基礎知識

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就職ガイド –はたらく選択肢-

就職を目指す人向け「障害者トライアル雇用」「チャレンジ雇用」活用のメリットを解説

就職を目指す人向け「障害者トライアル雇用」「チャレンジ雇用」活用のメリットを解説

一般企業への就職を目指す障害のある方の中には、職歴がないあるいは就労経験が乏しい、ブランクがあるなどの理由で、なかなか採用に結びつかない方もいるかもしれません。そのような方が就職への段階的なステップを踏めるときに役立てていただきたいのが「障害者トライアル雇用」と「チャレンジ雇用」という制度です。

「障害者トライアル雇用」は、何らかの理由で就職に不安のある人が、一般企業で一定期間試しにはたらいてみる制度です。一方の「チャレンジ雇用」とは、就労経験の少ない障害のある人が一定の期間、国や地方公共団体の機関で非常勤職員としてはたらき、その後一般企業などへの就職へとつなげる制度を指します。はたらく先が一般企業か公共機関かといった違いがあることを覚えておくとよいでしょう。

障害者トライアル雇用とは

「障害者トライアル雇用」とは、はたらいた経験がない職業への就業を希望している、長い期間はたらいていなかった、もしくは離職・転職を繰り返している、などといった理由から、就職に不安のある人が、一般企業で一定期間試しにはたらいてみる制度です。双方が合意すれば、トライアル先の企業への就職も叶います。障害者は、このトライアル雇用の期間で仕事内容や職場環境に慣れることが可能です。また企業側は、業務や職場への適性、能力を見極められます。
昨今「障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)」をベースに障害者の雇用を促進する動きが広がっており、就労移行支援事業所でも就活フェーズにある利用者に「障害者トライアル雇用」を適宜活用しています。

障害者トライアル雇用の対象となる人

障害者トライアル雇用は、障害の種類や原因を問わず、障害のある人を対象とした制度です。障害者手帳を所持していない場合でも、障害がある人であれば対象に含まれることがあるため、自身が対象者に当てはまるかどうかをハローワークの窓口で尋ねてみましょう。

障害者トライアル雇用は、障害があることに加え、以下の条件のいずれかに当てはまる人が対象となります。

  • (1)これまでにはたらいたことのない職業に挑戦してみたい方
  • (2)過去2年以内に2回以上離職や転職を繰り返しており、長くはたらき続けられる職場を探している方
  • (3)直近のはたらいていない期間が6カ月を超えているが、再び就職しようと考えている方
  • (4)薬重度身体障害、重度知的障害、精神障害のうちいずれかのある
    ※4の方は、1~3の要件に関わらず、障害者トライアル雇用の対象になります。
障害者トライアル雇用には、「障害者トライアルコース」と「障害者短時間トライアルコース」があります。「障害者トライアルコース」では、週20時間以上はたらきます。精神障害や発達障害のある方で、週20時間以上の勤務が難しい場合は「障害者短時間トライアルコース」が利用できます。「障害者短時間トライアルコース」では、週10~20時間から始め、体調や職場環境への慣れに合わせて徐々にはたらく時間をのばし、最大12カ月かけて、週20時間以上の就業を目指します。

雇用期間と応募方法

障害者トライアル雇用の雇用期間は、原則3カ月となっています。精神障害者を初めて雇用する場合は、最大12カ月間です。ただし、障害者短時間トライアルコースの場合は、3カ月から12カ月の間で、企業と相談の上期間を定められます。また、現在障害者のテレワーク推進のため、テレワークによる勤務を行う場合は、トライアル雇用期間を最長6カ月まで延長できるとしています。

障害者トライアル雇用への応募は、ハローワークや民間の職業紹介事業者を通して行います。「障害者トライアル雇用求人」を探し、応募しましょう。書類選考がないため、応募した人は必ず面接へと進めます。ハローワークには障害について専門的な知識をもつ担当者が、就職に関する相談に応じる「障害者専門窓口」がありますので、相談するとよいでしょう。

トライアル雇用のメリット

トライアル雇用ではたらくメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。
  • 自分の適性と新しい仕事が合っているかを見極められる
  • はたらく前の不安を軽減できる
  • 新しい職業に挑戦できる
  • 面接までのハードルが低い
  • 賃金を受け取りながらスキルを習得できる
トライアル雇用では、自分に適性のある仕事なのかといった業務内容に加え、職場環境や通勤環境を判断することもできます。特に、就労経験が乏しかったりブランクがあったりする場合は、新しい職場への不安も多いことでしょう。それらの不安を軽減できるのが、トライアル雇用のメリットと言えます。

また、一般的な求人は書類選考から始まることが多いですが、トライアル雇用への応募は面接から始まります。選考のハードルが一般的な求人よりも低くなる点もメリットとして挙げられるでしょう。今まで経験したことのない職業に挑戦できる利点もあります。トライアル雇用中は、実際に業務を行いますので、業務を通して新しいスキルを身につけることもできるでしょう。

チャレンジ雇用とは

チャレンジ雇用とは、障害のある方を国や地方公共団体の非常勤職員として就労し、その経験を生かして一般企業などのへの就職へとつなげる制度です。一般企業などへの就職につなげるための制度なので、トライアル雇用のようにそのままはたらき続けることは叶いません。

トライアル雇用同様に、はたらいた経験がない方や乏しい方、はたらくことに不安があり就職に向け経験を積みたい方などが活用できます。

チャレンジ雇用の推進が打ち出されている背景には、「障害者自立支援法」の施行があります。障害者が地域で安心して暮らせる社会の実現のために、障害者の就労支援が本格的に強化されたのです。その後成長力底上げ戦略(基本的な構想)が提案され、福祉から雇用への「重点施策実施5か年計画」が策定されました。この中でチャレンジ雇用の促進と拡大が大きく打ち出され、各府省・各自治体でチャレンジ雇用を実施することとされたのです。

チャレンジ雇用の対象となる人

チャレンジ雇用の対象は主に知的障害者ですが、身体障害や精神障害のある方も対象です。はたらいた経験がないまたは乏しい、はたらいていない期間が長いなどの理由から、就職に向けて仕事の経験を積みたい人が活用できます。障害の種類や障害者手帳の有無、年齢などの応募条件は求人ごとに異なるようです。

雇用期間と応募方法

チャレンジ雇用の雇用期間は、最大3年となっています。1年以内の期間を単位として契約更新することが多いようですが、それぞれの業務内容に合わせて対応するため、職場により異なります。

チャレンジ雇用の求人は、ハローワークで見つけることができます。障害者職業センターや就労移行支援事業所でも、チャレンジ雇用の求人を探すことができます。応募はハローワークを通して行いますので、ハローワークで求職者登録をしておくとよいでしょう。

チャレンジ雇用のメリット

チャレンジ雇用ではたらくメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。
  • 職歴が得られる
  • 一定期間はたらけた実績になる
  • 国や地方自治体ではたらいた経験が自信につながる
  • 賃金を受け取りながら企業での就労を目指せる
チャレンジ雇用は、就労経験が乏しい方やブランクのある方が活用できる制度なので、職歴を得られる点は大きなメリットとなるでしょう。一定期間安定してはたらいた経験は、実績となり、就職活動においてもアピールできる点となり得ます。国や地方自治体で、仕事の経験を積むことができるため、自信にもつながりますし、実際に仕事をする中で自分の強みなども見えてくるでしょう。賃金を受け取りながら、企業での就労を目指せる点もメリットの一つと言えます。

就職事例:トライアル雇用にチャレンジして得た多くの気づき

ミラトレの利用者でうつ症状のある20代女性のBさんは、就職活動においても自信が持てずにいました。そのような中、トライアル雇用に挑戦します。トライアル雇用の最中、不安に感じることもあったようですが、企業側からの評価は高く、採用したいと声をかけてもらったそうです。
トライアル雇用を経験し、就職活動での優先順位も変化しました。業務内容を重視して選ぶことが多かったのが、はたらく環境をより大切にしたいと気づいたようです。トライアル雇用で通勤も経験し、苦手な満員電車を避ける時間帯を見つけたり、症状に支障のない移動時間を探ったりしたと言います。結果的にBさんはトライアル先の企業への就職は辞退したものの、苦手なことに対する自分なりの克服方法を見つけるきっかけとなりました。このようにBさんにとって、トライアル雇用は多くの気づきを生む経験となったようです。

まとめ

障害のある方の中には、就職に関するさまざまな不安を抱えている方も多いでしょう。はたらいた経験が乏しかったり、しばらくはたらけていなかった期間があると、就職のハードルが高く感じることもあるかもしれません。環境や業務内容が自分に合うのか、就職先で長くはたらけるのかといった不安を持つ方は、障害者トライアル雇用やチャレンジ雇用を通して、就労経験を積むという選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。