基礎知識

公開日:2022/12/16更新日:2023/3/30
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就労移行支援事業所の選び方

長期休職中の方に必要なリワークとは?取り組み内容やリワークの効果について解説

長期休職中の方に必要なリワークとは?取り組み内容やリワークの効果について解説

うつ病や適応障害など、精神的な不調が原因で休職している人に対し、職場復帰を支援するために行われている「リワーク」。休職中の方は、復職することに不安がある場合も多いのではないでしょうか。主治医や会社からリワークを勧められたけれど、どのような効果があるのかわからないという方もいるかもしれません。今回は、リワークがどのような制度なのか、具体的な取り組み内容や効果と合わせてご紹介します。

リワークとは

リワークとは、うつ病や適応障害、双極性障害などの精神障害が原因で休職している人に向けて行われる、復職支援のための制度です。主に医療機関や公的機関で実施されており、利用期間は3~7カ月が一般的です。長期間休職されていた方は、職場復帰をする際に心身ともに大きな負担がかかります。復職後に症状が再発し、再休職や退職する方も少なくありません。そのような事態を避けるためにも、リワークを活用し、復職してからも無理なくはたらき続けるためのスキルを身につけるとよいでしょう。

精神的な不調が原因で休職している場合、リワークを利用するタイミングはある程度の回復が見られてからとなります。まずはしっかりと療養し、十分な睡眠が取れていたり、体力的な回復が見られたりした段階で、医師も次のステップへと促します。リワークを利用するタイミングに迷う場合は、主治医にアドバイスを受けましょう。

リワークの効果やメリット・デメリット

リワークを経て職場復帰をすると、どのような効果が得られるのでしょうか。リワークを受ける効果やメリット、デメリットをご紹介します。

効果やメリット(1)復職の負担を軽減できる

休職中の生活と復職後の生活には大きなギャップがあります。リワーク支援を受けることにより、復職後の生活リズムに近い生活を送ることができるでしょう。段階的に心と体を慣らしていくトレーニングを行いますので、一度に大きな負荷がかかることはありません。

また、職場に近い環境で作業することにより、集中力を養ったり、グループワークを通してコミュニケーション力を向上させたりすることもできます。リワークのプログラムを通して、復職後の生活や業務に、無理なく適応できるようになるという効果が期待できるでしょう。

効果やメリット(2)セルフケアを習得できる

リワークでは、復職後も長くはたらき続けるために大切な「セルフケア」のスキルを身につけることができます。自己分析や自己理解、ストレス対処のスキルを学び、セルフケアができるようになれば、復職後にストレスを感じることがあっても、安定を保ってはたらくことができるという効果があるのです。

効果やメリット(3)専門のスタッフに相談できる

リワーク支援を行う医療機関や施設には、休職者の職場復帰を支援する専門のスタッフがいます。自身の障害特性や復職について、不安なことを相談し、アドバイスを受けましょう。

専門家からの客観的なアドバイスを受けながらプログラムに取り組めるほか、面談やグループワークなどを通じて対処法のヒントを得られるなど、一人ではできないこともできます。
復職後の再発防止策などについても相談できるので、復職時の不安軽減にもつながるでしょう。

デメリット

リワークの利用期間は、3~7カ月が一般的です。職場復帰にはある程度の期間を要するため、早く復職したい人にとってはデメリットに感じるでしょう。しかし、早く復職しても再発・再休職につながる可能性があるため、ある程度の期間でゆっくりと復帰を目指した方がよいとも言えます。

また、リワークの種類によっては医療費や利用料がかかる場合もあります。休職中に出費があることで、経済的にも心理的にもストレスを抱えるかもしれないことは、デメリットとなるでしょう。
そして、リワークは復職前提の方が利用できる制度です。失業中の方や転職を検討している方は利用できない点にも注意が必要です。

リワークを受けられる場所

リワークは医療機関、障害者職業センター、就労移行支援事業所などの就労支援機関で受けられます。施設によってプログラム内容や特徴が異なるため、それぞれご紹介します。

医療機関

精神科や心療内科などの医療機関で実施される医療リワークは、症状の回復や症状悪化の防止、生活リズムの安定などを目的としたプログラムを中心に実施されることが多いです。医師や看護師などの医療スタッフがいることが特徴で、医療行為の一環として行われるため、症状に気をつけながら通うことができます。

健康保険制度や自立支援医療制度を利用できることが特徴です。ただし、すべての病院で行っているわけではないため、通院している医療機関や主治医に確認するとよいでしょう。

障害者職業センター

各都道府県に設置されている障害者職業センターでは、職場への適応を目的とし、職場での業務を想定した業務訓練に重点を置いたサポートを行っています。休職者本人だけでなく、雇用事業主に対してもアドバイスや支援を行い、スムーズな復職をサポートしているのが特徴です。

障害者職業センターのコーディネーターが、休職者と事業主、主治医の三者とすり合わせ、プランを作成し、トレーニングを実施します。利用料は雇用保険から支払われるため、無料です。

就労移行支援事業所

障害のある人の一般企業への就職を支援している就労移行支援事業所でも、休職者を対象としたリワークを実施しているところがあります。就労移行支援事業所は、障害のある人の就職や職場定着のノウハウを豊富に持っているのが特徴です。

長くはたらき続けるために、さまざまなプログラムを用意しており、支援員との面談も行われます。定着支援という形で、復職後のサポートを受けることができるというメリットもあります。

就労移行支援事業所でのリワークの取り組み内容

就労移行支援事業所「ミラトレ」は、リワークプログラムを提供しています。具体的にどのような取り組み内容があるのかをご紹介します。

オフィスワーク(作業課題)

復職時に行うと想定される仕事と似た作業を、職場に近い環境で行い仕事に対する集中力を高めます。パソコンを使った作業や軽作業など、職場で行っていた業務に近い作業を選び、仕事のスキルや集中力を回復させる目的です。

また、復職後を想定し、同じ通勤時間に会社の前まで行く訓練も取り入れています。通勤時間に合わせて行動することや、電車通勤などにも慣れることが目的です。

認知行動療法によるストレスコントロール

認知行動療法を通して、ストレスに対する対処方法を身につけてもらいます。認知行動療法とは、ものの考え方や受け取り方に対し、自分の行動などを少しずつ変えていくことで、気持ちを楽にしたり問題の解決策を見出したりし、ストレスを軽減させる心理療法です。

自分がどのような場面でストレスを感じやすいかを把握し、その対処方法を身につけられれば、同じような状況になった際にストレスコントロールができるようになります。
自分が無意識に陥ってしまう思考パターンや、考え方の癖に気づくことができ、ストレスに対する対処方法を身につけられれば、復職した際にもストレスコントロールが可能となるのです。

グループワーク

グループワークで、対人コミュニケーションの向上を図ります。グループで作業訓練を行うことで、復職後の上司や同僚とのコミュニケーションを想定することが可能です。他者とのコミュニケーションの中でお願いしたり断ったりなど、相手に配慮しながら自分の意見を伝える方法も学んでもらいます。また、スポーツやゲームなどに取り組むプログラムもあり、体力回復やストレス解消の効果も期待できます。

医療機関・企業との連携サポート

リワークの支援員が医療機関や企業と連携し、復職に向けたサポートを行います。本人との面談はもちろん、家族面談にも対応しており、自分一人では対処が難しい場面でも支援を受けることが可能です。復職に向けて、支援員が主治医や人事と連携し、復職後の職場環境や労働条件についてのすり合わせを行うこともあります。復職にあたり、どうしたら安心してはたらけるのかといった情報整理を支援員と共に行い、上司や人事と面談する際の伝え方を身につけてもらいます。

まとめ

長期休職している方に向けた、職場復帰のための制度であるリワークについて説明してきました。休職期間が長くなればなるほど、復職を考えると焦ってしまうことも多いでしょう。リワークを利用することで、復職に向けて段階的に生活リズムを整えることができ、長くはたらき続けるためのセルフケアを身につけることもできます。

復職後のはたらき方に悩んでいる場合は、専門家からのアドバイスも受けられるリワークを検討してみてはいかがでしょうか。就労移行支援事業所「ミラトレ」でも、リワークを行っている事業所がありますので、一度相談してみてください。

執筆 : ミラトレノート編集部

パーソルダイバースが運営する就労移行支援事業ミラトレが運営しています。専門家の方にご協力いただきながら、就労移行支援について役立つ内容を発信しています。