基礎知識

公開日:2021/6/21更新日:2023/3/30
  • X
  • Facebook
  • はてなブックマーク
  • LINE
  • Email

就労移行支援事業所の選び方

就労移行支援事業所へ問合わせる際の事前準備と、見学の時に確認すべき5つのポイントを解説

就労移行支援事業所へ問合わせる際の事前準備と、見学の時に確認すべき5つのポイントを解説

就労移行支援事業所に興味はあるけれど「どのような事業所があるのか?」「連絡して何を聞けばいいのだろうか?」と疑問を持つ方もいるでしょう。今回の記事では、そのような方のために、就労移行支援事業所への問い合わせ方法や見学時に確認するとよいポイントなどを解説します。

就労移行支援事業所への問い合わせ方法には、メールや電話、オンラインでの相談があります。具体的に何を聞けばよいのか、確認ポイントを見ていきましょう。また、就労移行支援事業所ではそのほとんどが「見学」や「体験利用」を実施しています。実際に足を運んだ際に確認しておくとよい点についてもご紹介します。

資料請求

就労移行支援事業所と一口に言っても、事業所によって特徴はさまざまです。どのような事業所があるのか、まずは情報収集しましょう。お住まいの地域の役所へ行き、障害福祉課に相談すると、地域にある事業所の一覧表などをもらえる場合があります。医療機関に特定の事業所のパンフレットが置いてあることもあります。気になった事業所について詳しい情報が知りたいときは、事業所に電話やホームページから資料請求すると、パンフレットを郵送してくれるでしょう。

インターネットで検索しても、事業所を見つけられます。検索エンジンで「就労移行支援事業所×〇〇市」と入力すれば、お住まいの地域や通える範囲の就労移行支援事業所を知ることができます。そのままホームページ上の情報を確認して、資料請求に進むことも可能です。電話番号も必ず記載されていますので、電話で資料請求してもよいですね。
一つの事業所だけでなく、複数の事業所から資料請求すると後で比較しやすくなりますので、おすすめです。

資料の確認ポイント

資料が手元に届いたら、それぞれの就労移行支援事業所を比較してみましょう。「自宅から通える範囲の場所にあるか」「プログラムは充実しているか」「就職実績・定着実績はどのくらいか」といった視点で比べてみるとよいですね。

自分が何を重視して事業所を選びたいかによって、重点的に比べる箇所も変わってくるでしょう。障害特性に特化していると打ち出している事業所もあれば、ITやデザインなどの専門的なスキルが身につけられるという強みのある事業所もあります。就労移行支援事業所を利用する意味を考慮しながら、比べることをおすすめします。

相談

資料を見比べて気になる事業所をいくつか絞ったら、問い合わせましょう。電話・メール・オンラインなどで、相談に応じている就労移行支援事業所は多くあります。自分が利用条件を満たしているかをすぐにでも知りたいという方は、資料請求をせずに相談してもよいでしょう。また、事業所に相談する前に、主治医に意見を伺うことも大切です。自分では利用したい気持ちが強くても、体力的にまだ利用するのは難しいので、もう少し体力がついてからにしてはどうか、と判断される場合もあるかもしれません。

特定の職種やスキルに特化した事業所もありますが、そうでなくても事業所によって特徴はあるものです。自身に合った事業所選びは自分の進みたい道と事業所の特徴を照らし合わせて選ぶのがよさそうです。

自身の状態や意思、相談内容を整理する

相談したい内容は、あらかじめノートに書き出し整理しておくと、混乱せずにすみます。自分自身の状態や意思も整理しておくとよいでしょう。整理しておきたい内容は、例えば以下のようなものです。
  • 障害者手帳を持っているか、持っていない場合は取得する予定があるか
  • 現在の症状・疾患の状況
  • これまでの職歴
  • 就職したい時期
相談時に確認しておくとよい項目としては、以下のようなものが挙げられます。
  • 事業所の環境(駅から徒歩何分か、利用者の定員数など)
  • 自身と同じような症状の方の利用実績があるか
  • 利用可能な障害種別
就労移行支援事業所は、特定の障害がある人に特化したサポートをしているところと、障害種別を問わずに利用可能なところがあります。さまざまな障害のある人を受け入れている事業所であっても、利用者の障害種別を見てみると偏っている場合もあるものです。「自分と同じ障害のある人が多く利用しているところを選びたい」という方は、直接確認してみるとよいでしょう。

見学・体験利用の流れと持ち物

就労移行支援事業所を決める前には、「見学」や「体験利用」をして実際の様子を目にすることをおすすめします。見学や体験利用の際は、「どのような流れで行うのか」「確認した方がよいポイントはどこか」などを、あらかじめ知っておくとよいでしょう。多くの事業所の場合、見学は半日、体験利用は1日~数日間程度です。

見学・体験利用の流れ

就労移行支援事業所に足を運んで見学や体験利用をしたいと思ったら、以下のような流れで進みます。
  • (1)電話やメール、ホームページから見学・体験利用日時の申し込み
  • (2)決めた日時に事業所を訪問する
  • (3)スタッフや受付の方に「◯時から見学(体験利用)を申し込んでいる△△です」と伝える
  • (4)スタッフの方に施設を案内してもらい、説明を受ける
  • (5)体験利用についての振り返り
事業所までの行き方に迷う場合は、スタッフが最寄り駅まで迎えに来てくれることもあるので、事前に相談するとよいでしょう。

スタッフと個別で面談をする事業所もあり、現状についての相談ができることもあります。困っていることや就職したい時期などの状況に合わせて、就労移行支援をどのように利用するとよいかのアドバイスがもらえます。わからないことは何でも質問し、問い合わせの際に聞き忘れたことなども聞いてみるとよいでしょう。

見学・体験利用時の持ち物や服装

見学・体験利用に訪れる際は、指定がなければ、特別な持ち物は必要ありません。筆記用具とメモ帳などを持参し、必要なことをメモしておきましょう。見学時には、資料などを受け取ることもあるかもしれませんので、それらが入るバッグなどがあると便利ですよ。服装は私服で構いません。

就労移行支援事業所を一人で訪れることに不安がある方は、家族などの同伴も可能です。自分の気持ちや相談内容をうまく話せないのではないかと心配な方は、信頼できる方と一緒に訪れると安心です。

見学・体験利用での確認ポイント

就労移行支援事業所について実際に見聞きできる見学・体験利用の際は、自分に合った事業所かどうかを判断できるよう、ポイントをおさえて確認するとよいでしょう。主な確認ポイントをご紹介します。

ポイント1:事業所の場所

自宅から無理なく通える場所にあるか、駅からの距離はどのくらいかなどを確認するとよいです。電車やバスなどの公共交通機関が苦手な場合は、利用しなくても通える場所や、なるべく乗り換えの発生しない場所を選ぶとよいでしょう。電車やバスの利用にストレスがかかると、通うのも辛くなってしまいますので、自分にストレスがかからない距離を見極めましょう。

ある程度の体力があり、就職後を想定して通勤の練習をしたいという場合は、公共交通機関を乗り継いだ場所にある事業所を検討に加えるのもよいですね。事業所までの交通費は自己負担となりますが、一部の自治体では交通費の補助や、障害者手帳を持つ人に公共交通機関の運賃割引を行っているため、調べてみるとよいでしょう。

ポイント2:プログラム内容

事業所によって、用意されているプログラムも変わってきます。自分が希望する職種や、目標に役立つプログラムを受けられるかどうかもきちんと確認するとよいでしょう。基本的なPCスキルの訓練の他、ITや農業、整体など特定の分野に特化したプログラムを受けられる事業所もあります。自分に足りないスキルを補える内容かどうかも、確認してみましょう。

利用者以外に向けて公開講座を実施している事業所もありますので、実際に体験してみるのもよいですね。

ポイント3:就職実績・定着実績

その事業所を利用した人のうち、どのくらいの人が就職したのか、どのような企業に就職したのかなども確認するとよいです。希望する職種や業界がある方は、その職種への就職実績やその後の定着実績なども聞いてみましょう。卒業生の就職率や定着率は、その事業所の就職支援や定着支援がしっかりしているかどうかを判断できるポイントでもあります。職場実習を希望している方は、どのような企業で実習できるか、連携している企業があるかなども確認するとよいでしょう。

ポイント4:事業所の雰囲気

見学・体験利用をしてみると、その事業所の雰囲気が伝わってくるでしょう。アットホームな雰囲気に心地よさを感じる人もいれば、ビジネスライクな雰囲気を好む人もいます。事業所を訪れた際に、自分がストレスなく過ごせそうな場所なのか、利用者の表情やスタッフの対応などから感じてみてください。事業所内の清掃が行き届いているか、整理整頓されているかなど、自分の気になる点に目を向けることも大切です。

ポイント5:すぐに利用できるかどうか

就労移行支援事業所は、事業所ごとに利用者の定員数が決まっています。空きがなく定員オーバーな状態であれば、すぐに利用することはできません。利用者が就職すれば空きが出ますが、それがいつになるかは誰にもわからないです。また、既に空きが出るのを待っている人がいる可能性も考えられます。条件がよいので空きが出るまで待つのか、別の事業所を探すのかを判断するポイントにもなりますので、必ず確認しましょう。

まとめ

就労移行支援事業所を選ぶ際は、相談や見学・体験利用を通して、自分に合った事業所かを確認しましょう。就労移行支援事業所はあくまでも就労に向けた支援を行う場所であって、就職先を斡旋するところではありません。事業所に通うことがゴールではなく、自立して長くはたらき続けるための準備の場所であることを、きちんと理解しておきましょう。自分自身が納得して通える条件をきちんと整理し、はたらき続けるための準備が整えられる場所かどうか判断します。今回の記事を参考に、実際にいくつかの事業所に相談や見学に訪れ、自分に合った事業所を選べるとよいですね。

執筆 : ミラトレノート編集部

パーソルダイバースが運営する就労移行支援事業ミラトレが運営しています。専門家の方にご協力いただきながら、就労移行支援について役立つ内容を発信しています。