就職事例

公開日:2023/1/30更新日:2023/3/29
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はたらく上で大切にしたい価値観に気づいた

医療業界/事務職
うつ病の20代女性Bさんの就職事例

うつ病の20代女性Bさんの就職事例

20代/女性/うつ病

うつ病を抱えながらはたらくことに、難しさを感じる方もいるのではないでしょうか。1人で自分の適性に合った就職先を探したり、就職後の悩みと付き合ったりするのは大変かもしれません。パーソルダイバースの就労移行支援事業所「ミラトレ」を利用し、一般企業への就職を叶えた卒業生は多くいらっしゃいます。今回紹介するのは、うつ病の20代女性の就職事例です。心のバランスの取り方やコミュニケーション面で課題のあったBさんが、就労移行支援を活用して就職するまでのストーリーと現在の様子をご紹介します。

コロナ禍で心に変化が表れ、体調を崩して退職

正社員として事務業に就いていたBさんに心の不調が表れたのは、新型コロナウイルスの感染拡大によってはたらく環境が変化したことがきっかけだったといいます。出社から在宅勤務に切り替わったことで、業務時間中に隙間時間ができるようになったそうです。その結果、手持無沙汰と感じる時間が増え、「この会社に自分は必要ないのではないか」と考えてしまうようになり、体調を崩して病院を受診されます。うつ病と診断され、体調を整えるために退職されたそうです。

その後は、通院を続けながら事務職として再就職。しかし、ここでも業務の待ち時間が発生するたびに気持ちが落ち込んでしまい、退職を決断したそうです。再就職の際、うつ病であることは会社に伝えていませんでした。

そんな時、病院で就労移行支援事業所の存在を教えてもらったそうです。気持ちが落ち込んだり波があったりすることに本人も気づいていたこと、自分に向いている仕事が知りたいという想いから、見学できる就労移行支援事業所を探し、ミラトレに連絡をいただきました。見学時、事業所内の和気あいあいとした明るい雰囲気に好感をもっていただいたことが、利用の決め手だったといいます。

ミラトレでトレーニングを受ける中で課題が見えてくる

ミラトレへ通所し始めた頃はとても緊張している様子でした。週5日の通所から開始し、一般的なトレーニングを受けていただく中で、1人でできることと、サポートが必要なことが見えてきました。

【課題1】やることがないと気持ちが落ち込む

業務時間に対しての作業量が少ない時など、手持無沙汰になると、その場にいる意味を見いだせなくなってしまう特性は、今後就職活動をおこなっていく上でどのように乗り超えていくか丁寧に考えていきたい課題です。やることがない時間が発生する理由として、PC作業が速いことと、内容が正確であることがありました。お願いした作業を正確に短時間で終わらせることができるのはBさんの強みです。しかし、その強みが前職や前々職を退職するきっかけにもなった「やることがない時間」につながってしまうということがわかったため、ミラトレでは作業スピードに合わせた仕事量をお願いしました。

【課題2】周りが見えすぎる

周囲の様子に気を配れる一方で、相手の考えを深読みし過ぎてしまう課題もありました。他の人から好感をもってもらえるように気持ちを張りつめている様子だったので、気持ちの面をフォローするために声掛けやコミュニケーションをとる機会を作らせてもらいました。雑談など自然発生するシーンよりも、グループワークといった気持ちの準備をした上でおこなうコミュニケーションの方が本人には合っていると判断し、良い意味でやらざるを得ない場を用意しました。そういった時の方が場が和み、その後も話しやすい関係性を作りやすそうでした。

【課題3】気持ちを溜め込んで爆発させる

自分の中で消化できない気持ちを、うまく外に出せずに溜め込んでしまう課題も出てきました。気になったことを言葉にできず、心に引っかかった状態のまま持ち続け、溜め込めなくなると爆発するように一気に想いが溢れ出るということがありました。気持ちを溜め込む前に言葉にする機会を定期的に作るため、こまめに面談をおこなう他、裏を読み過ぎて本来必要ない怒りがわいてこないように、アンガーコントロールのトレーニングをしていただきました。

就職活動で大切にしたこと

ミラトレに通所を始めて1年、自分の気持ちを溜め込まずに伝えられるようになっていきました。徐々に面談時間が短くなってきたことや本人の希望もあり、就職活動をスタートします。最初は一般雇用枠と障害者雇用枠を並行して就職先を探していましたが、一般雇用枠での就職に対し迷いがあるようでした。

方向性に悩んだBさんに、不安があるなら障害者雇用枠を選択できること、障害者雇用枠で就職した後でも、症状が落ちついたタイミングではたらき方を見直すことができる旨をお伝えすると、素直に受け止めて「将来を考えるきっかけになった」と話してくれました。その後、本人の「一般雇用枠では気疲れしてしまうため、障害者手帳を取得したい」という意向に寄り添い、障害者雇用枠に絞り込んだ就職活動に切り替えることになりました。

面接では面接官だけでなく自分とも向き合う

面接の練習では、面接官役の支援員との会話に照れくささを感じ、本心ではない返答をしてしまうこともありました。人と接することに恥ずかしさを感じてしまい、その場をやり過ごすために投げやりな返答になってしまい、落ち込んでしまったこともあったようです。面接してもらう相手に照れくさいことを伝えて質問に返事をしないことは、相手に対しても良い印象を持たれないことや、本心ではない言葉でごまかすのはよくないことを伝えました。

はたらき続ける上で大切なことに本人が気づく

就職活動を続けていくと、本人が長期的にはたらくために何を大切にしたいかに気づきました。これまで手持無沙汰による空白の時間がきっかけで体調を崩してきたこともあり、就職先を探す上で業務量を重視することにしたのです。就職活動にはさまざまなポイントがあり、何を重視するのかは人によって異なります。自分がはたらき続けるイメージを本人が想像し、就職活動を進めることが大きな一歩につながったと感じました。

心を置いてけぼりにしなかったことが就職への鍵となった

ミラトレ通所から1年4カ月が経過した頃、自分がはたらき続けるイメージを持てるかという観点で応募した金融関係の企業から内定をもらいます。企業の担当者には、周囲が気になったり不安になったりすることがあるため、慣れるまでの期間は定期的に面談の機会を作ってほしいことを伝えさせていただきました。

就職後の定着支援では、はたらき始めて感じた不安な気持ちを話してくれたので、「最初の数カ月は自分と企業がお互いに信頼関係を築く大切な時期だから、安定して通勤することを目標にしよう」などと声掛けをしています。社内に相談しやすい方もいるそうで、今のはたらき方に満足しているBさんは、引き続き長期的な就労を目指されています。

はたらく環境が変わったことでうつ病を発症したBさんは、退職や通院、就労移行支援事業所を利用することによって、はたらく上で自分が大切にしたいことに気づくことができました。自分の気持ちと向き合うことは、苦しい場面もあったことと思います。「就職したい」という目標に想いを乗せて就職活動をおこなった結果、障害と付き合いながらも自分らしくはたらきやすい環境を探せたのではないかと思います。ミラトレでは、一人ひとりに合った就労移行支援を続けていきます。

※プライバシー保護のため、事実を元に文章を一部再構成しています。

執筆 : ミラトレノート編集部

パーソルダイバースが運営する就労移行支援事業ミラトレが運営しています。専門家の方にご協力いただきながら、就労移行支援について役立つ内容を発信しています。