障害によってはたらくことが困難となり、やむなく退職する場合、退職後の生活に不安を感じられる方もいるのではないでしょうか。特に、次の就労先がみつかるまでの生活費をどのように工面したらよいかは、体調を安定させなければならない中で大きな負担となります。就労移行支援事業所を利用しながら就職を目指す方は、雇用保険や障害年金などの制度を積極的に利用しましょう。今回の記事では、それぞれの特徴や活用方法について、社会保険労務士の話も交えながら解説します。
目次
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1.就労移行支援事業所を利用しながら生活を安定させるには
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2.雇用保険(失業保険)とは
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2-1.障害者は一般受給者より受給期間が長い
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2-2.雇用保険申請に必要なこと
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3.障害年金とは
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3-1.障害年金の受給要件
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3-2.障害年金請求に必要なこと
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3-3.障害年金の金額
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4.就労移行支援を利用し就職を目指す方必見!障害年金の活用方法
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4-1.就労移行支援事業所の利用を検討される人の中には、生活への不安を感じる方もいるかと思います。どのような手続きから始めるとよいと考えますか?
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4-2.傷病手当金・雇用保険・障害年金は、どのような順番で申請するのが望ましいのでしょうか?
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4-3.障害年金を申請する際に、気をつけたいポイントはありますか?
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4-4.自分で請求することができない場合は、どうすればよいでしょうか?
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4-5.最後に一言、記事を読んでいる方へメッセージをお願い致します
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5.まとめ
就労移行支援事業所を利用しながら生活を安定させるには
日本には、失業中の生活を保障し就職活動に専念できるようにするための「雇用保険(失業保険)」と、障害や病気により生活や仕事などが制限される場合に受け取れる「障害年金」という制度があります。雇用保険と障害年金を活用すれば、生活を安定させながら就職に向けた準備をすることが可能です。それぞれの特徴や活用方法について、詳しくご紹介します。
雇用保険(失業保険)とは
障害者は一般受給者より受給期間が長い
●一般離職者と就職困難者(障害者を含む)の受給日数比較
雇用保険申請に必要なこと
雇用保険を受給するためには、お住まいの地域を管轄しているハローワークから失業認定を受ける必要があります。手続きの際には以下のものを準備しましょう。
- 雇用保険被保険者離職票
- 個人番号確認書類(マイナンバーカードなど)
- 身分証明書
- 写真(最近の写真、正面上半身、縦3.0cm×横2.5cm)2枚
- 印鑑(認印可)
- 本人名義の預金通帳、またはキャッシュカード
雇用保険被保険者離職票は、退職後に会社へ受け取りに行くか、郵送されます。もし会社から雇用保険被保険者離職票が交付されない場合や、特殊な事情がある場合には、ハローワークに相談しましょう。
障害年金とは
障害年金の受給要件
支給額はどちらの年金に加入していたかで異なります。
2つ目は保険料納付要件です。初診日の前日において「初診日の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと」または「初診日の前々月までの被保険者期間のうち、国民年金の保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上であること」のどちからの要件をみたしていること。
3つ目の受給要件は、「障害の状態に該当しているか否か」です。原則、初診日から起算して1年6カ月が経過した日を「障害認定日」といい、その時点で障害状態かどうかを障害認定基準により判断します。病気やケガが一時的なものではないことを確認するためのものです。また、障害認定日に障害の状態が軽くても、その後重くなったときは、障害年金を受給できる場合があります。
障害年金請求に必要なこと
障害年金を請求するためには、市区町村役場、または年金事務所や年金相談センターの窓口にて年金請求書をもらいます。必要な書類が揃ったら、市区町村役場、または年金事務所・年金相談センターに提出しましょう。障害年金の請求に必要なものは以下の通りです。
- 年金手帳
- 戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票、住民票の記載事項証明書のいずれか
なお、日本年金機構にマイナンバーが登録されているときは添付不要な書類もあります。提出時に提出先にご確認ください。 - 医師の診断書(所定の様式あり)
- 受診状況等証明書
- 病歴・就労状況等申立書
- 受取先金融機関の通帳等(本人名義)
障害年金の手続きは複雑です。自分で請求することも可能ですが、障害年金に精通した社会保険労務士に依頼すると、よりスムーズな受給につながるでしょう。
障害年金の金額
●障害基礎年金の金額(2020年度)
●障害厚生年金の金額(2020年度)
就労移行支援を利用し就職を目指す方必見!障害年金の活用方法
監修者:社会保険労務士 松山純子氏
- 【専門分野】
- 障害年金、労務管理など社労士業務全般
- 【略歴】
- YORISOU社会保険労務士法人代表社員。
卒業後、700名のうち約半数が障害者という福祉施設(身体・知的・精神)で人事総務およびケースワーカーとして10年以上勤務。障害があっても働きやすい環境整備と周囲の理解があれば就労は可能であること、社会とのつながりが人を元気にしてくれることを学ぶ。
平成18年松山純子社会保険労務士事務所を開業。平成29年10月に法人化を行い、YORISOU社会保険労務士法人となる。
就労移行支援事業所の利用を検討される人の中には、生活への不安を感じる方もいるかと思います。どのような手続きから始めるとよいと考えますか?
特に障害年金については、老齢年金や遺族年金ほど認知されていないため、知らない人も多いようです。就労移行支援事業所のスタッフや支援員も、これらの知識をきちんと身につけて、利用者に向けて発信できるとよいですね。雇用保険も障害年金も、国民の生活を保障するための制度です。
傷病手当金・雇用保険・障害年金は、どのような順番で申請するのが望ましいのでしょうか?
傷病手当金の支給期間は、同一の傷病については最長1年6カ月間とされています。そのため、傷病手当金の支給期間が終了する前に、障害年金の請求をするとよいでしょう。障害年金も在籍中に受給できます。障害年金は、初診日の1年6カ月後から受給開始となりますので、傷病手当金の支給期間中に請求しておき、終了のタイミングから障害年金を受給できると安心ですね。
そして、もし体調が安定せずに退職することになった場合は、雇用保険の手続きをします。雇用保険は失業状態にならないと受給できませんので、3つの中では最後に申請できるものです。
障害年金を申請する際に、気をつけたいポイントはありますか?
例えば「食事」についての質問には、食欲のあるなしだけでなく、「バランスの良いものを食べられているか否か」「自分の力で作ることができているか否か」といったように、日常で困難に感じていることをありのまま伝えられるようにしましょう。
医師の診察時間は短いことが多いため症状をきちんと伝えられないと聞きます。診断書にご自身の病状や日常生活の困難さを反映していただくことが大切です。医師に伝えるのが心配な方は、家族や支援員に同席してもらえると安心ですね。
自分で請求することができない場合は、どうすればよいでしょうか?
また、医師に診断書を依頼する際に重要な「日常生活の困難さ」をヒアリングし、医師に伝えやすいようにアドバイスも行います。
最後に一言、記事を読んでいる方へメッセージをお願い致します
まとめ
執筆 : ミラトレノート編集部
パーソルダイバースが運営する就労移行支援事業ミラトレが運営しています。専門家の方にご協力いただきながら、就労移行支援について役立つ内容を発信しています。
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