基礎知識

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就職ガイド –はたらく選択肢-

障害者雇用ではたらくとは?一般雇用との違いや障害者手帳の種類についてまとめました

障害者雇用ではたらくとは?一般雇用との違いや障害者手帳の種類についてまとめました

障害のある人が就職する際、障害のない人と同様の条件だと不利になってしまう場合があります。障害があってもはたらく機会を得て、さらに職業生活を通じて自立した生活を送れるよう、自治体や企業では「障害者雇用」という採用枠を設けています。
障害者雇用ではたらくことは、一般雇用でのはたらき方とどのように違うのでしょうか?
今回の記事では、それぞれのはたらき方についての違いと、実際に障害者雇用枠を利用して就職した人の事例も交えて解説します。

障害者雇用とは

障害者雇用とは、障害のある人が障害のない人と同様にはたらく機会を得られるよう、自治体や企業が特別な採用枠で雇用することを言います。障害があることを前提としているため、障害者手帳を持っている人が対象で、一般雇用とは異なる採用基準での就職となります。

知っておきたい障害者雇用率制度(法定雇用率)について

法定雇用率

日本には「障害者雇用促進法」という法律があります。その中で定められている制度の1つに、自治体や企業に対して一定の割合で障害者を雇用することを義務づけた「障害者雇用率制度」があります。企業には、法定雇用率以上の割合で障害者を雇用することが義務づけられているのです。
現在、民間企業の法定雇用率は2.2%で、社員が45.5人以上の企業であれば、障害者を1人以上雇用しなければなりません。2021年3月には2.3%に引き上がる予定です。

企業は合理的配慮の提供が義務づけられている

合理的配慮

「障害者雇用促進法」に基づき、企業は障害のある社員に対し、募集や採用の時点から「合理的配慮」を提供することが義務づけられています。
合理的配慮とは、障害のある人が職場で能力を発揮できるよう、「はたらきにくさ」について確認し、個別の対応や支援を提供することです。合理的配慮により、職場内においても障害の特性と配慮事項を理解してもらいながらはたらけるようになります。

障害者に対する差別は法律で禁止されています

差別の禁止

「障害者雇用促進法」では、障害を理由にした雇用における不当な差別を禁止しています。そのため、「障害者だからという理由で求人への応募が認められない」「業務上必要のない条件をつけて採用の対象から外される」などの対応は認められません。
また、就職後の待遇についても、単に「障害者だから」という理由だけで「昇進の対象としない」「雇用形態を変更する」などは差別に当たるとされています。

障害者雇用と一般雇用でのメリット・デメリット

障害者雇用と一般雇用ではどのような違いがあるのでしょうか。それぞれのはたらき方について、メリット・デメリットをご紹介します。

障害者雇用でのはたらき方

障害者雇用

障害者雇用ではたらく最大のメリットは、職場において必要な配慮が期待できることでしょう。
企業側と障害に対する認識をすり合わせ、「はたらきにくさ」への対応や支援について話し合う場が設けられます。必要な配慮には、ハード(環境)面・ソフト(意識)面のバリアフリー対策があり、障害者がはたらく上で大きな安心材料となるでしょう。
大企業の中には、障害者の雇用促進、安定を図るために「特例子会社」を置いている企業もあります。一般企業の障害者雇用枠よりもさらにサポート体制が充実しており、障害のある人の就職先として多く選ばれています。

一方で、人事評価制度や給与体系が一般雇用と異なることがあります。企業によっては、障害者個人の能力を適正に評価せず、単純な仕事や補助的業務を任せる場合もあるようです。
また、雇用形態を「有期雇用」としているケースも多く、キャリアアップを目指す方にとっては、これらがデメリットになるでしょう。配属先によっては、障害に対する理解や受け入れ方に差が生じる可能性があることも知っておきましょう。

一般雇用でのはたらき方

一般雇用

一般雇用ではたらく場合、選べる職種や求人数が多いため、選択肢の多さがメリットとなるでしょう。企業や能力・スキルにもよりますが、給与や昇進の機会も障害者雇用に比べ多いと言えます。家族など周囲の理解も得られやすいでしょう。

一方で、障害に対する理解が得られにくく、配慮を受けにくいことがデメリットです。一般雇用では、障害をオープンにしてはたらくこともクローズにしてはたらくこともできますが、例えオープンにした場合でも、障害者雇用のような合理的配慮は得られにくいと考えてよいでしょう。
障害のない社員と同等のはたらき方が求められるため、転勤や異動などはたらき方の変動にも応じなければなりません。

障害者雇用ではたらく際に必要となる障害者手帳

障害者雇用枠での就職を目指す場合は、手帳を保持していることが必須となり、事前に取得しておく必要があります。ここでは、身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳など、種類や申請方法などをご紹介します。

障害者手帳の種類

身体障害者手帳

身体障害者手帳は、身体上の障害がある人に対して交付する障害者手帳です。手足が不自由な人だけでなく、目や耳の不自由な人、心臓や腎臓機能などの内部障害がある人も対象です。
手帳は、市区町村の障害福祉担当窓口に申請し、都道府県知事・指定都市市長・中核都市市長が発行します。申請には、指定医により記入済みの身体障害者診断書と意見書、マイナンバー(個人番号)が記載された交付申請書、証明写真が必要となります。

精神障害者保健福祉手帳

精神障害者保健福祉手帳とは、長期にわたって精神疾患があり、生活に制約が出ている人に交付する障害者手帳です。統合失調症や気分障害、発達障害、アルコール依存症など、すべての精神疾患が交付の対象となります。
申請の際は主治医による診断書が必要ですが、初診日から6カ月以上経過していなければ交付の対象にはなりません。診断書と障害者手帳申請書、証明写真を揃えて、市区町村の障害者福祉担当窓口で手続きを行います。本人による申請が難しい場合は、家族や医療機関の職員などが代行することも可能です。

療育手帳・愛の手帳・愛護手帳など

知的障害のある人が取得できる障害者手帳もあります。手帳の名前は地域によって異なり、「療育手帳」「愛の手帳」「愛護手帳」などと呼ばれます。おおむね18歳以前に知的機能障害が認められ、それが持続している人が対象となりますが、制度や取得できる基準は自治体によってさまざまです。
申請窓口は18歳未満の場合は児童相談所、18歳以上の場合は知的障害者更生相談所など、地域によって異なりますので、詳しい内容はそれぞれの福祉担当窓口に確認しましょう。

就職事例:一般雇用枠から障害者雇用枠に切り替えて就職

就労移行支援事業所「ミラトレ」では、「合理的配慮によって自分の特性に応じたはたらきやすさを体現することができる」「企業と連携した定着支援を行うことができる」といった2点から、障害者雇用ではたらくことのサポートをしています。
また、障害者雇用ではたらくことは、安定した長期就労を目指す上で大切なポイントになるとも考えています。実際に一般雇用枠から障害者雇用枠に切り替えて就職活動を行った方の事例を紹介しましょう。

双極性障害がある40代男性Bさんの場合

就職事例

双極性障害がある40代男性のBさんは、障害により仕事につけない期間がありました。そのため、就労移行支援事業所「ミラトレ」を利用しながら就労準備をしてきました。障害者手帳を取得していなかったため、一般雇用枠で就職活動を進めます。
しかし、障害をクローズにしていることでブランク期間の説明がうまくできず、一般雇用枠での就職活動は難航。30~40社受けても内定には至りませんでした。

就職先がなかなか決まらない不安から、体調不良で休みがちになってしまったBさん。ミラトレの支援員は、「障害者雇用であれば、ブランク期間を療養期間や訓練の期間と説明がしやすい」「企業側が障害について配慮できれば双方安心してはたらける」という理由から、障害者雇用ではたらくことを提案します。
Bさんとともに「はたらくということ」に何を求めているかを整理し、障害者手帳を取得する動きとなりました。そして見事、障害者雇用枠で応募した企業に就職が叶い、障害に対する配慮を受けられる環境の中で、存分に能力を発揮しているそうです。

まとめ

障害者雇用ではたらく

今回の記事では、障害があることを前提としたはたらき方である「障害者雇用」についてまとめました。就労移行支援事業所は、障害者手帳がなくても利用できますが、障害者雇用枠での就職を目指す場合には障害者手帳の取得が必要です。
障害者雇用と一般雇用のどちらが自分に合っているのか、障害者雇用ではたらくメリットやデメリットを理解し、はたらき方を考える上での選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。