就職事例

公開日:2024/4/25
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コミュニケーション面の不安を軽減し、仕事に対する自信を取り戻した

人材業界/事務職
うつ病・社会不安障害の20代男性Pさんの就職事例

うつ病・社会不安障害の20代男性Pさんの就職事例

20代/男性/うつ病・社会不安障害

うつ病・社会不安障害と向き合いながらはたらくことに、難しさを感じる方もいるのではないでしょうか。1人で自分の適性に合ったはたらき方を見つけたり、就職後の悩みと向き合ったりするのは大変かもしれません。パーソルダイバースの就労移行支援事業所「ミラトレ」を利用し、一般企業への就職を叶えた卒業生は多くいらっしゃいます。今回紹介するのは、うつ病・社会不安障害がある20代女性の就職事例です。生活習慣やコミュニケーション面で課題のあったPさんが、就労移行支援を活用して就職するまでのストーリーと現在の様子を紹介します。

仕事のストレスがきっかけで心身が不安定に

大学卒業後、医療事務員としてはたらき始めたPさんは、当直の日に感じるプレッシャーや仕事量の多さがストレスになっていました。周囲に相談することもできず1年ほどはたらき続けるうちに、ストレスから言動にも影響が出るようになり、退職を決意します。

ご家族のすすめで医療機関を受診したところ、うつ病と診断されました。その後、再就職に向けて就職活動を開始した際に、「再就職を目指すなら就労移行支援制度を利用してはどうですか」と医師からすすめられたそうです。インターネットで就労移行支援事業所について検索したときにミラトレのことを知り、お問い合わせから見学に来ていただくことになりました。事業所内の和気あいあいとした雰囲気にひかれて、利用を決断されました。

ミラトレへの通所を開始し、自分の特性と向き合う

疲れをためこみやすい特性があったものの、体力は備わっていたため、週5日のスケジュールで通所を開始。講座では、周囲に気を配りながらまじめに課題に取り組む姿が印象的でした。通所を重ねていくうちに、長所である責任感の強さからストレスコントロールに影響が出ることがわかってきました。

【課題1】「べき思考」で自分を追いこんでしまう

「〇〇すべきだ」という考え方の「べき思考」が強かったPさんは、理想と現実のギャップに悩んでしまう傾向がありました。無意識のうちに他人に対しても「べき思考」を抱くことがあり、それがストレスにつながっていたようです。

思考のクセについて学ぶ講座を受講していただいたり、面談では、「気負いすぎず、物事を楽に受け止める考え方」や「ベストよりもベターな選択肢を探す方法」について一緒に考えたりしました。自分の考え方のクセに気づいてからは、グループワークでも他人の言動を広い視点で受け止められるようになったようです。

【課題2】疲労度合いに気づきにくい

ストレスや疲れがたまっていることに気づかないまま作業を続けてしまい、体調をくずしてしまうことがありました。そこで、自分の状態を客観的に把握できるよう、チェックシートを活用。疲労度合いを数字であらわしてもらうとともに、1日の行動の振り返りをおこないます。

毎日、記入を続けるうちに、ストレス要因になっている行動やリフレッシュにつながる行動がわかってきました。疲労度合いの高い日は、意識して趣味を楽しんだり、ストレッチをして早めに就寝したり、ストレスを発散。ストレスケアが身についたおかげで、ますます体力が向上しました。

【課題3】自分から相談することに抵抗がある

うつ病を発症するきっかけは、周囲に悩みを相談できずストレスをためこんでしまったこと。悩みや考えを自己発信できるようになれば、はたらきづらさの軽減につながります。

まずは、支援員から声を掛けて自己発信のきっかけづくりをおこないました。支援員から見て、いつもより表情が暗めだと感じた日は面談を設けて、話を聞きとるところからスタート。ミラトレでは利用者から面談を申し込めるのですが、面談の申込用紙を活用してご本人から対話の場を徐々に設けてもらうようにしました。続けていくうちに誰かに相談するという行動へのハードルが低くなり、人に相談することでストレスがやわらぐことに気づけたそうです。

特性への対処法を身につけ、就職活動にふみ出した

Pさんのビジネススキルはもともと高かったため、考え方のクセやストレスコントロールへの対処法が身についてきた時点で、模擬的な企業実習に応募しました。

企業実習ではたらく自信を深められた

前職のスキルを活かして事務職に就きたいというご本人の希望をふまえ、職種を事務職にしぼり4社の企業実習に参加しました。実習中はパソコンスキルを活かしながら業務を進め、不明点があったときは自分から質問もできたそうです。

実習先の担当者からも「作業が丁寧で質問内容が的確だった」「周囲に気を配っていた」など、高い評価をいただきました。ご本人も、実習先での経験やポジティブなフィードバックを通じて、社会ではたらく自信が深まった様子でした。そこで、本格的な就職活動に着手し、障害のある方に特化した就職・転職支援サービス「dodaチャレンジ」に登録。面接に備えて練習に取り組みました。

自己理解力と自己表現力を伝えられるよう面接練習に取り組んだ

面接練習では、ミラトレで身につけた自己理解力と自己表現力が企業側に伝わるよう工夫。今自分にできることを伝えるだけではなく、それらが身についた過程まで伝えられるよう、質疑応答のシミュレーションを繰り返しました。面接練習を通じて、自分の障害や特性、トレーニングの成果について、さらに理解を深められた様子でした。

しっかりとした自己理解が内定獲得につながった

人材サービス会社の企業説明会に参加した際、残業のない勤務形態や定期面談のある人事制度に魅力を感じたことがきっかけで、面接を受けることになりました。面接で自己理解がしっかりできている点や、ミラトレに安定して通所できていた点などが評価されて内定を獲得。

就職前に、ご本人と会社、ミラトレの三者で情報を共有できるよう、「作業面」「コミュニケーション面」「考え方のクセ」といった特性と対処法についてご本人にプロフィールシートを作成してもらいました。その際、「見通しの立たない部分に不安を感じやすい」「仕事をまかされると断れずにがんばってしまう」などの特性に対し、「自己発信と相談によって解決できる」という対処法も明記。会社側には、「担当者を決めてもらえると相談しやすくなります」と要望を伝えました。

就職後、はたらく障害者を元気づける存在を目指す

入社から8カ月、定着支援の面談で顔を合わせるたび、充実した社会人生活を過ごしている様子が伝わってきます。職場の悩みを打ち明けられたこともありますが、支援員がアドバイスをするまでもなく、すでに自分なりの解決方法がわかっている様子でした。職場の上司にも、不安や疑問が生じるたびに相談できているそうです。

そして、「このように心のモヤモヤを打ち明けられるミラトレの環境は、自分にとって理想的でした。トレーニングを通じて、自分の責任感の強さが生きづらさにつながっていたことに気づけて良かった」と語ってくれました。

「仕事の幅を広げていきたい」というPさんの言葉の根っこには、いつか障害者雇用のロールモデルとなって、後輩をサポートする存在になりたい、という思いがあるそうです。社会に対して不安を感じていた頃からは想像もできないほど、頼もしい姿を見せてくれるようになりました。

「将来の自分や社会に対して不安を感じているけれど、その不安の正体がわからない」という方は、一人で悩まずに誰かを頼ってみてはいかがでしょうか。ミラトレでも、支援員が一人ひとりに寄り添い、不安を少しでも軽くできるようサポートしています。ミラトレの講座内容や通所方法を知りたいという方は、気軽にお問い合わせください。

※プライバシー保護のため、事実をもとに文章を一部再構成しています。

執筆 : ミラトレノート編集部

パーソルダイバースが運営する就労移行支援事業ミラトレが運営しています。専門家の方にご協力いただきながら、就労移行支援について役立つ内容を発信しています。