基礎知識

公開日:2023/12/31
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就労移行支援の制度解説

障害者総合支援法とは?施行された目的と対象者やサービス内容を解説

障害者総合支援法とは?施行された目的と対象者やサービス内容を解説

障害者総合支援法は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」です。「障害者自立支援法」を名称変更し、障害者の定義に難病などを追加して、一部を除き2013年に施行されました。障害者と障害児を対象とした生活支援や自立支援、相談支援などの福祉サービスは、この障害者総合支援法のもとに提供されています。今回は、障害者総合支援法の成り立ちと、福祉サービスの内容・申請方法などを解説します。

障害者総合支援法の目的

障害者総合支援法とは、障害のある方の日常生活や社会生活を総合的に支援するための法律です。障害の有無にかかわらず、人格と個性を尊重しながら安心して暮らせる共生社会の実現を理念のひとつに掲げています。以前に施行されていた「障害者自立支援法」は、障害の種別に分かれていて使いにくかったことや、地方公共団体によってサービスに違いがあったことなどから、下記のように法律が見直されました。
  • 障害のある方に対する支援
    1.重度訪問介護の対象拡大
    2.共同生活介護(ケアホーム)の共同生活援助(グループホーム)への一元化
    3.地域移行支援の対象拡大
    4.地域生活支援事業の追加
障害者の定義に難病などを追加したり、障害者支援の多様なニーズに応えられるよう支援を拡充したりと、さまざまな整備がおこなわれましたが、基本的な構造は障害者自立支援法と変わりません。

サービスの二本柱である「自立支援給付」「地域生活支援事業」とは

障害者総合支援法のサービスには、大きく分けて「自立支援給付」と「地域生活支援事業」の2つがあります。自立支援給付は個人給付とも呼ばれ、障害の種別にかかわらず、障害のある方が必要なサービスを受けられる制度です。就労訓練や介護などのサービスが、一人ひとりのニーズに応じて提供されます。地域生活支援事業は、地域の実情や利用者の状況に応じて自治体が柔軟におこなえる事業です。
※参考:厚生労働省「地域生活支援事業

障害者総合支援法のサービスを利用するには

障害者総合支援法のもと、障害のある方やご家族のニーズに応じて幅広いサービスが提供されています。この章では、サービスの対象者や内容、申請方法を取り上げます。

対象者

障害者総合支援法のサービス対象者は、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)、難病による障害のある方です。一人ひとりに合った支援を提供できるよう、自治体から派遣された認定調査員が本人や家族に聞き取りをおこない、心身の状態を確認した上で必要な支援の度合いを明らかにします。
※参考:厚生労働省「調査認定について

内容

自立支援給付の対象となる主なサービス内容をまとめました。

介護給付

サービス 内容
居宅介護(ホームヘルプ) 自宅で食事や入浴、排せつなどの介護を受けられる
重度訪問介護 原則として18歳以上で、肢体不自由・知的障害・精神障害のいずれかにより日常生活に課題をもつ、障害支援区分4以上の方が、自宅での介護や外出のサポートを受けられる
行動援護 さまざまな危険を回避できるよう、外出などの支援がおこなわれる
重度障害者等包括支援 介護の必要性が高い場合、居宅介護をはじめ複数の介護サービスが提供される
児童デイサービス 子どもの発達を支援するため、基本的な動作の指導や集団生活への適応訓練などがおこなわれる
短期入所(ショートステイ) 施設で短期間の介護、機能訓練、医療処置、日常生活上の世話を受けられる
療養介護 著しく重度の障害者に対して、医療機関で機能訓練や看護、介護を受けられる
生活介護 昼間の介護サービスとともに、創作的活動や生産活動など、身体機能や生活能力の向上のために必要な援助が受けられる
施設入所支援 施設に入所した際、夜間や休日の入浴や排せつ、食事などの介護、生活などに関する相談及び助言、その他の必要な日常生活上の支援が提供される

訓練等給付

サービス 内容
自立訓練(機能訓練・生活訓練) 自立した生活を送るために必要な訓練を、一定期間受けられる
就労移行支援 一般企業などへの就職に向けて、最長2年間、必要な訓練がおこなわれる
就労継続支援(雇用型、非雇用型) 一般企業などではたらくことがむずかしい方を対象に、はたらく場所が提供され、必要な訓練を受けられる
自立生活援助 一人暮らしできるよう、定期的な訪問や必要な支援がおこなわれる
就労定着支援 就労した方が長くはたらき続けられるよう、障害のある方と企業の間に立って課題解決に取り組む支援がおこなわれる
共同生活援助(グループホーム) 共同で生活するグループホームで、夜間や休日、介護やサポートを受けられる

相談支援

サービス 内容
地域移行支援 施設や医療機関から新生活へ移行するための支援がおこなわれる
2地域定着支援 単身などで生活している場合も万一のトラブルに対処できるよう、連絡体制の確保がおこなわれる

補装具

サービス 内容
補装具費支給制度 義肢や車いすなど補装具を購入する費用が支給される

利用料金

障害者総合支援法のサービス(障害福祉サービス)の料金は、基本的に1割を利用者が負担します。ただし、多くのサービスを利用する方が高額の料金を負担しなくても良いように、月ごとの上限額が設定されています。世帯における所得に応じて4つの区分に分かれており、決められた額以上の負担が発生しないようになっています。
所得区分 世帯の収入状況 負担上限月額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯 0円
一般1 市町村民税課税世帯(所得割16,000円未満) 9,300円
一般2 上記以外 37,200円

申請から利用までの流れ

障害者総合支援法のサービスを利用するには、市町村の障害福祉窓口や都道府県が指定する指定相談支援事業者に相談し、申し込みをおこないます。申請から支給決定までの大きな流れは次の通りです。
受給者証が交付されたら、サービスを提供する事業者と契約します。
  • 相談・申し込み
     ↓
  • 利用申請
     ↓
  • 認定調査(自宅で認定調査員の聞き取り調査を受ける)
     ↓
  • 障害支援区分認定
     ↓
  • 市町村の支給決定(利用意向などの聞き取り調査を受けて、サービスや支給量などが決定)
     ↓
  • 受給者証の交付

障害者総合支援法が2度の改正で見直された内容を解説

障害者総合支援法は2012年の成立後、社会の変化に合わせて支援を充実するために改正が重ねられてきました。

2018年の主な改正内容

2018年の一部改正により、変更された主な内容は次の通りです。
●障害のある方が自ら望む地域生活をおこなえるよう、「生活」と「就労」に対する支援を充実
●就労移行支援事業所や就労継続支援事業所から一般就労に移行する方が増加していることから、「就労定着支援」「自立生活援助」という新たな事業を創設
●障害のある方が65歳を超えても、継続して介護保険サービスを利用しやすいよう、介護保険サービスの利用者負担を軽減
●多様化する障害児支援のニーズに合わせて、重度訪問介護や医療的ケアを必要とする障害児の支援を充実
●障害の区別なく自立訓練を利用できる仕組みに改め、障害特性に応じた訓練を身近な事業所で受けられるよう見直し

2021年の主な改正内容

2021年には、下記をはじめとする内容の改正がおこなわれました。
●障害のある方の重度化や高齢化に対応できるよう、グループホームの報酬見直しなどを実施
●就労移行支援の質向上や医療型短期入所の受け入れ態勢の強化
●医療的ケアを必要とする障害児の支援や、放課後デイサービス、障害児入所施設の充実
●心のケアを必要とする方に向けた支援システムを強化
●感染症まん延や災害など万一の事態が発生した際も、障害のある方に対するサービスを再開・継続できる体制づくりを推進
●障害のある方が、安全確保以外の目的による身体拘束や虐待がないよう指針を作成

就労移行支援事業所を活用するためのポイント

ここまで、障害者総合支援法について解説してきました。就労移行支援の充実も、障害者総合支援法改正の狙いのひとつです。就労移行支援とは、一般企業などへの就労を目指す障害のある方のために、就職準備や就職活動を支援する事業を指します。障害者総合支援法のもと、事業所間でノウハウを共有したり、支援員のスキルを向上したりと、さまざまな取り組みによって支援の質の向上が図られてきました。

就労移行支援事業所を選ぶ際は、トレーニングの内容や事業所の雰囲気とともに、就職率を確認しましょう。就職率の高さは、利用開始から2年以内にビジネススキルを培い、就労への道を歩み出した利用者が多いことを示しています。

※関連記事:「採用担当がおすすめする、就職に繋がる就労移行支援事業所の選び方とは?

さまざまな仕事への道が開ける就労移行支援事業所

数ある就労移行支援事業所の中でも、「ミラトレ」は高い平均就職率を誇っています。全国の就労移行支援事業所における平均就職率52.9%に対して、ミラトレ全事業所の平均就職率はそれを大きく上回る86%。ご利用者様一人ひとりの障害特性や社会人経験・スキルなどを踏まえた上で、ご希望条件に合ったはたらきやすい職場を見つけられるようサポートしています。就職活動中の支援はもちろん、ご利用者様と就職先との架け橋になって就職後の定着支援をおこなっているため、就職後もご安心ください。
就労移行支援についての疑問、ミラトレに関するご質問やご相談など、お気軽にお問い合わせください。

執筆 : ミラトレノート編集部

パーソルダイバースが運営する就労移行支援事業ミラトレが運営しています。専門家の方にご協力いただきながら、就労移行支援について役立つ内容を発信しています。