基礎知識

公開日:2025/2/27更新日:2026/10/29
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就労移行支援の制度解説

就労移行支援はお金がないと利用できない?生活費を支える制度や利用料を解説

就労移行支援はお金がないと利用できない?生活費を支える制度や利用料を解説

就労移行支援を利用したいけれど、「生活費が心配」「お金がないから利用できない」と不安を感じている人もいるのではないでしょうか。
この記事では、就労移行支援の利用料や、利用中に使える公的支援制度、お金がないときの相談窓口や対処法について詳しく解説します。

就労移行支援は収入を得る場ではありませんが、利用料は収入に応じて上限があり、生活費は雇用保険や障害年金などの公的制度で補える場合があります。お金の不安がある場合も、使える制度や相談窓口を確認したうえで利用を検討しましょう。

【この記事で分かること】
●就労移行支援の利用料・利用に必要なお金
●就労移行支援利用中に使える公的支援制度(雇用保険・傷病手当金・障害年金など)
●お金がないときの相談窓口や対処法
●お金が不安でも就労移行支援を利用するメリット

目次

就労移行支援でお金はもらえる?

就労移行支援は、はたらくための準備を行う訓練の場であり、原則として給料や工賃は支払われません。工賃が発生する就労継続支援A型・B型など、ほかの福祉サービスとの違いを理解した上で、自分に合った制度を選びましょう。

就労移行支援で給料・工賃はもらえない

就労移行支援とは、障害や難病のある人が、一般企業への就職を目的としたスキル習得や実習の場の提供といった就職活動におけるサポートを受けられるサービスです。障害者総合支援法による障害福祉サービスのひとつで、標準利用期間は2年間です。就職に向けた訓練の場であるため、給料や工賃は発生しません。

工賃が出る就労継続支援A型・B型との違い

就労移行支援とは別に、就労継続支援A型・B型という福祉サービスもあります。はたらきながら工賃(A型の場合は給与)を受け取れるのが特徴です。A型は事業所と雇用契約を結んではたらくため、原則として最低賃金が保障されます。B型は雇用契約を結ばず、自分のペースで作業に取り組みながら工賃を受け取ります。
就労移行支援は、一般企業への就職を目指してスキルの習得を行う場です。一方、就労継続支援は、福祉的なサポートを受けながら実際にはたらく場という違いがあります。

※関連記事:「就労継続支援A型とは?利用方法や他サービスとの違いについて」
※関連記事:「就労継続支援B型とは?A型・就労移行支援との違いや事業所の選び方を解説」

就労移行支援でかかるお金は?

就労移行支援を利用する場合、利用料や交通費などお金がかかる場合があります。ここでは、就労移行支援の利用でかかる費用について詳しく紹介します。

就労移行支援の利用料金は?

就労移行支援の利用料金(自己負担額)は厚生労働省によって定められており、前年の収入によって負担額の上限が決められています。収入は、18歳以上の場合は利用者とその配偶者の所得をもとに算定されます。18歳未満の場合は、保護者の属する世帯(住民基本台帳上の世帯)の所得となります。
区分 世帯の収入状況 負担上限月額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯(※1) 0円
一般1

市町村民税課税世帯

(所得割16万円未満:※2)
※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム等利用者を除きます。(※3)    

9,300円
一般2 上記以外 3万7,200円

※1 3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入がおおむね300万円以下の世帯が対象となります。
※2 収入がおおむね670万円以下の世帯が対象になります。
※3 入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、「一般2」となります。

詳細はこちらのページをご覧ください。
※参考:厚生労働省「障害者の利用者負担」
就労移行支援の利用にあたって、賃金の支払いは発生しません。そのため、就労移行支援に通っている間は、別の収入源を確保するか貯金を切り崩す必要があります。

就労移行支援利用中の生活費を補う方法について、以下で詳しく紹介します。

利用料以外で必要なお金は?

就労移行支援の利用料以外に、人によっては以下のような費用がかかるケースがあります。
  • 費用がかかるケース
    ●就労移行支援事業所に通うための交通費
    ●実習や面接に行くための交通費
    ●飲み物や昼食など食事代
    ●資格取得のための教材費や受験料
食事代は午前と午後両方のプログラムを受講する場合に必要となりますが、中には昼食を無料で提供してくれる事業所もあります。交通費は自治体の補助金や障害者手帳による割引など、受けられる支援があるか事前に確認しておきましょう。
また、就労移行支援の利用とは関係なく毎月の生活費が必要となります。とくに一人暮らしの人は、家賃や光熱費、普段の食費などの生活費を確保した上で就労移行支援を利用しなければならないため注意が必要です。

就労移行支援に通っている間の生活費はどうする?

就労移行支援の利用にあたって、賃金の支払いは発生しません。そのため、就労移行支援に通っている間は、別の収入源を確保するか貯金を切り崩す必要があります。

就労移行支援利用中の生活費を補う方法について、以下で詳しく紹介します。

生活費を支える制度の一覧表

制度 対象 内容 受給額(目安)
アルバイト・副業 原則、就労移行支援の利用者は対象外 就労移行支援に通いながら、はたらいて生活費の一部を補う方法 実際にはたらいた分の収入※原則不可。特別な事情がある場合のみ例外あり
雇用保険(失業保険) 離職前に雇用保険に加入していた人 求職活動中の生活を保障する国の制度 賃金日額の約50〜80%
傷病手当金 健康保険加入者で、病気やけがではたらけない人 療養中の所得を補償する制度(雇用保険と併用不可) 給与の約2/3程度(最長1年6カ月)
障害年金 病気やけがで生活や仕事に支障がある人 障害基礎年金・障害厚生年金の2種類(雇用保険と併用可) 等級や加入制度により異なる
生活保護 他の方法で生活費を確保できない人 食費・光熱費・住宅費・医療費などを保障する制度 自治体や世帯人数により異なる
給付金・貸付金 離職者や低所得世帯など(制度ごとに要件あり) 住居確保給付金、総合支援資金、臨時特例つなぎ資金など 制度により上限あり
家族からの援助・仕送り 家族の援助を受けられる人 家族から生活費などの援助を受ける方法 家庭内の取り決めによる

※あくまで目安です。制度の詳細や最新の金額は、各窓口で確認しましょう。

アルバイト・副業

就労移行支援を利用している間は、原則としてアルバイトや副業は認められていません。就労移行支援は「単独での就労が難しい人」を対象とした支援のため、はたらける状態とみなされると、利用の継続に影響する場合があるためです。ただし、生活が困窮しているなど特別な事情があり、通所に支障が出ない範囲であれば、自治体や事業所の判断で認められることもあります。まずは、事業所や自治体に相談しましょう。

雇用保険(失業保険)

雇用保険(失業保険)は、求職者の生活の保障を目的として支給される手当です。給付額は賃金日額の約50〜80%で、失業前の給与額と年齢によって変動します。自己都合での退職の場合、2025年4月の制度改正により給付制限期間は原則1カ月(過去5年以内に自己都合退職が2回以上ある場合は3カ月)に短縮されています。7日間の待期期間とあわせて、給付開始まで1カ月半程度を目安に考えましょう。なお、障害のある人で「就職困難者」に該当する場合は、給付日数が通常より長くなることがあります。

傷病手当金

傷病手当金とは、けがや病気などではたらけなくなったときに支給される手当金です。支給額は給与の約2/3程度です。会社を辞めた場合でも支給開始日から通算して1年6カ月間支給されますが、雇用保険との併用はできません。また、再就職した時点で支給は止まります。

支給終了後に雇用保険へ切り替えれば、最大で2年半ほど経済的な支援を受けられる場合があります。傷病手当金の支給には細かな要件がいくつかあるので、詳細は公式のサイトなどで確認しましょう。

※参考:全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」

障害年金

障害年金は、病気やけがによって生活や仕事に支障が出ている場合に受け取れる年金です。「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。傷病手当金と異なり、雇用保険と併用できますが、障害者手帳の取得よりも認定が難しいといわれ、申請書類も多いため、社会保険労務士などに相談する人も多くいます(依頼時は別途費用が発生します)。

家族からの援助・仕送り

就労移行支援を利用している間の生活費を補う方法として、家族から生活費などを援助してもらう人も多くいます。金銭面の心配が軽減される分、職業訓練や就職活動に集中して取り組めるのがメリットです。

生活保護

生活保護は、生活に困窮している人に最低限の生活を保障する制度で、食費・光熱費・住宅費・医療費などが支給されます。他の方法で生活費が確保できない場合に検討しましょう。受給額は自治体や世帯人数によって決まり、障害者手帳がある場合は増額されることもあります。

生活保護を受給するための条件や申請方法などの詳細は、お住まいの自治体に問い合わせてみましょう。

給付金や貸付金

自治体などが実施している給付金や貸付金制度を利用するのもひとつの方法です。
制度 対象者 支給額
住居確保給付金

・離職から2年以内
・就労意欲がある など

・賃料月額相当(上限あり)を支給(原則3カ月間、最大9カ月まで延長可)
総合支援資金
(生活福祉資金貸付制度)

・低所得者世帯

・失業や減収により生活が困窮している など 

   ・生活支援費の貸付(原則3カ月)

・住宅入居費の貸付
・一時生活再建費の貸付(上限あり)

臨時特例つなぎ資金

・住居がない離職者

・離職者を支援するための公的な給付制度または貸付制度を申請している など

・上限10万円の貸付

お金が不安でも就労移行支援を利用するメリット

就労移行支援は収入を得る場ではありませんが、就職に向けた準備を整え、長くはたらき続けるための力を身につけられます。ここでは、就労移行支援を利用するメリットについて詳しく解説します。

就職に向けて計画的に準備できる

生活リズムを整えながら、ビジネスマナーやPCスキル、コミュニケーション力などを段階的に身につけることができます。オフィスワークを想定したプログラムを通して、就職後に必要なスキルを計画的に準備できるのがメリットです。

自分に合う仕事やはたらき方を見つけられる

自分に合う仕事やはたらき方を自分一人で見つけるのは難しい場合があります。就労移行支援では、スタッフとの面談やプログラムを通して自己理解を深め、自分の職業適性や必要な配慮事項を整理できます。自分に合った仕事やはたらき方を見つけやすくなるのも、就労移行支援を利用するメリットのひとつです。

就職後も定着支援を受けられる

就労移行支援は、就職がゴールではなく、長くはたらき続けることを目指す福祉サービスです。就職後も定着支援を受けられるため、はたらき始めてからの不安や困りごとについても、引き続き相談できます。

お金に困ったときに相談できる生活困窮者自立支援制度

生活困窮者自立支援制度は、お金に困ったときに誰でも無料で利用できる相談窓口です。最低限の生活を維持するための包括的な支援が受けられます。相談者一人ひとりの状況に応じた支援プランを作成してくれます。
  • 主な支援内容
    ●自立相談支援
    ●家賃相当額の支給(住居確保給付金)
    ●6カ月~1年の就労支援
    ●就労訓練
    ●家計改善支援
    ●子どもの学習・生活支援
    ●一時的な衣食住の提供

お金がないときの対処法

お金がないときの対処法として、「お金を減らさない」ことも大切です。就労移行支援の利用中は、収入源も限られるため、以下のような工夫や心構えが求められます。

支出を減らして節約する

日常生活に必要なお金を見直して、不要な支出がないか確認しましょう。とくに家賃や光熱費、通信費など固定費の見直しは、支出の中でも割合が大きいため効果的です。そのほか、外食やコンビニでの買い物、衝動買いなどもできるだけ控え、支出は必要最小限に抑えましょう。

やってはいけないこと

お金がほしいからといって、つぎのようなことはやってはいけません。
  • やってはいけないこと
    ●ギャンブル
    ●リスクの高い投資(仮想通貨・FX)
    ●宝くじ
    ●カードローン(キャッシング)
    ●闇バイト
    ●闇金融 など
ギャンブルやハイリスクハイリターンの投資、宝くじなどは、余裕のある資金でやるものであり、生活費を稼ぐための方法ではありません。また、高額報酬のバイトなども注意が必要です。最悪の場合、知らないうちに犯罪行為に荷担させられてしまう恐れがあります。どうしてもお金が必要になった場合は、前述した相談窓口(生活困窮者自立支援制度)を利用するなど公的な機関を頼りましょう。

【Q&A】こんな場合でも就労移行支援は利用できる?

Q.アルバイトをしながら就労移行支援を利用できる?

A. 原則として認められていません。就労移行支援は単独での就労が難しい人を対象とした支援のため、はたらける状態とみなされると利用に影響する場合があります。ただし、生活が困窮しているなど特別な事情があれば、自治体や事業所の判断で認められることもあります。まずは事業所や自治体に確認しましょう。

Q.生活保護を受給しながら就労移行支援を利用できる?

A.生活保護を受給しながらの利用は可能です。自立に向けた支援の一環として通所が認められるケースがあるため、担当のケースワーカーに確認してみましょう。

Q.傷病手当金を受給しながら就労移行支援を利用できる?

A.医師から「労務不能(まだはたらけない状態)」と判断されている期間であっても、リハビリテーションや社会復帰に向けた取り組みとして就労移行支援を利用できるケースがあります。ただし、傷病手当金の支給要件との関係もあるため、利用を検討する際は主治医やご自身が加入している健康保険組合へ確認しましょう。

Q. お金がなくて就労移行支援を利用できるか不安です。まず何から相談すればいい?

A.収入面に不安があっても、まずは見学や事前相談の段階から就労移行支援事業所に相談できます。就労移行支援「ミラトレ」でも無料の相談・見学を受け付けているので、費用や制度について気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。

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就労移行支援の利用に不安がある場合は「ミラトレ」にご相談ください

就労移行支援利用中の生活費を補う方法について解説しました。雇用保険や障害年金など生活費を支援する制度のほか、お金に困ったときの相談窓口を活用すると、経済的な不安を軽減できる可能性があります。また、就労移行支援は収入を得る場ではありませんが、就職に向けた準備を整え、長くはたらき続ける力を身につけられる点も大きなメリットです。まずは、自分が使える制度や支援内容を確認してみましょう。
就労移行支援事業所「ミラトレ」では、障害のある方が自分らしいはたらき方を見つけ、長くはたらき続けられるようサポートしています。利用者の障害特性を理解した上で一人ひとりの課題や能力に配慮しながら、就職までの準備はもちろん、職場への定着までを総合的に支援します。
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※2024年度実績

監修者:戸田 幸裕(とだ ゆきひろ)

パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー
上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】
■国家資格キャリアコンサルタント
■障害者職業生活相談員