かせません。生活リズムはすぐに改善できるものではなく、習慣化することが重要です。いざ、就職先が決まってから整え始めるのではなく、普段から規則正しい生活を送れるよう心がけましょう。
 

コミュニケーションスキル

はたらく上では、職場の人たちとのコミュニケーションは何より大切です。受け身にならず、主体的に行動する姿勢が求められます。「わからないときは自分から質問をする」「自分の考えを積極的に発言する」といったように、積極的にコミュニケーションをとるようにしましょう。そうしたやり取りの中で、自分のことを知ってもらい、相手のことを知ることができます。コミュニケーションスキルは、相手がいないと訓練できないため、就労移行支援事業所におけるグループワークを通して身につけられるとよいでしょう。

【実践編】就職に繋がる具体的な選び方例

ここでは、自分に合った就労移行支援事業所を選んだことで、就職に成功した人の実例を紹介します。就労移行支援事業所の選び方の参考にしてください。

事例 1 : コミュニケーション課題を克服し、事務職への就職

精神障害のあるAさんは、コミュニケーション全般に苦手意識や困難を抱えつつも、はたらく意欲があり就職を希望していました。
就職を目指すにあたり、自分の課題を克服することが必要と考えたAさんが選んだのは、コミュニケーションスキル向上のプログラムが充実している就労移行支援事業所でした。積極的にグループワークに参加するようにして、最初は支援員の方とペアを組み、徐々に他の利用者さんと関われるようトレーニングをおこないました。その事業所はグループワークによる模擬就業体験が充実しており、グループ内の発表やディスカッションを繰り返すことで少しずつ自分の意見が言えるようになりました。グループワークのおかげで、チームで働く面白さに気づき、リーダーも経験することで、はたらく自身も芽生えました。
また、支援員によるアドバイスやフィードバックから、グループワーク時の自分の特徴を掴んだと同時に、自身の障害を俯瞰的に見られるようにもなりました。
苦手だったコミュニケーションを重点的に訓練したことで、事務職としての就職が叶いました。現在も継続して勤務しており、活躍されています。
 

事例 2 : 障害に特化した就労移行支援事業所を選び、希望する企業へ就職

発達障害のあるBさんは、元々一般企業ではたらいていましたが業務面でのミスが多く悩んでいました。友人から指摘を受け、医師の診断を受けたところ、障害があることが分かりました。診断を受けてからは、障害者枠で就職活動を始めましたが、自分がやりたい事と募集内容のミスマッチに悩みました。
就職を目指すにあたり、前職での経験を生かし新たなスキルを獲得したいという思いもあったため、先端ITに特化した就労移行支援所を選びました。
通い始めるなかで、自分自身こうなりたいという明確なゴールを定め、支援員と共に具体的なキャリアプランの作成や個別の学習計画に沿って新たな専門性を獲得する訓練を重点的におこないました。その過程が企業様へと評価され、マーケティング職としての就職が叶いました。現在も継続して勤務しており、活躍されています。
 

まとめ:採用、就職後の活躍から考える、就労移行支援事業所選びのポイントは

今回の記事では、企業の採用担当者の目線から、選ぶべき就労移行支援事業所について考えました。
まとめると、就労移行支援事業所を選ぶ際には、

  • 自身の障害に対する「障害受容」や、長くはたらく上で必要なコミュニケーション、自己管理を支援してくれる事業所
  • 必要なスキルや能力を身に着ける支援をしてくれる事業所
  • 企業が求職者に何を求めているのか、どのような人材を採用したいと思うのかといった情報を持ち就職の支援をしてくれる事業所
を選ぶと良いでしょう。また、内定をもらうことや入社することがゴールではなく、その先の「長くはたらき続ける」を見据えて、就労移行支援事業所を選ぶことも大切です。