ミラトレノート
就労移行支援の
基礎
知識


睡眠障害は、十分な睡眠が取れない「不眠症」や十分な睡眠が取れているのに日中に眠気を感じる「過眠症」など、睡眠に何らかの問題がある状態のことを指します。睡眠障害があると、睡眠不足や強い眠気により日中の生活や仕事に支障をきたし、心身の健康にも影響を及ぼしかねません。睡眠障害の種類はさまざまあり、症状や対処法はそれぞれ異なります。
今回は、睡眠障害についての基礎知識から、睡眠障害のある人が仕事をする上での対策やはたらき方について解説します。
目次
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1.睡眠障害とは
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2.睡眠障害の種類と症状
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2-1.不眠症
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2-2.過眠症
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2-3.概日リズム睡眠障害
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2-4.睡眠時随伴症
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2-5.睡眠時呼吸障害
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2-6.睡眠関連運動障害
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3.睡眠障害のある人が仕事をする上での対策
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3-1.対処法1.治療を受ける
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3-2.対処法2.睡眠に良い習慣を心がける
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3-3.対処法3.睡眠環境を整える
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3-4.対処法4.眠れない日の対処法を決めておく
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3-5.対処法5.職場にはたらき方を相談する
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3-6.対処法6.休職を検討する
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3-7.対処法7.はたらきやすい職場への転職を検討する
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4.睡眠障害のある人に適したはたらき方
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4-1.はたらき方1.夜勤や残業の少ない職場
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4-2.はたらき方2.ストレスが少ない仕事や職場
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4-3.はたらき方3.勤務時間の融通がきく仕事
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5.睡眠障害で体調を崩し退職した方の再就職事例
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6.睡眠障害がある方には就労移行支援事業所の利用がおすすめ
睡眠障害とは
睡眠障害とは、「睡眠に何らかの問題がある状態」のことです。一般的に知られている睡眠障害として「不眠症」が挙げられます。その他にも、「過眠症」や「概日(がいじつ)リズム睡眠障害」など、睡眠障害の種類はさまざまあります。睡眠障害がある場合、日中の活動だけでなく心身の健康にも大きく影響するため、適切な対応が求められます。
睡眠障害の種類と症状
睡眠障害の種類は多岐に渡りますが、ここでは日常的にみられやすい6種類を紹介します。
不眠症
不眠症は、睡眠時間の不足や睡眠の質の低下により日中の眠気、集中力の低下、疲労など体調不良が起こって生活に支障が出ている状態です。
不眠症には、大きく分けて4つのタイプがあります。
不眠症には、大きく分けて4つのタイプがあります。
タイプ | 症状 |
---|---|
入眠困難 | 布団に入ってもなかなか(30分~1時間以上)眠りにつけない |
中途覚醒 | 眠っても夜中に何度も目が覚める |
早朝覚醒 | 通常の2時間以上前に目が覚めて、その後眠れない |
熟眠障害 | 眠りが浅く、睡眠時間のわりにぐっすり寝た感じがない |
上記のような不眠の症状が続き、日中に不調を自覚して生活に支障をきたしている場合、「不眠症」と診断される可能性があります。
日本人の約3人に1人が不眠の症状を有しているとされており、決して珍しいものではありません。また、精神疾患や身体疾患に伴い生じる場合もあるため、医療機関での受診と検査を検討しましょう。
※参考:厚生労働省『e-ヘルスネット不眠症』
日本人の約3人に1人が不眠の症状を有しているとされており、決して珍しいものではありません。また、精神疾患や身体疾患に伴い生じる場合もあるため、医療機関での受診と検査を検討しましょう。
※参考:厚生労働省『e-ヘルスネット不眠症』
過眠症
過眠症は、十分な睡眠時間を取っているのに、日中に強い眠気を感じて仕事や学習などに支障をきたす状態のことです。過眠症は、「ナルコレプシー」「特発性過眠症」「反復性過眠症」の3種類に分けられます。
【ナルコレプシー】
ナルコレプシーでは、日中急に眠たくなって眠り込んでしまう「睡眠発作」が主な症状として挙げられます。他にも、笑う・驚くなどの感情で突然身体の力が抜けてしまう「カタプレキシー(情動脱力発作)」、眠りに入る際の「睡眠時麻痺」、「入眠時幻覚」などの症状があります。ナルコプレシーが起こる割合は、600人に1人といわれています。
出典:Narcolepsy(SCIENTIFIC AMERICAN January 2000)
【特発性過眠症】
特発性過眠症は、日中にも過度な眠気が続く過眠症の一種です。ナルコレプシーと似ていますが、カタプレキシー(情動脱力発作)など他の症状がみられない場合に特発性過眠症と診断されることがあります。夜の睡眠時間が長い傾向にあり、居眠りをすると1時間近く眠ってしまう上、目覚めたときの爽快感がないのが特徴です。10代~20代の人に多くみられ、割合としてはナルコレプシーよりもやや少ないといわれています。
【反復性過眠症】
反復性過眠症は、20時間近く眠る「過眠期」と眠気が消失する「間欠期」を繰り返す睡眠障害のひとつです。過眠期には、記憶力の低下やうつ症状、認知機能の障害などさまざまな症状が現れるのが特徴です。非常にまれな病気であり、治療法は確立されていません。10代で発症するケースがほとんどで、女性よりも男性の方が多いとされます。
【ナルコレプシー】
ナルコレプシーでは、日中急に眠たくなって眠り込んでしまう「睡眠発作」が主な症状として挙げられます。他にも、笑う・驚くなどの感情で突然身体の力が抜けてしまう「カタプレキシー(情動脱力発作)」、眠りに入る際の「睡眠時麻痺」、「入眠時幻覚」などの症状があります。ナルコプレシーが起こる割合は、600人に1人といわれています。
出典:Narcolepsy(SCIENTIFIC AMERICAN January 2000)
【特発性過眠症】
特発性過眠症は、日中にも過度な眠気が続く過眠症の一種です。ナルコレプシーと似ていますが、カタプレキシー(情動脱力発作)など他の症状がみられない場合に特発性過眠症と診断されることがあります。夜の睡眠時間が長い傾向にあり、居眠りをすると1時間近く眠ってしまう上、目覚めたときの爽快感がないのが特徴です。10代~20代の人に多くみられ、割合としてはナルコレプシーよりもやや少ないといわれています。
【反復性過眠症】
反復性過眠症は、20時間近く眠る「過眠期」と眠気が消失する「間欠期」を繰り返す睡眠障害のひとつです。過眠期には、記憶力の低下やうつ症状、認知機能の障害などさまざまな症状が現れるのが特徴です。非常にまれな病気であり、治療法は確立されていません。10代で発症するケースがほとんどで、女性よりも男性の方が多いとされます。
概日リズム睡眠障害
概日リズム睡眠障害は、体内時計による1日周期のリズム「概日リズム」にズレが生じて夜間の睡眠が十分に取れない状態を指します。夜勤や時差などにより、生活リズムが崩れることが主な原因として挙げられます。
概日リズム睡眠障害は主に、4つのタイプがあります。
概日リズム睡眠障害は主に、4つのタイプがあります。
タイプ | 症状 |
---|---|
睡眠相前進型 | 夕方頃から眠くなり、早朝に目覚める |
睡眠相後退型 | 深夜や早朝に眠り、昼間に目覚める |
非24時間睡眠覚醒症候群 | 寝る時間と起きる時間が、毎日30~60分ずつずれていく |
不規則型睡眠覚醒型 | いつ眠っていつ起きるかわからず、1日に3回以上睡眠する |
睡眠時随伴症
睡眠時随伴症とは、睡眠中や入眠時、覚醒時に異常な行動を取ってしまう状態を指します。脳が発達、もしくは退行する段階に起こりやすく、子どもや高齢者に多くみられます。代表的な症状として、睡眠中に突然叫び声を上げたり泣いたりする夜驚症や、寝床を出て歩き回り始める睡眠時遊行症などがあります。
睡眠時呼吸障害
睡眠時呼吸障害は、睡眠中に呼吸に異常をきたす疾患の総称です。代表的なものとしては、睡眠中に舌が気道をふさぐことで、いびきや無呼吸の症状が現れる「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」があります。眠りが浅くなり、夜間に何度も目覚めてしてしまうことで慢性的な睡眠不足となってしまいます。
睡眠関連運動障害
睡眠関連運動障害は、睡眠中やその前後に比較的単純な体の動きを引き起こして睡眠に支障をきたすのが特徴です。代表的なものとして、夕方から夜にかけて足がむずむずする「むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)」や、睡眠中に意図せず手足が動いてしまう「周期性四肢運動障害」などがあります。
睡眠障害のある人が仕事をする上での対策
睡眠障害がある場合、日中に過度な眠気が起こることで集中力が落ちてしまい、場合によっては業務に支障をきたすおそれがあります。睡眠障害のある人が仕事をする上での対処法について紹介します。
対処法1.治療を受ける
睡眠障害がある場合、まずは医師の診察を受けましょう。とくに、日常生活や仕事に支障が出ている場合は早めの受診をおすすめします。睡眠障害の基本的な治療は、服薬や睡眠指導です。医師の指示にしたがい、しっかりと通院を続けましょう。
対処法2.睡眠に良い習慣を心がける
生活リズムを整え、睡眠に良い習慣をつけるのも効果的な対処法のひとつです。以下のような基本的な対策を心がけると良いでしょう。
- 基本的な対策
・就寝と起床の時間を整える
・朝に太陽の光を浴びる
・運動する
・ストレスを解消する
・寝る前はリラックスする
・寝る前は間接照明を使う
・寝る前にスマホを見ない
・寝酒をしない など
寝る時間と起きる時間を一定にして生活リズムを整えます。朝陽を浴びることで夜に眠くなる体内リズムが整います。反対に、寝る前に強い光を見ると寝付きにくくなります。スマホを見ない、間接照明を使うなどの対策がおすすめです。
日中の適度な運動やストレスの発散、就寝前のリラックスタイムも効果的です。心を落ち着けることで副交感神経が優位になるため、入眠しやすくなり睡眠の質を高める効果が期待できます。
また、寝る前の飲酒は、早朝覚醒や中途覚醒といった睡眠不足を招きやすいため控えましょう。
日中の適度な運動やストレスの発散、就寝前のリラックスタイムも効果的です。心を落ち着けることで副交感神経が優位になるため、入眠しやすくなり睡眠の質を高める効果が期待できます。
また、寝る前の飲酒は、早朝覚醒や中途覚醒といった睡眠不足を招きやすいため控えましょう。
対処法3.睡眠環境を整える
睡眠環境を整えるのも効果的な方法です。布団やまくらなどの寝具を自分に適したものに変えるのはもちろん、寝室の温度・照明・音など室内環境も整えます。できるだけ照明や音を抑え、安眠できるよう工夫しましょう。
また、冬場や夏場など、寝苦しさを感じる季節は注意が必要です。室内は心地良いと感じる温度・湿度にし、寒い日は湯たんぽなどで布団の中を温めておくと入眠がスムーズです。
また、冬場や夏場など、寝苦しさを感じる季節は注意が必要です。室内は心地良いと感じる温度・湿度にし、寒い日は湯たんぽなどで布団の中を温めておくと入眠がスムーズです。
対処法4.眠れない日の対処法を決めておく
睡眠障害は不安やストレスの影響を受けやすいため、眠れないからといって焦りは禁物です。寝る時間になっても眠くない場合は、無理に布団に入って寝ようとせず、眠くなってから布団に入った方がスムーズな入眠を促せることもあります。眠くなるまでは、リラックスできる音楽を聞いたり、安眠効果のあるアロマを焚いたり、読書をしたりして穏やかな時間を過ごすのもひとつの方法です。眠れないときに不安や緊張を感じないよう、自分に合った対処法をあらかじめ決めておきましょう。
対処法5.職場にはたらき方を相談する
睡眠障害によって仕事に支障をきたしている場合、はたらき方について職場に相談するのも対処法のひとつです。勤務時間が不規則、夜勤がある交替制勤務、長時間勤務など一定の睡眠リズムを保てない勤務体制では、睡眠障害の改善が難しい可能性があります。生活リズムが乱れないよう、定時に帰宅できるはたらき方に変更できないか相談してみましょう。
対処法6.休職を検討する
こまでお伝えした対処法を実践しても睡眠障害が改善されない場合、休職を検討するのも選択肢のひとつです。企業によっては休職制度を設けている場合があるので、就業規則を確認してみてください。
また、精神障害が原因で休職している人が利用できる職場復帰の支援「リワーク」制度があります。以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。
※関連記事:長期休職中の方に必要なリワークとは?取り組み内容やリワークの効果について解説
また、精神障害が原因で休職している人が利用できる職場復帰の支援「リワーク」制度があります。以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。
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対処法7.はたらきやすい職場への転職を検討する
はたらき方の調整が難しく、睡眠障害の原因となっているストレスを軽減できないときは、仕事を続けるべきか家族や医師に相談します。転職を決断したら、自分に合うはたらき方を検討しましょう。
転職する際に、就労移行支援を利用できるケースがあります。就労移行支援とは、「一般企業に就職したい」という障害のある人が、必要な知識やスキルを習得できるようサポートする障害福祉サービスです。就労移行支援事業所では、ビジネススキルを習得するためのプログラムを実施している他、健康管理のアドバイスなどもおこなっています。自分の特性を理解した上でセルフケアを実践できるのは、就労移行支援事業所の大きなメリットといえます。
「ミラトレ」も就労移行支援事業所として、睡眠障害のある方の悩みや転職についての相談にも対応しています。就労移行支援について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。
※関連記事:就労移行支援とは
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※関連記事:就労移行支援とは
睡眠障害のある人に適したはたらき方
睡眠障害のある人は、生活リズムやメンタルの安定を図りながらはたらける環境が理想的です。睡眠障害のある人におすすめのはたらき方を見ていきましょう。
はたらき方1.夜勤や残業の少ない職場
睡眠障害のある人が仕事を探す場合、夜勤や残業の少ない職場を検討するのもひとつの方法です。残業で帰宅時間が遅くなる、夜勤で睡眠時間が不規則になるなど睡眠リズムが整いにくい職場では、睡眠の問題が出やすくなってしまいます。
はたらき方2.ストレスが少ない仕事や職場
睡眠障害の種類によっては、ストレスが原因になります。自分にとって何がストレスになりやすいかを考え、ストレスのかかりにくい仕事につくことが望ましいでしょう。また、同僚や上司と良好な関係が築ける職場も理想的です。
はたらき方3.勤務時間の融通がきく仕事
フレックスタイム制や在宅勤務といった勤務時間の融通がきく仕事も、睡眠障害のある人に適しています。勤務時間を柔軟に選べる職場であれば睡眠時間を確保しやすく、ストレスや不安の軽減になるでしょう。
睡眠障害で体調を崩し退職した方の再就職事例
鈴木さんは、新卒入社した会社で営業職に就いていましたが、クレーム対応や仕事に対する責任にストレスを感じて睡眠障害によるうつ病を発症しました。休職期間を経て退職した後、就労移行支援事業所「ミラトレ」の利用を決意。通所を始めた頃は、精神的に落ち込んでいたそうですが、擬似就労や面接練習など実践的なトレーニングを重ねて自己肯定感が高まったそうです。支援員との対話によって自己理解を深めた鈴木さんは、就職先に求める配慮事項を把握することで無理なくはたらける企業への再就職に成功しました。
※関連記事:鈴木哲生さんの就職事例「チャレンジを積み重ねた先に「自己実現」がある」
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睡眠障害がある方には就労移行支援事業所の利用がおすすめ
睡眠障害がある人は、まずは医師の診察を受けた上で、生活リズムや睡眠習慣を整えることが大切です。適切な治療をおこなっても睡眠の問題が改善されず、日中の生活や仕事に影響してしまう場合、休職や転職を検討するのも選択肢のひとつです。
就労移行支援事業所「ミラトレ」では、睡眠障害と折り合いながら、自分らしく、長くはたらき続けられるようサポートをおこなっています。ビジネススキルの習得だけでなく、実際の職場環境を想定した擬似就労で実践的なスキルを身につけられます。また、自己分析や自己理解、ストレス対処法といった「セルフケア」のスキルも習得できます。支援員に不安や悩みを相談してアドバイスを受けられるのもメリットです。
面接対策から就職後の定着支援まで総合的な就労支援により、「自分らしくはたらく道を見つけたい」という方をバックアップします。ミラトレの利用方法やサービスについて気になる方は、気軽にお問い合わせください。
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執筆 : ミラトレノート編集部
パーソルダイバースが運営する就労移行支援事業ミラトレが運営しています。専門家の方にご協力いただきながら、就労移行支援について役立つ内容を発信しています。
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