就職事例

公開日:2024/2/29
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コミュニケーション面の不安を軽減し、仕事に対する自信を取り戻した

人材業界/金融業界
統合失調感情障害の20代女性Oさんの就職事例

統合失調感情障害の20代女性Oさんの就職事例

20代/女性/統合失調感情障害

統合失調感情障害と向き合いながらはたらくことに、難しさを感じる方もいるのではないでしょうか。1人で自分の適性に合ったはたらき方を見つけたり、就職後の悩みと向き合ったりするのは大変かもしれません。パーソルダイバースの就労移行支援事業所「ミラトレ」を利用し、一般企業への就職を叶えた卒業生は多くいらっしゃいます。今回紹介するのは、統合失調感情障害の20代女性の就職事例です。生活習慣やコミュニケーション面で課題のあったOさんが、就労移行支援を活用して就職するまでのストーリーと現在の様子を紹介します。

職場環境にストレスを感じ、体調を崩して退職

総務事務としてはたらいていたOさんは、職場環境にストレスを感じるようになり、やがて仕事中に眠気をおぼえるようになりました。あまりに強い眠気からときには居眠りしてしまうこともあり、職場の同僚から「仕事への熱意が欠けているのではないか」と見られてしまうこともありました。やむなく退職し、休養を取ることにしたそうです。

退職から2年後、医療機関で統合失調感情障害と診断されました。 統合失調感情障害とは、統合失調症の病状に抑うつや躁状態などの気分症状をともなう障害です。夜間に寝ていても昼間も眠くなってしまうのは統合失調症の症状のひとつだとわかり、障害と折り合って再就職を目指すには生活リズムを整えなければならないと感じたそうです。就労移行支援制度を活用するためにミラトレを見学したところ、「スタッフが話しやすくて安心できる」と通所を決意。障害者雇用も選択肢に加えたいと、通所前に精神障害者保健福祉手帳を取得されました。

ミラトレでより良い生活習慣とコミュニケーション方法を学ぶ

「前職で身につけたPCスキルをさらに高めたい」とミラトレでのトレーニングに意欲を見せ、週3日から通所をスタート。ところがその頃、新型コロナウイルスの感染拡大により、在宅支援のトレーニングに切り替えることになりました。一人ではやる気が出ず、生活リズムも乱れがちな様子でした。支援員は、ご本人のやる気を引き出せるようPC操作の練習問題をつくったり、決まった時間に就寝できるよう声掛けしたり、距離は離れていても寄り添った支援ができるようつとめました。

【課題1】コミュニケーションや人間関係の悩み

ハンドメイドが得意なOさんは、同じ趣味をもつ人とインターネット上で交流を深めていました。しかし、他人の評価を気にするあまり、作った作品に対するリアクションが少ないと、「きらわれているのでは」と落ち込んでしまうことがあったのです。

支援員は、「気にしすぎてしまうのは、特性のひとつかもしれません。相手がどう思っているか率直に気持ちを聞いてみてはどうでしょう」と提案します。すると、自分から相手の状況や気持ちを確認し、「単に忙しかったみたいです」と報告してくれました。その後も、友人との距離を縮めすぎて悩む様子が見られましたが、支援員がその都度アドバイスをするうちに、ある程度の距離を置いて人と付き合えるようになったのです。

【課題2】生活リズムの乱れ

毎日、就寝時間と起床時間を報告してもらい、決まった時間に睡眠をとれるようアドバイスしました。しかし、統合失調感情障害の特性、夜間にインターネットを利用した友人との交流、1人で取り組む時間の長い在宅支援などさまざまな条件が重なったことにより体調を崩し、入院することになりました。

その後、一日のスケジュールが決まっている入院生活が、生活リズムの安定につながりました。退院後は入院中に身につけた生活習慣の継続に取り組もうと、在宅支援から通所支援に切り替えます。感染症予防をしながらトレーニングを続け、徐々に通所日数を増やしていきました。

【課題3】自己発信への不安

おとなしい人柄で、自分から気持ちや考えを伝えることが不得意でしたが、「ミラトレのスタッフは話しやすい」と話してくれました。退院後に通所するようになると、自然と会話が増えていきます。「支援員ならどんなことでも聞いてくれる」という安心感から、心の内も打ち明けてくれるようになったのです。

また、擬似就労ではあえて支援員に質問しなければ進まない作業に取り組んでもらい、自己発信する機会を増やしました。やがて、他の利用者とも積極的に会話を交わすようになり、コミュニケーション面の自信を深めていったのです。

一つひとつの課題に向き合った結果、企業実習で後の就職先と出会う

PCスキルを活かして事務系の仕事に就くことがご本人の希望でした。自ら障害の特性について理解を深めることが、就職活動の第一歩です。企業実習に向けた書類作成を通じて、自分の得意・不得意を見つめなおし、苦手なことへの対応を考えてもらいました。

企業実習でコミュニケーションスキルが評価される

自己理解・自己発信が進んだおかげで、Oさんがどのような仕事や職場環境を望んでいるかが支援員にも十分伝わりました。一人で黙々とPC作業に集中できる業務内容や、仕事の合間に心身の負担を軽減できる職場環境であれば、能力を発揮できるのではないかと考えました。最適な求職を探したところ、総合人材サービス企業の事務職が見つかったのです。早くから企業実習の準備を進めていたため書類提出もスムーズに進み、4日間の実習に参加することになりました。

実習中、わからないことは自分から質問し、作業に取り組めたそうです。企業側からも、集中力や自己発信力の高さ、物覚えの速さを評価していただき、そのまま内定を獲得しました。

自己発信する力によって自らより良い職場環境をつくる

内定先の企業にはサポート社員が常駐しているほか休憩スペースが設置されており、体調の安定を図りやすい環境でした。また、話しやすい女性社員がいることも決め手になったとご本人から聞いています。

ミラトレの支援員から企業側にお伝えしたことは、人間関係がメンタルに影響を及ぼす可能性がある、ということでした。実際、就職後に感情の起伏が大きい同僚との接し方に悩んだこともありましたが、困りごとができたときは自ら発信してくれるので、ご本人と会社、サポート社員の三者で対処法を考えながら前に進んでいます。

ミラトレで磨いたPCスキルを活かせる職場で長期就労を目指す

現在は、データ入力を主とした業務にたずさわり、得意のPCスキルを存分に発揮しています。プライベートでは、ネイルやまつ毛エクステなどのおしゃれを楽しみ、ますますきれいになったOさんは、「またこんな風にいきいきとはたらけるなんて、ミラトレに通所して良かった」と話してくれました。利用者が公私ともに充実した日々を過ごせるよう、ミラトレはこれからも就労移行支援・定着支援に力を注いでいきます。

※プライバシー保護のため、事実をもとに文章を一部再構成しています。

執筆 : ミラトレノート編集部

パーソルダイバースが運営する就労移行支援事業ミラトレが運営しています。専門家の方にご協力いただきながら、就労移行支援について役立つ内容を発信しています。