特例子会社は、障害者の雇用促進と安定を目的として設立された子会社です。障害者に合わせて設備や制度が整っていることが多く、障害に対する配慮も一般企業より手厚いことから、定着率が高い(はたらきやすい)傾向にあるといえます。障害と折り合いながら長くはたらくために、特例子会社への就労を目指している人もいることでしょう。その一方で、一般企業の障害者雇用枠と何が違うのか知りたい人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、特例子会社の基礎知識や一般企業の障害者雇用枠との違い、特例子会社ではたらくメリットとデメリットについて解説します。
特例子会社とは
特例子会社とは、障害のある人がはたらきやすいよう、合理的配慮に関する知識を備え労働環境を整えている会社です。厚生労働大臣から特例子会社として認定された会社は、障害のある人を5人以上、全従業員中20%以上の割合で雇用することなど、一定の要件を満たしています。
特例子会社の認定を受けると、国からの助成金を活用しながら障害者向けの設備や就業規則を整えやすくなります。そのため、一般企業よりも障害のある人にとってはたらきやすい環境といえますが、会社によっても違いがあるでしょう。就職を希望する会社の環境が自分に合っているかどうかは、面接や実習などの機会に確認してみましょう。
2009年につくられた特例子会社制度は、法定雇用率と深く関わっています。一定数以上の従業員をかかえる民間企業は、障害のある人を一定の割合で雇用する義務があります。この割合を法定雇用率といい、2024年4月時点の法定雇用率は2.5%です。特例子会社で障害のある人を雇用すると、親会社の法定雇用率に算定できるため、法定雇用率の達成に向けて特例子会社を設立する会社が増えています。
特例子会社の数は、2004年6月には153社でしたが、2023年6月時点では598社に上りました。この約20年で特例子会社ではたらく人の数も4186人から3万5722人へと増えています。お住まいの都道府県にどのような特例子会社があるかは、厚生労働省の特例子会社一覧で確認できます。
特例子会社に多い業種として、主に以下の3つが挙げられます。
特例子会社の認定を受けると、国からの助成金を活用しながら障害者向けの設備や就業規則を整えやすくなります。そのため、一般企業よりも障害のある人にとってはたらきやすい環境といえますが、会社によっても違いがあるでしょう。就職を希望する会社の環境が自分に合っているかどうかは、面接や実習などの機会に確認してみましょう。
2009年につくられた特例子会社制度は、法定雇用率と深く関わっています。一定数以上の従業員をかかえる民間企業は、障害のある人を一定の割合で雇用する義務があります。この割合を法定雇用率といい、2024年4月時点の法定雇用率は2.5%です。特例子会社で障害のある人を雇用すると、親会社の法定雇用率に算定できるため、法定雇用率の達成に向けて特例子会社を設立する会社が増えています。
特例子会社の数は、2004年6月には153社でしたが、2023年6月時点では598社に上りました。この約20年で特例子会社ではたらく人の数も4186人から3万5722人へと増えています。お住まいの都道府県にどのような特例子会社があるかは、厚生労働省の特例子会社一覧で確認できます。
特例子会社に多い業種として、主に以下の3つが挙げられます。
- サービス業(医療・福祉、宿泊・飲食サービス、運輸・郵便、生活関連サービス・娯楽 、学術研究・専門・技術サービス、不動産・物品賃貸、教育・学習支援、その他)
- 製造業(素材、加工・組み立て、自社生産・加工)
- 情報通信業(通信、放送、情報サービス、インターネット付随サービス、映像・音声・文字情報制作業)
特例子会社に多い職種はこちらです。
- 事務、事務補助
- 清掃、消毒、環境美化
- 運搬(倉庫内の運搬、運搬車運転、引越し作業など)
- 包装(生産ラインの製品梱包・袋詰め、段ボールの箱詰め作業など)
- 生産工程(生産設備の制御や監視、機械組立など)
- 製造工程(印刷、組み立てなど)
※出典:野村総合研究所『障害者雇用及び特例子会社の経営に関する実態調査 調査結果』
特例子会社と一般企業の障害者雇用との違い
障害のある人が就職をする際、「特例子会社」と「一般企業の障害者雇用」のどちらに応募するか迷うこともあるのではないでしょうか。一般企業の障害者雇用枠でも障害のある人に対する合理的配慮が義務づけられているため、雇用形態において特例子会社との違いはありません。しかし、環境や設備の面で以下のような違いもあります。
特例子会社は、障害のある人の雇用の促進と安定を目的に設立されるため、一般企業と比べて障害に対するサポートや設備が整っている傾向があります。
特例子会社は、障害のある人の雇用の促進と安定を目的に設立されるため、一般企業と比べて障害に対するサポートや設備が整っている傾向があります。
特例子会社ではたらくメリット・デメリット
ここでは、特例子会社ではたらく際の、一般的なメリットとデメリットを取り上げます。ただし、メリット・デメリットの有無や傾向は会社によって異なります。
特例子会社ではたらくメリット
会社によって環境や体制は異なりますが、特例子会社ではたらくメリットとして主に以下の6つが考えられます。
- さまざまな障害特性に配慮した設備・体制が導入されている
- 障害のある人と一緒にはたらくことで、助け合いや自己成長が期待できる
- 時短勤務やフレックスタイム制度など、障害特性に合った勤務形態の配慮がある
- 体調不調などがあったときに、休みの取得や配慮の変更について、柔軟に対応してもらいやすい
- ジョブコーチの常駐、定期面談など、相談しやすい環境が整っている
- 安定的に仕事に取り組みやすい
特例子会社は一般企業の障害者雇用枠と比べて、従業員に占める障害者の割合が高くなっています。障害のある同僚と気持ちや悩みを分かち合いたい、先輩社員など目標としたいモデルを見つけて自分の未来像を描きながら仕事に取り組みたい、という人にとっては心強い環境といえるでしょう。
会社によっては送迎バスの運行やバリアフリー設計など、障害に配慮した設備・体制を導入しており、環境面で恵まれている点がメリットです。また、時差出勤や短時間勤務制度などを活用して、自分の生活リズムに合ったはたらき方ができる可能性があります。従業員の体調が変化したとき、労働時間を調整したり、医師や家族と連携をとったり、柔軟に対応してくれる会社もあるようです。定期的な面談や体調チェックを実施している特例子会社も多いため、困りごとを相談しやすい環境といえます。
また、わかりやすい手順マニュアルが揃っていたり、業務内容やチーム編成を固定したりして、安定的な仕事環境を提供している会社もあります。環境の変化に苦手意識をもつ人は、はたらきやすさを感じるでしょう。
会社によっては送迎バスの運行やバリアフリー設計など、障害に配慮した設備・体制を導入しており、環境面で恵まれている点がメリットです。また、時差出勤や短時間勤務制度などを活用して、自分の生活リズムに合ったはたらき方ができる可能性があります。従業員の体調が変化したとき、労働時間を調整したり、医師や家族と連携をとったり、柔軟に対応してくれる会社もあるようです。定期的な面談や体調チェックを実施している特例子会社も多いため、困りごとを相談しやすい環境といえます。
また、わかりやすい手順マニュアルが揃っていたり、業務内容やチーム編成を固定したりして、安定的な仕事環境を提供している会社もあります。環境の変化に苦手意識をもつ人は、はたらきやすさを感じるでしょう。
特例子会社ではたらくデメリット
障害のある人にとって、特例子会社はメリットが多い反面、次のようなデメリットもあります。
- 専門知識や経験を活かせる求人数が少ない
- 給与が低め
- マネジメント業務を含まない、社外対応はしない、など仕事内容が限られる場合がある
特例子会社は一般企業と比べ数が少ないため、お住いの地域によっては通勤しやすいエリア内で就職先を見つけられない場合があります。一般企業と比較して給与が低い傾向にある点も、デメリットのひとつです。また、特例子会社ではマニュアルに沿った定型業務に就くケースもあります。心身への負担が少ない反面、スキルアップを望む人にとっては仕事が単調に感じられることもあるでしょう。
特例子会社への就職をサポートする機関
特例子会社への就職を目指す際に活用できるサポート機関を紹介します。どの機関を利用すべきか迷ったときは、お住まいの地域にある福祉窓口で相談してください。
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所とは、障害のある人の就職・復職をサポートする福祉サービスです。ビジネススキルを磨くとともに、体調管理の方法なども学べます。就職に向けた準備から就職活動のアドバイス、就職後の定着支援まで幅広いサービスを受けられます。見学や利用体験をおこなっている事業所もあるため、はたらく上で必要なコミュニケーションスキルや労働習慣を身につけたい場合は、通所できる場所の就労移行支援事業所に問い合わせてみてください。
地域障害者職業センター
障害のある人を対象に職業リハビリテーションを提供する地域障害者職業センターは、各都道府県に設置されています。専門カウンセラーによる職業相談や評価、訓練を受けられるので、自分の適性に合った仕事選びに悩む人は相談してみてはいかがでしょうか。
ハローワーク
ハローワークでは、障害のある人に向けて、一般企業や特例子会社への就職に関する個別相談など、自分に合った求人を探すサポートが受けられます。インターネットサービスで「障害のある方のための求人」を検索できるほか、事業所によっては障害者相談窓口が設置されています。
就労移行支援事業所「ミラトレ」から特例子会社に就職した事例
大学4年生のときに障害が明らかになったU.Mさんは、就職活動中に特性を十分に理解できていなかったため、面接でうまく伝えられずにいました。就労移行支援事業所の利用を決意し、就職実績と定着率の高さから「ミラトレ」を選択。通所を重ねるごとに、支援員との面談やメモを活用するコミュニケーション方法によって、人と話すことへの自信を深めていきます。また、実際の職場環境に近い内容でのトレーニングや面接練習を通して、得意分野や特性に気づくとともに、はたらくイメージをつかめたそうです。トレーニングで身につけたビジネススキルと面接練習で磨いた自己理解力をアピールし、野村グループの内定を獲得しました。
※就職者インタビュー:ミラトレ支援員との面談を通じて自己理解を深め、自分の強みにも気づけた
※就職者インタビュー:ミラトレ支援員との面談を通じて自己理解を深め、自分の強みにも気づけた
特例子会社の就職を目指すなら特性への理解を深めよう
障害のある人が就職を目指す際、特例子会社も視野に入れて求人を探すこともひとつの手段です。仕事内容やサポート体制は会社によって異なるため、自分の特性に合った会社を選ぶことが大切です。特性への理解を深め、自分にできることを整理できれば、より自信をもって就職活動にのぞめるでしょう。「自分の特性に対する理解を深めたい」「就職活動のサポートをしてほしい」という方は、就労移行支援制度の利用をおすすめします。
就労移行支援事業所「ミラトレ」では、一人ひとりの能力と特性に合わせた就労トレーニングをおこない、特例子会社を含む一般企業への就労をサポートしています。特性に合った職場選びや就職活動はもちろん、長くはたらき続けられるよう就職後の定着支援もおこないます。ミラトレのサポート内容を知りたいという方は、お気軽にご相談ください。
※この記事は2024年5月時点の情報をもとに作成しています。
就労移行支援事業所「ミラトレ」では、一人ひとりの能力と特性に合わせた就労トレーニングをおこない、特例子会社を含む一般企業への就労をサポートしています。特性に合った職場選びや就職活動はもちろん、長くはたらき続けられるよう就職後の定着支援もおこないます。ミラトレのサポート内容を知りたいという方は、お気軽にご相談ください。
※この記事は2024年5月時点の情報をもとに作成しています。
執筆 : ミラトレノート編集部
パーソルダイバースが運営する就労移行支援事業ミラトレが運営しています。専門家の方にご協力いただきながら、就労移行支援について役立つ内容を発信しています。
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