就労移行支援とは、障害や病気のある人がはたらくために必要なトレーニングや、就職活動のサポートを受けられる福祉サービスです。「自分も就労移行支援を利用できる?」「どのように事業所を選べばいい?」と思い悩んでいる人もいるでしょう。そこで今回は、就労移行支援の基礎知識と、事業所を選ぶ際のポイントについて解説します。
就労移行支援とは
就労移行支援とは、障害や難病の人が就労を目指すにあたり、就労訓練や就職活動支援などのサポートを受けられる通所型の福祉サービスです。
どのような人が利用できる?
就労移行支援を利用するには、原則として次の条件を満たす必要があります。
自分の障害(難病)が対象になっているか確認するには、厚生労働省の「障害者総合支援法の対象疾病(難病等)の見直しについて」を参照してください。
自分の障害(難病)が対象になっているか確認するには、厚生労働省の「障害者総合支援法の対象疾病(難病等)の見直しについて」を参照してください。
- 原則として、18歳以上、65歳未満
- 児童相談所長の許可があれば15歳から利用可
- 65歳に達する前の5年間に、障害福祉サービスの支給決定を受けていた者で、65歳に達する前日において就労移行支援の支給決定を受けていた者は、当該サービスを引き続き利用可
- 一般企業への就職を希望している
- 精神障害、発達障害、身体障害、知的障害、難病があること
どのようなサービスを受けられる?
サービス内容は事業所によって異なりますが、主にビジネススキルのトレーニングや体調管理のアドバイス、メンタル面のケア、就職活動のサポートをおこなっています。就職後も仕事や職場になじめるよう、定着支援をおこなっている事業所も少なくありません。利用開始から就職までの期間は人によって異なりますが、平均すると約1年4カ月、最長2年かけて就労を目指せます。
費用はどのくらい?
就労移行支援は福祉サービスのひとつなので、市区町村が利用料を負担する制度があります。ただし、前年度の収入状況によっては自己負担が発生するので、次の表を参考にしてください。
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
---|---|---|
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯 ※1 | 0円 |
一般1 | 市町村民税課税世帯 (所得割16万円 ※2 未満) |
9,300円 |
一般2 | 上記以外 | 3万7,200円 |
(※1)3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入がおおむね300万円以下の世帯が対象
(※2)収入がおおむね670万円以下の世帯(18歳以上の場合は、障害のある当事者とその配偶者)が対象
※関連記事:就労移行支援とは
※出典:厚生労働省『障害者の利用者負担』
(※2)収入がおおむね670万円以下の世帯(18歳以上の場合は、障害のある当事者とその配偶者)が対象
※関連記事:就労移行支援とは
※出典:厚生労働省『障害者の利用者負担』
利用の条件とは?
就労移行支援を利用するには、障害者福祉サービス受給者証(受給者証)が必要です。受給者証は、市区町村の福祉担当課に必要な書類を提出し、申請が認められると交付されます。
就労移行支援事業所を選ぶポイント
ひと口に就労移行支援といっても、サービス内容や設備、雰囲気は事業所によって異なります。無理なく通所して、スムーズに就職活動へ移行するには、自分の希望条件や目的に合った事業所を選ぶことが大切です。事業所選びの際は、次のようなポイントをチェックすると良いでしょう。
- 自分の障害特性が、利用対象となっているか
- 就職実績・定着実績はどうか
- 自分の課題を解決できるトレーニングを実施しているか
- 自宅から通いやすいか
- 自分と相性の良さそうな支援員・利用者がいるか
- 事業所の雰囲気は自分に合っているか
- 自分が求める設備が整っているか
就労移行支援は、身体障害・知的障害・精神障害・発達障害・難病のある人を対象にしていますが、事業所によって対応する障害が異なります。自分の障害が対象になっている事業所を選びましょう。
そして、プログラムの難易度が自分に合ったレベルかどうかも、チェックすべきポイントです。物足りない、難しすぎる、といったことがあると、十分な成果を得ることが難しくなります。「自己理解・障害理解を深めて、自分に合うはたらき方を見つけたい」「応募書類の作成や面接のサポートを受けたい」など、受けたいトレーニングのイメージがあるかもしれません。ですが、自分の考えにとらわれず、自分にとって必要なトレーニングは何か、を支援スタッフに相談してみると良いでしょう。
事業所の雰囲気が自分に合っているか、心を開けそうな支援員や利用者がいるかなど、実際に事業所を訪れてみないとわからないこともあります。ほとんどの事業所では見学や体験利用を受け付けているので、できれば複数の事業所を見学し、自分の目で確かめてみましょう。感染症対策や休憩スペースの有無など、設備の充実度も要チェックです。
また、自宅からのアクセスが不便だと、継続的に通い続けることが難しくなります。見学や体験の行き帰りに、交通手段や所要時間、乗り換え方法、交通費、送迎の有無などを確認し、通いやすい事業所を選びましょう。
そして、プログラムの難易度が自分に合ったレベルかどうかも、チェックすべきポイントです。物足りない、難しすぎる、といったことがあると、十分な成果を得ることが難しくなります。「自己理解・障害理解を深めて、自分に合うはたらき方を見つけたい」「応募書類の作成や面接のサポートを受けたい」など、受けたいトレーニングのイメージがあるかもしれません。ですが、自分の考えにとらわれず、自分にとって必要なトレーニングは何か、を支援スタッフに相談してみると良いでしょう。
事業所の雰囲気が自分に合っているか、心を開けそうな支援員や利用者がいるかなど、実際に事業所を訪れてみないとわからないこともあります。ほとんどの事業所では見学や体験利用を受け付けているので、できれば複数の事業所を見学し、自分の目で確かめてみましょう。感染症対策や休憩スペースの有無など、設備の充実度も要チェックです。
また、自宅からのアクセスが不便だと、継続的に通い続けることが難しくなります。見学や体験の行き帰りに、交通手段や所要時間、乗り換え方法、交通費、送迎の有無などを確認し、通いやすい事業所を選びましょう。
就労移行支援事業所の探し方
お住まいのエリアにどのような事業所があるか調べる手段として、主に次の3つがあります。
- 就労移行支援事業所を探す手段
●インターネット
●市区町村の福祉担当課
●専門機関
障害者就業・生活支援センター(厚生労働省『令和6年度障害者就業・生活支援センター一覧』)
地域障害者職業センター(高齢・障害・求職者雇用支援機構『地域障害者職業センター』)
障害者相談支援事業所
ハローワーク(厚生労働省『全国ハローワークの所在案内』)
インターネットで調べる際は、「就労移行支援事業所」と「〇〇(お住まいのエリア名)」で検索するか、地図検索サイトの周辺検索機能を活用すると良いでしょう。厚生労働省の「都道府県別障害者施設一覧」や、就労移行支援事業所の情報を集めたサイトの利用もおすすめです。近隣の事業所が見つかれば、公式ホームページにアクセスして特色や口コミをチェックしましょう。また、市区町村の福祉担当課に相談すると、希望や障害特性に合う事業所を紹介してもらえるほか、受給者証の発行など各種手続きのサポートも受けられます。
専門家のサポートを受けたい人には、専門機関の利用がおすすめです。「障害者就業・生活支援センター」では、障害者支援の専門家が就労面と生活面の一体的な支援を実施しています。「地域障害者職業センター」や「障害者相談支援事業所」でも、障害者職業カウンセラー、相談支援専門員といった専門家が事業所選びをサポートしてくれます。ハローワークは基本的に求人情報を紹介する機関ですが、障害者専門窓口に専門知識をもつ職員が配置されているので、相談してみると良いでしょう。
専門家のサポートを受けたい人には、専門機関の利用がおすすめです。「障害者就業・生活支援センター」では、障害者支援の専門家が就労面と生活面の一体的な支援を実施しています。「地域障害者職業センター」や「障害者相談支援事業所」でも、障害者職業カウンセラー、相談支援専門員といった専門家が事業所選びをサポートしてくれます。ハローワークは基本的に求人情報を紹介する機関ですが、障害者専門窓口に専門知識をもつ職員が配置されているので、相談してみると良いでしょう。
事業所探しから就労までの流れ
自分に合う事業所が見つかったら、次のようなステップで就労を目指します。
- 就労までの7つのステップ
(1)事業所に無料相談・資料請求
(2)事業所の見学・無料体験を利用
(3)受給者証の申請
(4)特定相談支援事業所でのサービス等利用計画の作成またはセルフプランの作成
(5)利用契約
(6)利用開始
(7)就職活動
(8)定着支援
(1)自治体や専門機関でも就労移行支援事業所の情報を提供してもらえますが、事業所に問い合わせてさらに詳しく確認しましょう。事前に、自分の特性や希望の職種、疑問点などをメモ書きしておくと、相談がスムーズです。
(2)無料体験や見学を積極的に申し込んで、事業所の雰囲気やトレーニング内容、支援員の人柄などを確かめましょう。
(3)利用したい事業所が決まれば、受給者証の申請をおこないます。申請には障害者手帳もしくは医師の診断書・意見書が必要です。医療機関によっては診断書の作成に2週間ほどかかる場合があるため、早めに医師に相談しましょう。
(4)障害福祉サービスの利用希望者には、「サービス等利用計画」の作成が求められます。自分で作成する「セルフプラン」という方法もありますが、特定相談支援事業所に作成を依頼するのが一般的です。
(5)申請が認められると受給者証が発行されます。受給者証やその他必要書類を就労移行支援事業所に持参し契約の手続きをおこないます。
(6)支援員と一緒に「個別支援計画」を作成し、将来の目標をしっかりと定めます。事業所によっては、通所日数やプログラム内容を調整してもらえるので、自分の希望や体調を伝えましょう。
(7)トレーニングを通じてはたらく力が身についたら、就職活動に着手します。支援員が、履歴書作成のアドバイスや面接対策、面接同行など、幅広くサポートしてくれるでしょう。企業実習に参加して、実際の業務や職場の雰囲気を体験できるケースもあります。
(8)事業所によっては、就職後も安心してはたらけるよう定着支援をおこなっています。職場における業務上の不安や人間関係の悩みを解消できるよう、支援員が会社との橋渡し役を担ってくれます。
※関連記事『就労移行支援事業所へ問合わせる際の事前準備と、見学の時に確認すべき5つのポイントを解説』
(2)無料体験や見学を積極的に申し込んで、事業所の雰囲気やトレーニング内容、支援員の人柄などを確かめましょう。
(3)利用したい事業所が決まれば、受給者証の申請をおこないます。申請には障害者手帳もしくは医師の診断書・意見書が必要です。医療機関によっては診断書の作成に2週間ほどかかる場合があるため、早めに医師に相談しましょう。
(4)障害福祉サービスの利用希望者には、「サービス等利用計画」の作成が求められます。自分で作成する「セルフプラン」という方法もありますが、特定相談支援事業所に作成を依頼するのが一般的です。
(5)申請が認められると受給者証が発行されます。受給者証やその他必要書類を就労移行支援事業所に持参し契約の手続きをおこないます。
(6)支援員と一緒に「個別支援計画」を作成し、将来の目標をしっかりと定めます。事業所によっては、通所日数やプログラム内容を調整してもらえるので、自分の希望や体調を伝えましょう。
(7)トレーニングを通じてはたらく力が身についたら、就職活動に着手します。支援員が、履歴書作成のアドバイスや面接対策、面接同行など、幅広くサポートしてくれるでしょう。企業実習に参加して、実際の業務や職場の雰囲気を体験できるケースもあります。
(8)事業所によっては、就職後も安心してはたらけるよう定着支援をおこなっています。職場における業務上の不安や人間関係の悩みを解消できるよう、支援員が会社との橋渡し役を担ってくれます。
※関連記事『就労移行支援事業所へ問合わせる際の事前準備と、見学の時に確認すべき5つのポイントを解説』
ミラトレ卒業生に聞いた、事業所選びから就職までのストーリー
実際に就労移行支援を活用した方は、どのように事業所を選び、就職活動に取り組んだのでしょうか。ミラトレを利用された方の事例を紹介します。
定着率の高いミラトレを選び、多彩な講座でスキルアップ
就職エージェント「dodaチャレンジ」への登録がきっかけで、就労移行支援を知ったI.Yさん。ミラトレを選んだ決め手は、就職率や定着率の高さ、多彩な講座内容だったといいます。ExcelやWordの習得を目標にPCスキル講座を受講し、Officeソフトを使えるように。また、アンガーマネジメント講座で怒りをコントロールできるようになりました。再就職を果たした今、自己肯定感の高まりを実感しながらはたらいているそうです。
※就職事例:『仕事にやりがいを感じながら、長期就労を目指したい』
※就職事例:『仕事にやりがいを感じながら、長期就労を目指したい』
個別計画的なトレーニングで、スピーディーな業務を実現
ミラトレで利用者同士が協力する姿に感銘を受けて、入所を決めたK.Dさん。諸事情で通所時間は限られていましたが、支援員と相談の上、短時間で最大の効果を得られる計画書を作成しました。その計画に沿って業務効率化を実現できたほか、自分の得手不得手がわかるように。参加報告会という講座で「失敗から学ぶ姿勢」を身につけられたことも、大きな成果でした。就職後、「ミラトレで努力したことによって、人生が良い方向に動き出しました」と語ってくれました。
※就職事例:『失敗を糧に自分自身が変わることで、やりがいを感じる仕事に出会えた』
※就職事例:『失敗を糧に自分自身が変わることで、やりがいを感じる仕事に出会えた』
はたらく未来の可能性を広げるミラトレの支援内容
「ミラトレ」では、障害のある方が未来の可能性を広げられるよう、就職準備はもちろん職場への定着まで総合的な支援をおこなっています。ビジネススキルやメンタルケアなど各分野の専門家が連携しあい、一人ひとりの能力や課題に配慮しながら、スキル向上をサポート。実際の職場をイメージした擬似就労プログラムにも力を入れており、就職率95%、定着率97%という高い実績につながっています(2019年度、全国の就労移行支援事業所における平均就職率は54.7%)。
ミラトレは、パーソルグループの特例子会社・パーソルダイバースが運営しています。障害のある方に特化した就職・転職支援サービス「dodaチャレンジ」もグループ会社のひとつ。就職活動のノウハウと業界トップクラスの求人を保有しているため、就労の選択肢が広がります。
(※出典:厚生労働省『障害者の就労支援について』)
ミラトレは、パーソルグループの特例子会社・パーソルダイバースが運営しています。障害のある方に特化した就職・転職支援サービス「dodaチャレンジ」もグループ会社のひとつ。就職活動のノウハウと業界トップクラスの求人を保有しているため、就労の選択肢が広がります。
(※出典:厚生労働省『障害者の就労支援について』)
執筆 : ミラトレノート編集部
パーソルダイバースが運営する就労移行支援事業ミラトレが運営しています。専門家の方にご協力いただきながら、就労移行支援について役立つ内容を発信しています。
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