就職事例

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オーバーワークが原因で「うつ病」を発症

システムエンジニア/不動産業界
継続してはたらくことを目的に、就労移行支援事業所の利用を決意

継続してはたらくことを目的に、就労移行支援事業所の利用を決意

30代/男性/精神障害

今回は、うつ病の30代男性の就職事例をご紹介します。業務上のストレスからうつ病を発症されたDさんは、主治医からの紹介で「就労移行支援事業所」の存在を知ります。システムエンジニアとしての復職を希望していたDさんが、ミラトレを利用して就職するまでのストーリーと現在の様子をご紹介します。

突然起き上がれなくなり「うつ病」と診断される

体調不良

システム構築をメインとする企業で、正社員のシステムエンジニアとして勤務されていたDさん。班のリーダーとしてチームをまとめたり、上司との調整役を担っていたりしました。やりがいを持ってはたらけていた一方で、業務に関する相談を気軽にできない環境に悩んでいました。上司に相談したとしても明確な答えを得られず、自分で判断しなければならないことが多かったと言います。「本当にこれで大丈夫なのか」といった不安や悩みが徐々に大きくなり解消できなくなると、業務が思うように進まず、オーバーワークな状態になっていきます。

そのような中でも頑張って出勤を続けていましたが、あるときぱったりと起き上がれなくなってしまったそうです。病院へ行くと「うつ病」と診断されました。そのまま休職することになります。

医師から勧められて知った「就労移行支援事業所」

就労移行支援事業所への相談

うつ病の診断を受け休職していたDさんですが、休職期間中に症状が回復せず、そのまま退職となりました。はたらく意欲はあるものの、休職期間中にかなり体力が低下したと感じていました。体力をつけて復職したいことを主治医に相談すると、「就労移行支援事業所」を紹介されました。

インターネットで就労移行支援事業所について調べ、「ミラトレ」を見つけます。実際に事業所を訪れたとき、スタッフの丁寧な対応が好印象だったので、そのまま「ミラトレ」の利用を決意します。この時、自分が「うつ病」であることは理解していたものの、自分の障害にどのような特性があるのか、どのような時に症状があらわれるのかについてはわかっておらず、完全に障害を受容できているわけではなかったようです。

安定通所と「報連相」のトレーニングに注力

就労に向け体力を回復させたいという希望があったため、まずは「安定した通所」を目標にしました。「週に3日通所する」と支援員と決めたら、通所予定日に休んでしまったとしても他の日に振り替えるなど、極力約束した通所日数を守るようにしてもらいました。

またDさんには、「一度気になってしまうと質問しないと落ち着かない」という特性があったので、頻度や内容、タイミングを見極め適切な報連相ができるようトレーニングにも取り入れました。疑似就労のプログラムでも、「どのように報連相を行うのか」を意識して取り組んでもらいました。

一方で、自分の障害特性についてより深く理解するためには、自治体が開発した就労定着プログラムツールを利用しました。自分の体調を可視化し、客観的に見ることで、障害受容ができるようサポートを行っていきました。

通所開始当初の様子やその後の変化

通所開始直後は順調に通所できたものの、途中まったく通えない期間がありました。1カ月間一度も通所できないこともありました。そのため、面談を1~2週間に一度行うなど頻度を上げ、通所日数を増やすよう慎重に対応を行っていきます。丸一日事業所にいることが難しいときは、「午前だけ」「午後だけ」でもよいと、できるだけ長期の休みにならないよう工夫しました。

体調が辛く起き上がることも困難なときは、「休む」という連絡も思い通りにできないと悩んでいました。「休むことを咎められるのではないか」という不安もあったと言います。そのため支援員は「責めることはしない」「連絡がないと心配」といったことを伝え、本人の気持ちに寄り添いながら、報告の方法を一緒に探りました。その過程で、今の状態を「数字」で表すことが、負担なく連絡できることがわかりました。例えば「今日は3の状態なので休みます」といった感じです。この方法により、無断で休むことなく、きちんと連絡できるようになりました。

Dさんが自分の障害について正面から向き合うきっかけになったのは、自分と同じ体験をした人のブログを読んだことでした。ブログを通して「現在の自分の姿」を客観視できたそうで、「理想の自分」を目指すためにも「ミラトレに毎日通う」ことが重要であると気がついたと言います。

条件の洗い出しから見えた「障害者雇用」と「契約社員」という選択

コミュニケーション

ミラトレに通所し始めてから1年半になるという頃、本人からそろそろ就職活動を始めたいという要望を受けました。この頃、以前と比べて通所が安定しており、連絡・相談ができるようになっていました。数字的に見ても、月の出席率が90%を超えていたことから、就職活動というステップに進むことになりました。

企業研究をしながら、時間をかけてじっくりと条件の洗い出しをしました。いずれは正社員ではたらきたいものの、体力面での不安もあるため、時短勤務からスタートしたいと考えていました。障害者手帳も取得しており、一般雇用枠と障害者雇用枠の両方で求人情報を集めました。しかし、正社員で時短勤務の条件はなかなかなく、時短勤務を希望するならば障害者雇用枠の方が現実的とのことから、障害者雇用枠に絞り、契約社員から正社員を目指すことにしました。

慎重に数を絞り就活を進める

Dさんは転職エージェントに登録し、就職活動を進めました。今までの経験を生かした仕事をしたいという希望があったので、システムエンジニアに職種を絞り込み、応募をしていきます。就活への想いの強さから、最初から多くの企業にアタックをしたため、忙しくなり、うつの症状があらわれてしまいます。何社までなら無理なく就活を進められるのかを支援員と共に整理し、数を絞った就活に切り替えることにしました。

そして、不動産会社のシステムエンジニアとして内定に至ります。就職活動開始から約3カ月で内定獲得と、比較的スムーズに進んでいきました。希望の職種であったことに加え、「時短勤務が可能であること」「通勤が負担にならない距離」であることが決め手となったようです。

不安や疑問は一つずつクリアにできる環境で、評価も得ている

キャリアアップ

就職した企業では、充実した日々を過ごしているようです。就職時の配慮事項として、「気になったときにすぐ相談できるよう担当者を決めてほしい」ことを会社にお願いし、実際に対応してもらえていることが、安心してはたらけることにつながっているようです。また、月に一度の担当者との面談を通して、業務に関する評価も適切に受け取れているようです。

就労直後はコロナ禍により在宅業務がメインだったため、「報連相の数が足りているだろうか」「貢献できている実感がない」といった不安を抱えていたようです。ミラトレ支援員は、定着支援として、企業に対し、週に1回はしっかり時間をとってWeb面談を行ってもらうよう対応を促しました。現在は、週2日の出社になり、徐々に専門的な内容の仕事もできていることから、貢献できているとの実感も得られているようです。

ミラトレでのトレーニングにより、セルフケアも適切にできるようになったので、企業からも高い評価を得ているようです。支援員とともに取り組んだ「適切な報連相」も活かせているようで、相談や心配事を企業側にきちんと伝えられていると言います。将来的には障害者手帳を返還し、一般雇用として長くはたらいていきたいと考えているそうです。そのためにも、今は現職でしっかりと地盤を固めたいと、日々の業務に取り組んでいます。

※プライバシー保護のため、事実を元に文章を一部再構成しています。