就職事例

公開日:2023/3/28
  • X
  • Facebook
  • はてなブックマーク
  • LINE
  • Email

自分を客観視できたことで、社会人として大きく飛躍

事務職/金融業
発達障害の20代女性Dさんの就職事例

発達障害の20代女性Dさんの就職事例

20代/女性/発達障害

発達障害を抱えながらはたらくことに、難しさを感じる方もいるのではないでしょうか。1人で自分の適性に合った就職先を探したり、就職後の悩みと付き合ったりするのは大変かもしれません。パーソルダイバースの就労移行支援事業所「ミラトレ」を利用し、一般企業への就職をかなえた卒業生は多くいらっしゃいます。今回紹介するのは、発達障害の20代女性の就職事例です。タスク管理やコミュニケーション面に課題のあったDさんが、就労移行支援を活用して就職するまでのストーリーと現在の様子を紹介します。

コミュニケーション面の課題から病院を受診し、発達障害が見つかる

Dさんは、子どもの頃からコミュニケーション面で困りごとが多く、小学生時代には先生から発達障害の可能性について一度お話があったそうです。その後の成長過程でも常に人間関係の悩みを抱えていたそうですが、努力を惜しまない性格を活かし、病院を受診することなく学校を卒業し、一般雇用枠で就職しました。

ご本人なりに精一杯仕事に取り組んでいましたが、求められる業務に対応できなかったり、先輩と思うようにコミュニケーションが取れなかったりと、困難を感じることが多かったそうです。そのような時、発達障害者と縁のある知人から「発達障害に似た特性を持っているかもしれない」と言われ、病院を受診しました。

そこで発達障害であると診断され、障害との付き合い方を模索します。再就職しても同じ壁にぶつかり、転職と退職をくり返してしまいました。「1人で自分の特性に合った職場を見つけられるだろうか」と不安を感じていた時、友人からの紹介でミラトレと出会います。就職の準備から職場定着までのサポートを受けられ、仕事に関する悩みを1人で抱え込まなくても良くなることを知り、ミラトレ入所を決意されたそうです。

自分を客観視することが課題克服につながった

ミラトレ入所前から規則正しい生活習慣が身についていたこともあり、週5日のフルタイムで通所を開始しました。障害受容に対して前向きで、自ら発達障害の特性について調べていたそうです。同じ発達障害の方でも一人ひとり特性は異なることをお伝えしながら、Dさんの特性に合ったサポートを検討しました。

何より驚かされたのは、就労意欲の高さと、「入所から一年で就職する」と決めてトレーニング期間や就職先の検討期間、実習・書類作成期間まで詳細なプランを立てていたことです。プラン実現に向けた取り組みをスタートしましたが、トレーニングの中でさまざまな課題が見えてきます。目の前の課題を一つひとつクリアできるよう、試行錯誤の日々が始まりました。

メモを取る訓練を通じてタスク管理を習得

課題のひとつは、複数のタスクが発生した時に臨機応変な対応ができず、パニックになってしまうことでした。落ち着いて対応するため、実際の業務を想定してメモを取る訓練をしていただきました。開始当初は、メモすべき要点が抜けていたり、急いで書いたために走り書きになってしまい後から読み返せなかったりすることがありました。

支援員が、落ち着いてメモを取るためのメンタルコントロールや、メモすべき事柄の選択方法について繰り返しアドバイスをおこなううちに、落ち着いて対応できるようになっていきます。初めはメモ用紙を3枚も使っていましたが、最終的には1枚の用紙に要点をまとめられるようになり、タスク管理に対する自信につながりました。

グループワークでコミュニケーション力が向上

もうひとつの大きな課題がコミュニケーション力でした。前職の経験をうかがうと、相手の話に耳を傾けることができれば、さまざまなトラブルを避けられることがわかりました。グループワークに参加してもらい、メンバーの話を最後まで聞くトレーニングをおこなってもらいました。会話の内容をしっかり把握できているか認識をすり合わせるとともに、ご本人の言動が周囲からどのように見えているかお伝えしました。このトレーニングを通して、相手の目線に立って話を理解する力が身についたようです。

また、アンガーコントロールの受講をきっかけに「認知のゆがみ」に関心を持ち、ゆがみのパターンや症状、対処法について学んだそうです。講座がきっかけとなり「自分自身を見つめなおすことができた」と話してくれました。

自分から発信する大切さを学んだ擬似就労

ビジネススキルを高めるため、擬似就労にも取り組んでいただきました。所属先の総務部では、業務を進める中で人との関わりあいを避けてしまうために、情報共有ができないという課題が見えてきたのです。その課題を克服するため、決まった時間に必ず進捗状況を報告してもらうことにしました。その際、大切にしていただいたのは、ご自身の状況を整理することと、メンバーへの伝え方を工夫することです。

初めは、ミスをすると責任を回避しようとする傾向がみられましたが、状況を客観的に見ることで、徐々に自分の果たすべき役割を理解されたようです。また、メンバーへの伝え方を工夫するうち、周りの方の気持ちに配慮できるようになりました。どのような方法やタイミングで伝えれば良いか相談してくれるようになっただけでなく、メンバーの進捗状況を確認してフォローできるまでになりました。

本人の計画に沿って希望する事務職を目指し就職活動を開始

トレーニングの成果が実り、ご本人の計画通り入所9カ月頃から本格的な就職活動をスタートしました。すべての課題がクリアになったという訳ではありませんが、ご本人に克服しようという強い意志と行動力があったので、就職活動を開始しても問題ないと判断しました。一般雇用枠と障害者雇用枠のメリット・デメリットを比較検討した上で、障害者雇用枠の一般事務職にしぼり、就職活動を開始します。

「自分らしさ」を大切に取り組んだ面接練習

就職に向けた準備として重点的に取り組んだのが、実戦形式での面接練習です。初めは模範的な受け答えをしようと想定問答集を丸暗記したり、緊張のあまり早口になったりすることもありました。支援員から「会話のキャッチボールができるようになろう」と、都度声掛けをするうち、徐々に自分の言葉で話せるように変化したのです。お手本のような受け答えではなく、わかりやすい言葉でDさんらしさを伝えられるようになったと感じました。

障害とともに前向きに歩む姿勢をアピール

就労支援をおこなう上で、障害認識や障害受容の問題は、基本方針をわけるターニングポイントです。その点、Dさんは自ら障害の特性や対処法について調べるなど障害受容に積極的で、前向きな姿勢は就職活動においても大きな強みとなりました。面接練習を経て、障害受容の部分もしっかりアピールできたところは、企業側に好印象として受け取ってもらえたようです。

人間関係への不安を軽減し、ステップアップへの一歩を踏み出した

意欲的に就職活動をおこなった結果、2社から内定をいただくことができました。福利厚生や仕事内容を比較検討した結果、よりステップアップを目指せそうだと感じたことが決め手となり、現在はたらいている企業を選びます。

就職に向けて、大きな音に敏感であることや、複数人で食事をすることにストレスを感じる特性があったため、企業のご担当者様に相談させていただきました。なるべく静かに作業できるデスクの配置にしていただいたほか、昼休憩時には一人で食事できるように空き部屋を使用させていただいています。

現在は就職先の企業で長くはたらくことをサポートする定着支援中。企業からのご理解とご協力も得られ、日々の業務に前向きに取り組んでいるそうです。余暇はスポーツジムへ通ってリフレッシュするなど、プライベートも充実していると聞いています。

Dさんは「ミラトレへの入所をきっかけに、自分を見つめなおし、人と関わる抵抗感が減った」と言ってくれました。今後は、仕事に活かせそうな資格を取得してさらなるステップアップをかなえたいと夢を語ってくれました。

※プライバシー保護のため、事実を元に文章を一部再構成しています。

執筆 : ミラトレノート編集部

パーソルダイバースが運営する就労移行支援事業ミラトレが運営しています。専門家の方にご協力いただきながら、就労移行支援について役立つ内容を発信しています。