就職事例

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目標を見える化し、一歩ずつ進むことを意識

事務職/建築業
実習を通して自分に合った雰囲気の職場と出会う

実習を通して自分に合った雰囲気の職場と出会う

30代/男性/発達障害

今回紹介するのは、ADHD(注意欠陥・多動性障害)のある30代男性の就職事例です。仕事でのミスが多く不注意優位型の「ADHD」と診断されたHさんが、ミラトレを利用して就職するまでのストーリーと現在の様子をご紹介します。

ミスや物忘れが多い日々。病院で「ADHD」と診断される

設計作業

Hさんは、建築関係の職場で、正社員として設計などの仕事をされていました。仕事をする中で、上司からの指示を間違って認識してしまい、別のことをして怒られたり、短納期の作業での優先順位がわからず残業時間が多くなってしまったり、一度に複数の情報処理ができず混乱しミスを頻発したりといったことがあったそうです。夜眠れないことや物忘れなどもあり、上司から指摘され、本人も違和感があったことから病院を受診。そこで不注意優位型の「ADHD(注意欠陥・多動性障害)」と診断されたそうです。ミラトレに来られる3年ほど前のことでした。

診断を受けたことや、職場での人間関係がうまくいっていなかったことから退職されたそうですが、障害に対しては悲観的にならず受け入れることができたと言います。その後、職業訓練に通ったり、派遣社員としてはたらいたりと3~4回転職を繰り返しました。

自分の特性に合った仕事で長くはたらきたい

建築関係

契約社員としてはたらいていたHさんは、契約満了が近づく頃、障害者の転職・就職支援サービスに登録し、次の就職先を探していました。家族からも就職を望む声が上がっていたことも重なり、残業せずに長くはたらき続けたいと考えるようになったといいます。登録した転職エージェントのキャリアアドバイザーから、就労移行支援事業所「ミラトレ」を紹介され見学に来られました。

契約社員としても建築関係のお仕事を続けていたそうですが、自分の特性に業界が合っていないのではないかと感じていたそうです。長くはたらき続けるために自分の特性に合った仕事がしたいと考え、他の業種を知るためにもトレーニングを受けたいと感じ、ミラトレの利用を決意されました。

目標を見える化し、一歩ずつ進むことを意識

「自分に合った仕事が知りたい」「遠慮せずに発言・発信できるようになりたい」という本人の希望をもとに、個別支援計画を作り込みました。その際目標としたのは「一日一人への声掛けをしてみましょう」というものです。過去の仕事上の経験から、怒られることが多く自信のない印象も受けたので、できていることはきちんと伝えるようにもしました。

通所する中で、他の利用者の様子を見て焦りを感じ、最初の目標を見失うこともあったそうです。振り返り面談の中で、状況の確認や新たな目標を設定するなどし、今月の目標を見える化するようにしました。焦りから先へと進もうとしてしまう様子が見られたので、今月はここまでの目標でよいと伝え、一歩ずつ進むことを意識しました。

通所する中で、他の利用者の様子を見て焦りを感じ、最初の目標を見失うこともあったそうです。振り返り面談の中で、状況の確認や新たな目標を設定するなどし、今月の目標を見える化するようにしました。焦りから先へと進もうとしてしまう様子が見られたので、今月はここまでの目標でよいと伝え、一歩ずつ進むことを意識しました。

通所開始当初の様子やその後の変化

ミラトレを利用する直前まで仕事をされていたため、体力的な問題もなく、はじめから安定して通所できた方でした。ただ、ご家庭内の環境の変化から睡眠不足な様子が見られたため、支援員が話を聞いたり面談の希望を出してもらうようお願いしたりしました。睡眠が安定しないこともありましたが頑張って通所され、欠席も少なかった印象です。

障害コントロールの点においては、自分で苦手なことはわかっているものの、「実際どうコントロールすればよいか」や「どう対処すればうまくいくのか」については、認識できていないようでした。疑似就労のプログラムを通して、少しずつ習得していきました。疑似就労では総務部に配属されます。当時、当事業所がオープンしたばかりだったため、総務部においては立ち上げの部分を担っていただきました。その中で仕事中にメモを取ったり、話し合いが始まれば率先して議事録を取ったり、他の利用者に対しても様子を見ながらリーダーシップを発揮していたと感じています。報連相などのビジネススキルも、この疑似就労を通して身につけてもらえました。

一方で、曖昧な指示を理解するのが難しい場面も見受けられました。支援員が依頼したことに対し、どの程度やればよいのかが判断しづらい様子でした。自分なりにやってみようとするのですが、考えすぎてしまうこともあったのです。指示は曖昧にせず、なるべく丁寧に伝えるように工夫しました。徐々に自己発信ができるようになってくると、判断に困った場合は、少しずつ質問もできるようになっていきました。

就労実習を通して自分に合っている雰囲気の職場と出会う

総務での業務

本人や家族からなるべく早く就職したいという希望があり、直近の就労経験もあってビジネスマナーも問題なかったため、利用開始から2カ月後に開催された「職場体験マッチング会」へ参加してもらいました。多くの企業が集い、障害があってはたらく意欲のある方と面談し、就労実習へとつなげる目的で開催されているものです。このマッチング会を通じて、2社の就労実習へと進みました。

1社目の実習先は、大きな会社で人数も多かったためか、緊張してしまったと言います。2社目は反対に、特例子会社のサテライトオフィスでの実習だったため、人数も少なく雰囲気も自分に合っているように感じたそうです。2社目の実習先からのお声がけもあり、こちらの企業への応募へと進みました。

人柄も穏やかで、自分の言葉で自分の特性を話すことができたHさん。この点が企業からも高く評価され、声がかかったようです。サテライトオフィスの立ち上げスタッフとしての募集だったため、疑似就労での総務部の経験が、企業へのアピールにもつながりました。応募書類の作成時に、どこまで書類を作り込むかの判断がうまくいかず、自身が満足するまで突き詰めようとする特性も見られましたので、支援員から「ここまで」と提案することで、質・量ともに選考に適切な書類作成へと至りました。そして、見事この企業から内定を得たのです。利用開始から約5カ月後のことでした。

新しい場所で作り上げることに貢献したい

就職先は建築系の特例子会社で、現在は事務職としてはたらいています。建築業界は自分の特性に合っていないのではないかと悩んでいた時期もありましたが、やはり建築業界への捨てきれない思いがあったようでした。建築関係の資格を保持していたことも影響したようです。そして何よりも、立ち上げに携わることで新しい場所で作り上げることに貢献したいという思いや、他のグループ会社の助けになることに喜びを感じられることから、こちらの企業を選ばれたと話していました。

実習を通して感じた、安心して一つずつ丁寧に作業に取り組めそうな職場の雰囲気も、魅力的に映ったようでした。企業に対しては、曖昧な指示や口頭だけの指示が苦手であることを伝え、明確で、図などを用いた指示をしてほしいと配慮を求めています。複数のタスク処理も苦手であるため、業務の優先順位を明確にしてもらうことも伝えています。

安心してはたらける職場を見つけられ、資格の勉強も

プライベートの充実

周りをよく見て行動ができ、周囲の提案も素直に取り入れ行動に移せるHさんは、自分が安心してはたらける職場を見つけられたことで、定着し活躍できているのだと感じています。目標も自分で定めて取り組むことができる人でもあります。

就職後の定着支援の中では、同僚とどう打ち解けてよいか悩んでいたり、家族間での意見の相違があったりといった話を聞きました。同僚とのコミュニケーションに関しては、企業も交えた3者面談の場で「いきなり仲良くならなくても、徐々に馴染んでいけばよい」という上司の考えを聞いてもらうことで落ち着いた様子でした。家族間では、過去に話し合って解決した事例を再確認してもらい、改めて話し合うことで解決できたようです。

現在、プライベートでは、資格の勉強をしながら頑張っているそうです。職場では、他の方へのサポートが上手な点を活かして、リーダーのようにメンバーのフォローができるようになりたいと言います。そして週5日の契約社員から、ゆくゆくは正社員を目指したい、いつか可能であれば資格を活用したはたらき方をしてみたいとも話しています。

※プライバシー保護のため、事実を元に文章を一部再構成しています。