障害のある人が就職活動を進める際、「就職できない」「就職してもすぐに離職してしまう」といった悩みや不安を抱えることもあるでしょう。支援員から客観的に評価してもらうことができる就労移行支援事業所を利用した場合、自分一人での就職活動に比較して離職につながりにくいとも考えられています。この記事では、就職活動で失敗せず、長くはたらき続けられるような企業選定のポイントなどを、ミラトレ利用者の就職事例を交えて解説します。
目次
離職理由から考える、障害者が就職活動で重視すべき点とは
厚生労働省が行った「平成25年度障害者雇用実態調査」によると、精神障害者が前職を離職した理由としては「個人的理由」が56.5%と最も多い結果でした。その主な内容は「職場の雰囲気・人間関係」が32.8%で第1位、次いで「賃金、労働条件に不満」29.7%、「疲れやすく体力、意欲が続かなかった」「仕事内容が合わない(自分に向かない)」が同率28.4%となっています。
<参考>厚生労働省「平成25年度障害者雇用実態調査(PDF)」(外部サイト)
このようなミスマッチを防ぐ手段としては、就労移行支援事業所の活用が有効です。就労移行支援事業所では、支援員から客観的に評価してもらうことで、ご自身の障害について理解を深めたり、障害特性をコントロールするトレーニングを受けられます。就労移行支援事業所では、実際にどのような就職活動のサポートを行っているのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
就労移行支援事業所における就職活動のステップ
ステップ1:自己分析をする
ステップ2:はたらく条件を考える
ステップ3:業界・企業研究をする
具体的な職種のイメージがない場合は、支援員と相談しながら、さまざまな業界を「知る」ことから始めるとよいのではないでしょうか。面談などを通して、どのような仕事が合っているのか、アドバイスを適宜受けながら業界・企業研究を進めましょう。
ステップ4:応募書類の作成・面接準備
面接準備においても、支援員からのアドバイスをもとに、しっかりと準備することが大切です。支援員からは、自分の長所や不安点などを正しく伝える方法のアドバイスや、面接練習のフィードバックを受けられます。面接時の身だしなみや姿勢、話し方などに注意して、面接の練習を繰り返し行いましょう。
応募企業の探し方と選び方
応募企業の探し方
■ハローワーク
求人件数が多く、就職先を無料で紹介してくれるサービスです。障害のある方の就職件数も豊富で、障害者雇用に関しては専門の職員に相談ができます。障害者手帳がなくても利用できますので、一般雇用枠を検討している方にも適しています。
■就職・転職エージェント
障害者に特化したエージェントを利用する方法もあります。専任アドバイザーに就職活動の相談や、自身に合う求人の紹介を受けることが可能です。就職活動に必要な書類の添削や面接対策、内定後の入社日や給与交渉なども担当してくれます。ミスマッチが少なく、はたらきやすい企業を紹介してもらえる点がメリットと言えるでしょう。複数のエージェントに登録することで、自分に合ったエージェントを見つけられるかもしれません。
■就職フェア・合同面接会
民間会社やハローワークの主催で実施される、合同就職説明会に参加すれば、多くの求人・企業と直接出会えます。業界や職種が絞れていない場合でもさまざまな企業から説明が受けられる点がメリットです。その場で求人に関する相談や面接ができ、効率よく選考へとつなげることもできるでしょう。
■障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターでは、就業に関する相談支援・就職に向けた準備支援・就職活動の支援等を行っています。就職活動においては、求人の紹介だけでなく、求人で見つけた職場が自分に合うかどうかの精査もしてくれます。就職後には、雇用契約の調整や定着支援などのサポートも受けられます。
求職者視点で見る応募企業の選び方
例えば、自己分析をしてはたらく条件を考えてみると、おのずと見えてくるかもしれません。「自分が求める配慮事項を受け入れてもらえる企業か」「障害者雇用の実績がどの程度あるのか」「自分のやりたい仕事ができる企業か」などの観点を持ち応募企業を選ぶとよいでしょう。
就職活動を成功に導くための4つのポイント
【就職活動を成功に導くための4つのポイント】
- 長期就労・自立に向けて以下の3つの動き出しができているか。
- 「安定して通所できているか(体力面)」
- 「自己発信ができるか(自走性)」
- 「環境の変化に適応できるか(柔軟性)」
- 客観的に自分自身を理解し、障害受容ができているか。
- 就労体験をし、ご自身の状態・はたらける条件を知ったうえで、応募企業とのミスマッチがないか。
- 就職活動に対して、納得するまで時間をかけられているか。
ミラトレ利用者の就職事例
広汎性発達障害がある30代女性Aさんの就職活動
そのような努力が実り、障害者のための転職エージェントから紹介された求人に応募し、見事採用。事務職に就くができました。
統合失調症がある20代女性の就職活動
業務内容よりも、「相談のしやすさ」や「人間関係」を重視し、「業務上のサポートが得られること」「通いやすさ」などから応募先を選択。見事就職につなげました。
まとめ
就労移行支援事業所を利用して就職活動を行うと、利用者に寄り添ったアドバイスが受けられるため、自身の希望する企業への就職が叶う可能性が大きくなります。企業とのミスマッチを防ぐためにも、自分自身や支援員としっかりと向き合い、はたらく条件や企業に求める配慮事項を明確にすることも大切です。今回の記事を参考に、さまざまな方法を用いながら就職活動を行い、自分に合った仕事を見つけられるとよいですね。
執筆 : ミラトレノート編集部
パーソルダイバースが運営する就労移行支援事業ミラトレが運営しています。専門家の方にご協力いただきながら、就労移行支援について役立つ内容を発信しています。
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