基礎知識

公開日:2025/10/31
  • X
  • Facebook
  • はてなブックマーク
  • LINE
  • Email

就職ガイド –はたらく選択肢-

過集中とは?特徴や発達障害(ASD・ADHD)との関連を解説

過集中とは?特徴や発達障害(ASD・ADHD)との関連を解説

過集中とは、時間を忘れるほど過度に集中してしまい、他のことに意識を向けにくい状態を指します。ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)など、発達障害のある人にあらわれやすいといわれています。過集中になると、一つの作業に没頭するあまり「食事を忘れてしまう」「他の重要な​​​​作業予定を失念する」など、日常生活や社会生活に支障をきたす恐れがあります。この記事では、過集中の特徴や発達障害(ASD・ADHD)との関連性、具体的な対策方法などについて紹介します。

過集中とは

過集中とは、特定の作業や活動に過度に集中することで、時間や周囲の状況を忘れてしまう状態を指します。一般的に、過集中の状態は数時間続く場合があり、その間、「食事を忘れてしまう」「睡眠時間を削ってしまう」「休憩を取らずに疲れてしまう」など、日常生活に悪影響を及ぼすことも多いです。

過集中は誰にでも起こりえますが、とくにADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)など、発達障害のある人に多く見られる傾向があります。

過集中をコントロールするためには、過集中が起こりやすい状況を自分自身で理解した上で対策をおこなうことが大切です。

ASD(自閉スペクトラム症)との関連

ASD(自閉スペクトラム症)の特性の一つに、「限定的な興味関心に対する強いこだわり」があります。好きなことや興味のあることなど特定の物事に対して集中しやすいため、結果として過集中が起こりやすい傾向にあります。

ASDにおける過集中は、ときに優れた成果を上げる場合もある一方で、他の活動や日常生活、人間関係がおろそかになりやすく、社会的に孤立してしまう可能性もあるため注意が必要です。そうならないためには、自分で対策をとる、周囲の人にサポートしてもらうなど、過集中を防ぐ工夫をしましょう。

ただし、ASDの特性が過集中を引き起こす可能性があるだけで、ASDのある人が必ず過集中になるわけではありません。

ADHD(注意欠如・多動症)との関連

ADHDも、過集中との関連性が強いといわれています。ADHDがある人は、「集中するのが苦手」というイメージがありますが、それは「興味のないこと」に対してです。例えば、ゲームや興味のある活動に対しては何時間でも集中して取り組める一方で、興味のないことに対しては集中が続かない場合があります。

また、ADHDの特性の一つに、「意識の切り替え」の難しさがあります。一度興味のあることに集中すると、自分の意志で他のことに意識を向けるのが困難になるため、結果として過集中を引き起こしやすい傾向にあるのです。

前述したASDと同じく、ADHDのある人がことごとく過集中になるわけではありません。ADHDの特性が過集中を起こしやすいということであり、過集中にならない人もいるでしょう。

過集中のメリット・デメリット

過集中のメリット・デメリットについて解説します。

過集中のメリット

過集中のメリットとして、主に次のようなものが挙げられます。
  • 過集中のメリット
    ・集中力が高い
    ・アウトプット・インプット量が多い
    ・斬新なアイデアの創出 など
過集中は、周囲の環境に影響されることなく物事に没頭できる高い集中力が特徴です。そのため、短時間で多くの知識やスキルを吸収したり、通常よりも多い仕事量をこなしたりといった高いパフォーマンスを期待できる場合があります。また、没入することにより、新たなアイデアの創出にもつながるかもしれません。

過集中のデメリット

過集中のデメリットは、主に以下のようなものが考えられます。
  • 過集中のデメリット
    ・生活リズムの乱れ
    ・健康への悪影響
    ・社会生活への影響
    ・人間関係の悪化
    ・燃え尽き症候群 など
過集中になることで、生活リズムが乱れやすくなります。食事や睡眠を忘れることで、体調に影響を及ぼしたり、家事がおろそかになったりと日常生活が立ち行かなくなる可能性があります。

仕事でも、集中力がコントロールできないと、作業予定を見落としたり時間管理ができなかったりと、業務に影響が出てしまうでしょう。

「人に話しかけられても気づかずに返事ができない」、「約束を忘れてしまう」などの不注意によって、人間関係にも溝が生じてしまいかねません。

また、過集中の後には、虚脱状態に陥りやすく、何に対してもやる気が出ない燃え尽き症候群のような状態になりやすいのもデメリットといえます。

過集中への対策

過集中を防ぐには、どうすれば良いのでしょうか。ここでは、過集中になりやすい人が、日々の生活の中で取り入れられる対策をお伝えします。

スケジュールを立てる

過集中を防ぐには、一日のスケジュールを立てて時間を管理することが大切です。一日のスケジュールを時間で区切り、作業する時間と休憩する時間を決めましょう。優先順位をつけておけば、作業の偏りをなくせるでしょう。また、適度に休息やストレッチなど軽い運動をはさむことで疲れすぎも防げるため、生活リズムの安定が図れます。

発達障害がある人にとって、時間管理は難しい課題ですが、タスク管理やスケジュール管理ができるツールの活用もおすすめです。

アラームを使う

アラームやタイマーを使うのも、過集中を防ぐのに有効です。一度過集中になってしまうと、時間の経過を忘れてしまいがちです。そのため、作業を始める前に休憩する時間をアラームやタイマーでセットしておくことで、過集中を防止します。例えば、「1時間ごとに休憩を10分取る」「◯時になったら次の作業をする」など、その日のスケジュールにあわせて設定すると良いでしょう。パソコンの場合、カレンダー機能を活用することで、パソコンから通知が来るようにできるのでおすすめです。

スマートフォンなどを使う場合、アラーム音は環境にあわせて設定しましょう。職場ではバイブレーションにしておくなど、周囲への配慮が必要となります。

家庭では、夕飯や就寝の時間を決めておき、生活リズムを保てるよう工夫すると良いでしょう。

また、過集中を防ぎつつ効率的に作業をおこないたい場合、タイマーを使った「ポモドーロ・テクニック」がおすすめです。作業を「25分間の集中」と「5分間の短い休憩」に区切り、これを繰り返す方法です。適度な休憩により疲労を軽減できるだけでなく、過集中の対策にも効果的です。

職場の理解を得る

自分で対策を取っても過集中を防げない場合、職場や周囲の人に協力してもらうのも一つの手段です。上司や同僚に、過集中になってしまい仕事で困っていることを伝え、サポートしてもらえるよう協力を仰ぎます。例えば、「時々声を掛けてほしい」とお願いしておくと、没頭しすぎるのを防げます。

リモートワークなどで直接声を掛けてもらうのが難しい場合は、チャットツールでメッセージを送ってもらいましょう。

没頭して良い日を作る

過集中をすべて禁止するのではなく、時間を気にせず没頭しても良い日を作るのもおすすめです。あえて過集中する日を設けることで、好きなことや趣味に思う存分時間を費やせるため、満足度が高まってストレス発散にもなるでしょう。ワーク・ライフ・バランスが保てることで、メリハリのある日常生活にもつながります。

ただし、生活リズムを崩さないよう注意が必要です。夜ふかししてしまうと、翌朝起きられず会社に遅刻したり、勤務中に集中できなかったりと仕事に影響が出てしまう恐れがあります。疲れを溜めない程度に楽しめる工夫が大切です。

過集中や発達障害など仕事でお悩みの方は就労移行支援事業所「ミラトレ」に相談しよう

今回は、過集中の特徴と対策、発達障害との関連性について解説しました。発達障害のある人と関連性の強い過集中は、周囲が見えなくなるため日常生活に支障が出やすく、仕事に悪影響を及ぼすリスクがあります。過集中を防ぎつつ、長くはたらき続けるためには、自身で対策することに加えて、職場など周囲の協力を得ることが大切です。

就労移行支援事業所「ミラトレ」では、障害のある人が自分らしいはたらき方を見つけ、長くはたらき続けられるよう就労をサポートしています。利用者さまの障害特性を理解した上で一人ひとりの課題や能力に配慮しながら、就職までの準備はもちろん、就職後の職場定着まで総合的に支援します。過集中や発達障害などで「はたらく上で困難がある」「就職に不安がある」といった悩みがある方は、気軽にご相談ください。

まずは、お気軽に
支援員にご相談ください

ご自身のお困りごとや
就職について
知りたいことも
支援員が親身にお話をうかがいます

資料請求 相談・見学

ミラトレの確かな実績 ミラトレの確かな実績

執筆 : ミラトレノート編集部

パーソルダイバースが運営する就労移行支援事業ミラトレが運営しています。専門家の方にご協力いただきながら、就労移行支援について役立つ内容を発信しています。