知的障害は、知的能力と社会生活への適応能力が低いために、日常生活における困りごとがあります。知的障害の方が就職する場合、どのようなはたらき方があるのでしょうか。この記事では、知的障害の基礎知識や特徴とともに、無理のないはたらき方や就職する時に使える支援機関をご紹介します。
知的障害とは
知的障害は、おおむね18歳未満の発達期にあらわれると言われます。同年齢に比べ読み書き・計算などの知能に、遅れや停滞がある状態です。また、集団のルールを守ったり、他人とよい関係を築いたりといった適応が難しいことがあります。そのため、知的障害の人は特別な支援や配慮が必要です。
幼少期~青年期の発達期にあらわれるとされる知的障害ですが、中等度以上の場合は3歳児健診までにわかることが多いと言われます。しかし軽度の場合は、小学校入学時期にわかることや、学習内容が難しくなる中で明らかになることもあるようです。18歳を過ぎてからの知的能力や適応能力の低下は知的障害と診断されないため、大人になってからの診断には、子どもの頃からの困りごとなどのエピソードが必要となることが多いようです。
知的障害は、医療機関で問診と簡単なテストを行うことで診断されます。診断にはアメリカ精神医学会の「DSM-5」や世界保健機関(WHO)の「ICD-11」などの客観的な基準があり、検査結果から総合的に判断されます。また、知能検査と適応能力検査の2つによって総合的に診断がされるようです。
幼少期~青年期の発達期にあらわれるとされる知的障害ですが、中等度以上の場合は3歳児健診までにわかることが多いと言われます。しかし軽度の場合は、小学校入学時期にわかることや、学習内容が難しくなる中で明らかになることもあるようです。18歳を過ぎてからの知的能力や適応能力の低下は知的障害と診断されないため、大人になってからの診断には、子どもの頃からの困りごとなどのエピソードが必要となることが多いようです。
知的障害は、医療機関で問診と簡単なテストを行うことで診断されます。診断にはアメリカ精神医学会の「DSM-5」や世界保健機関(WHO)の「ICD-11」などの客観的な基準があり、検査結果から総合的に判断されます。また、知能検査と適応能力検査の2つによって総合的に診断がされるようです。
知的障害の程度別の特徴
知的障害のあらわれ方は、人によってさまざまです。症状の程度により「軽度」「中等度」「重度」「最重度」の4段階に分類されます。ここでは、症状の程度別に見られる特徴を見ていきましょう。
知的障害の程度 | 特徴 |
---|---|
軽度 |
・おつりの計算や暗算、計画を立てること、優先順位をつけることは苦手 |
中等度 | ・字を読むこと、お金の概念は小学生レベルでとどまっていることが多い ・単純なコミュニケーションはとれるが、難しい判断や意思決定には支援が必要 ・身の回りのことは部分的にはできるが、状況に応じた判断は難しい場合がある (衣類の着脱はできるが、気温や季節に合わせた選択・調整は難しい) ・買い物や家事を一人でできるようになるまでには、長い時間をかけて支援する必要がある ・職場や環境において支援があれば、自立して仕事できる |
重度 | ・字を読むことやお金の概念は、ほとんど理解が難しく、常に支援が必要 ・簡単なあいさつや受け答え以外のコミュニケーションは苦手 ・情緒の発達が未熟で、身の回りのことを一人でするのは難しい ・食事や身支度、入浴などは、支援や介助が必要になる場合もある |
最重度 | ・言葉の発達が未熟で、声を出す程度にとどまることがほとんど(ただし訓練により、簡単な単語なら言えるようになるケースもある) ・身振りを使ったコミュニケーションは、家族などの限られた範囲であれば理解できる場合もある ・ひとりで身のまわりのことを自分でするのは難しい ・食事や身支度、入浴などすべての日常生活上の行動は、支援や介助が必要 |
知的障害の人が使える福祉サービス
知的障害の人が日常生活を送る上で、生活しやすくなるようサポートするための福祉サービスもあります。
これらの福祉サービスを上手に活用し、サポートや相談を受けるとよいでしょう。
これらの福祉サービスを上手に活用し、サポートや相談を受けるとよいでしょう。
療育手帳
療育手帳は、知的障害の人が取得できる障害者手帳です。取得するとさまざまなサービスや優遇措置を受けることができます。例えば、公共料金等の割引や、税金の控除・減免、福祉手当の支給、障害者雇用での就職、公営住宅への優先入居などが挙げられるようです。サービスの内容や療育手帳の名称は地域により異なり、「愛の手帳」や「愛護手帳」などとも呼ばれます。
知的障害者更生相談所
知的障害者更生相談所は、知的障害者本人やその家族からの日常生活や医療、進路や就労などさまざまな相談に対し、専門的にアドバイスや指導を行う機関です。都道府県や政令指定都市に設置されています。特に、知的障害者の自立と社会参加の支援を行っています。日常生活や仕事に対する不安を専門家に相談し、アドバイスを受けることができます。
成年後見制度
成年後見制度とは、知的障害などにより判断能力に不安のある人が、賃貸や売買などの法律行為を行うときに、支援をしてもらえる制度です。本人に代わって財産の管理をしたり、本人が結んだ不当な契約を取り消したりすることで、本人を保護します。家庭裁判所から選ばれた人が後見人となり、難しい手続きや契約などを一緒に決めてもらうことが可能です。
就職について
知的障害のある方が就職を目指す場合、どのようなはたらき方があるのでしょうか。はたらき方の選択肢や、就職する時に使える支援機関について説明します。
知的障害の方のはたらき方
知的障害の方のはたらき方として、主に次の3つが挙げられます。
・一般雇用枠での就労
・障害者雇用枠での就労
・福祉的就労
軽度知的障害者の場合、障害の程度によっては一般雇用枠で就職できるでしょう。一般雇用枠の場合、職種や待遇の選択肢が多く、昇進や昇給のチャンスがある点はメリットです。しかし、体調や苦手なことへの配慮を望めない点には注意しなければなりません。周りの同僚と同じような成果や作業スピードを求められる可能性もあるでしょう。
次に、障害者雇用枠というはたらき方もあります。療育手帳などの障害者手帳を持っていれば、障害者雇用枠への応募ができます。障害者雇用枠ではたらく場合、障害の特性や得意なこと、苦手なことを伝えた上で必要な配慮を得ながらはたらけます。自分に合った環境や仕事量、仕事内容であれば、特性があっても長く安心してはたらきやすいでしょう。
・一般雇用枠での就労
・障害者雇用枠での就労
・福祉的就労
軽度知的障害者の場合、障害の程度によっては一般雇用枠で就職できるでしょう。一般雇用枠の場合、職種や待遇の選択肢が多く、昇進や昇給のチャンスがある点はメリットです。しかし、体調や苦手なことへの配慮を望めない点には注意しなければなりません。周りの同僚と同じような成果や作業スピードを求められる可能性もあるでしょう。
次に、障害者雇用枠というはたらき方もあります。療育手帳などの障害者手帳を持っていれば、障害者雇用枠への応募ができます。障害者雇用枠ではたらく場合、障害の特性や得意なこと、苦手なことを伝えた上で必要な配慮を得ながらはたらけます。自分に合った環境や仕事量、仕事内容であれば、特性があっても長く安心してはたらきやすいでしょう。
知的障害の人は、就労継続支援事業所A型、B型といった福祉的就労というはたらき方もできます。A型、B型では、雇用契約や報酬制度に違いがありますが、共に65歳未満の方が対象となります。すぐに一般企業ではたらくことが難しい人や、訓練を受けながら就職の準備をしたい人が、生活指導員や職業指導員からアドバイスを受けながら、実践的な仕事を通して成長できる場です。はたらいた時間や仕事の成果によって、給与や工賃がもらえます。
就労継続支援事業所 | A型 | B型 |
---|---|---|
雇用契約 | あり | なし |
報酬制度 | 給与 | 工賃 |
年齢制限 | 65歳未満の方 | 65歳未満の方 |
知的障害の方が就職時に使える支援機関
- ハローワーク
- 地域障害者職業センター
- 障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)
- 就労移行支援事業所
ハローワークは、国が運営する仕事探しの機関です。障害特性に詳しい専門員がいて、障害者専門窓口もあります。求人数や就職件数が多く、障害者雇用枠の求人紹介のほか、障害のある方を対象にしたはたらき方に関する相談や面接対策なども行っています。
地域障害者職業センターは、障害者一人ひとりに合わせて、職業評価・職業準備支援などの支援を行う機関です。仕事を探している人の支援だけでなく、はたらく中で悩みや不安を持つ人や仕事に復帰したい人の支援も行っています。全国の都道府県に1カ所ずつ設置されており、就職を目指す知的障害の方も気軽に相談できます。
障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)は、障害のある方の就業面と生活面の一体的な相談・支援を行っている機関です。就職に向けた準備支援から職場実習の紹介、就職後の職場への定着についての支援も行います。ハローワークや特別支援学校、地域障害者職業センターなどの各機関との連絡・利用調整なども含めて、知的障害者の就職を広く支援してくれるでしょう。
就労移行支援事業所は、一般企業への就労を目指す障害のある方に対して、就労に必要な支援を行う機関です。就労に必要な知識の習得支援や、スキルアップのための訓練、就職活動の支援を行います。事業所に通いながら、自分の障害特性の理解を深めたり、ビジネスマナーを身につけたり、面接練習や履歴書対策などの就職活動のサポートを受けられます。就労移行支援事業所では、就職後の定着支援により、長くはたらき続けるためのサポートもしています。
地域障害者職業センターは、障害者一人ひとりに合わせて、職業評価・職業準備支援などの支援を行う機関です。仕事を探している人の支援だけでなく、はたらく中で悩みや不安を持つ人や仕事に復帰したい人の支援も行っています。全国の都道府県に1カ所ずつ設置されており、就職を目指す知的障害の方も気軽に相談できます。
障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)は、障害のある方の就業面と生活面の一体的な相談・支援を行っている機関です。就職に向けた準備支援から職場実習の紹介、就職後の職場への定着についての支援も行います。ハローワークや特別支援学校、地域障害者職業センターなどの各機関との連絡・利用調整なども含めて、知的障害者の就職を広く支援してくれるでしょう。
就労移行支援事業所は、一般企業への就労を目指す障害のある方に対して、就労に必要な支援を行う機関です。就労に必要な知識の習得支援や、スキルアップのための訓練、就職活動の支援を行います。事業所に通いながら、自分の障害特性の理解を深めたり、ビジネスマナーを身につけたり、面接練習や履歴書対策などの就職活動のサポートを受けられます。就労移行支援事業所では、就職後の定着支援により、長くはたらき続けるためのサポートもしています。
知的障害の人の就職事例
就労移行支援事業所「ミラトレ」を利用して就職を叶えた知的障害の方の就職事例をご紹介します。
自分の現在地に気づき、障害者雇用枠での就職を叶えたVさんの就職事例
自身の障害について受容できていなかったVさんですが、繰り返しトレーニングを重ねるごとに自分の現在地に気づき、就職に必要なビジネスマナーやスキルを理解します。支援員と共に応募書類の作成や面接の練習を行い、内定を獲得。就職後も定着支援を受けながら、正社員登用を目指し日々の業務に取り組んでいます。
トレーニングや職業体験を通し、はたらくイメージを膨らませたUさんの就職事例
通所当初は、まだ「仕事をする」という意識が持てずにいたUさんでしたが、ミラトレでビジネスマナーなどを身につけ、徐々に意識が変化。実際に職業体験へ行き、「はたらく」ことを身をもって理解できたと言います。就職活動の中でも支援員のサポートを受け、内定を得ました。自分の仕事にやりがいと責任感を持ち、長期的な就労を目指しているそうです。
まとめ
知的障害の方も、さまざまな支援機関や福祉サービスを利用しはたらくことが可能です。自分に合ったはたらき方がわからない場合には、これらの支援機関に相談してみるとよいでしょう。また、就労移行支援事業所などではたらく準備やトレーニングを積むことにより、自分自身の特性や得意なこと、苦手なことを知ることもできます。自分の特性に合わせたはたらき方を選択ぶことは、長くはたらき続けることにもつながるでしょう。
執筆 : ミラトレノート編集部
パーソルダイバースが運営する就労移行支援事業ミラトレが運営しています。専門家の方にご協力いただきながら、就労移行支援について役立つ内容を発信しています。
アクセスランキングAccess Ranking
-
No.1
-
No.2
-
No.3
アクセスランキングAccess Ranking
-
No.1
-
No.2
-
No.3