Interview

「相談の価値」に気づけたことが、キャリア形成の足がかりに

ミラトレ川越

K.Mさん

うつ病

通所期間
約1年2カ月
就職先企業
株式会社丸広百貨店

就職までの道のり

利用開始
週2~4日利用からスタート。
12カ月目
就職活動をスタート
1年2カ月後
就職内定!ミラトレ卒業

パソコンスキルの習得を目指し、ミラトレの利用を決意

社会人になってから直面した、うつ病と再就職の壁

幼い頃から心に違和感を抱きながら過ごしてきましたが、障害が明らかになったのは社会人になってからでした。温泉施設で事務職としてはたらいていたとき、ある日突然、体が動かなくなり会社に行けなくなってしまい、仕事が合わない悩みなど、たまったストレスが一気に吹き出したようでした。

医療機関でうつ病と診断され、体調の回復を見計らって再就職することに。技術職に興味があったので、林業を経験したのち溶接の世界に飛び込みました。1年あまり溶接工として腕を磨きましたが、手の負傷やうつの症状など、さまざまなトラブルが重なって退職。しばらく療養して、心身の健康を取り戻すことに専念しました。

就労移行支援を利用し、障害者雇用枠の就職を目指すことに

うつ病と折り合いながらはたらく道を模索し、就労継続支援の利用も検討しましたが、主治医から「一般企業ではたらく能力があるので、就労移行支援からスタートするのが良いでしょう」とすすめられました。工賃が得られる就労継続支援と異なり、就労移行支援の利用中は基本的に収入を得られません。その点が少し気がかりでしたが、将来を長い目で見て就労移行支援を利用することにしました。

それまでは、「会社や同僚に障害のことを伝えても受け入れてもらえないのではないか」という葛藤から、障害を開示せずにはたらいていました。けれども、「初めから障害を開示した方が特性への理解を得やすく、ストレスをため込む心配も少なくなるのでは」と考え、障害者雇用枠での就職を目指すことに決めました。障害者雇用では事務職が最も多い割合を占めていると聞き、内定獲得の可能性を高めるためにも、就労移行支援事業所でパソコンスキルを身につけようと考えました。

ミラトレでトレーニングと資格勉強を両立

人と深く接することで「相談の価値」を実感

自宅周辺の就労移行支援事業所をネットで検索し、ヒットしたのがミラトレ川越でした。見学に行き事業所内を見渡してみると、利用者の誰もがパソコンに向かっていたので「ここならパソコンスキルを磨けそうだ」と感じました。支援員の方々から温和な雰囲気を感じたことも、通所の決め手です。

当初は体調に波があり、週2日から4日のペースでミラトレに通い始めました。退職してから長いブランクがあったので、まずは睡眠時間の確保や規則正しい食事など生活リズムの確立が最優先でした。生活や健康に関する講座で生活リズムシートを作成し、ほかの利用者と共有することで、生活リズムが整い始めました。

こういった講座は人と話す練習になりましたし、支援員と面談する機会を数多くもてたこともコミュニケーションスキルの向上につながったと思います。利用者や支援員と接するなかで、いつしか他人に対する苦手意識が薄れ、相談の価値に気づくことができました。人との距離感が近い環境を経験することが少なかった私にとって、「誰かに相談することで不安が軽くなる」という体験は、とても価値のあるものでした。ミラトレ卒業後も、困りごとがあるときは人に相談するようにしています。

就職活動に向けて、資格取得と面接対策に全力投球

ミラトレではさまざまな講座を受講しましたが、特に電話講座やパソコン講座が今の仕事で役立っています。講座でExcelやWord、PowerPointを学び、作業や記録など事あるごとにパソコンを利用していたので、スキルの向上を実感しました。なかにはユニークな成果物を作る利用者もいて、映画「スターウォーズ」のプロローグをモチーフにした発表を観たときには、「こんなPowerPointの使い方もあるのか」と感心しました。

いずれ就職活動をするときにパソコンスキルをアピールできるよう、MOSの取得を目指すことにしました。MOSは、WordやExcel、PowerPointなどMicrosoft Officeのスキルを証明する国際資格です。家族から経済的なサポートを受けていたので、「早く就職して安心させたい」という一心で勉強に励みました。2種類の試験に挑戦し、無事合格できたときには胸をなでおろしました。

自己主張が苦手なので、月に一度の模擬面接にも積極的に参加。支援員から「面接の柱となるツリーは立てられているので、もっと装飾しましょう」とアドバイスを受け、質問に対する答えが一言で終わってしまわないよう意識しながら練習を重ねました。

老舗百貨店で再就職を果たし、チームの一員として活躍

企業実習で課題を把握し、希望に合う企業へ

通所開始から1年あまりが経った頃、本格的な就職活動に着手しました。物流会社の企業実習に参加し、配送センターでのピッキングと印刷業務を体験。商品をかごに入れて運ぶピッキング作業では体力不足を痛感しましたし、「声が小さい」という指摘を受けました。課題はあったものの、通勤や仕事の流れを体験してはたらく感覚をつかむことができました。

前職を退職してからブランクが長かったので、短時間勤務からスタートできる会社を希望していました。支援員から紹介された丸広百貨店の求人は私の希望に合っていましたし、創業75余年という老舗ブランドに魅力を感じ、応募を決意。トライアル雇用では、賑やかな環境に戸惑いつつも、パソコンを使ったデータ加工や印刷業務に取り組みました。無事、内定をいただき、晴れて丸広百貨店の一員になりました。

不安を力に変えて、業務のスピードと正確性を追求

現在は、面接の準備や採用に関する事務処理を担当。以前の私は「与えられた業務は自分一人で完了すべき」と思っていましたが、今は周囲の方と支え合いながら仕事をしています。丸広百貨店で、「会社はひとつのチームなんだ」という思いを強くしました。ただし、相談するときは「相手に時間を使ってもらっている」ことを忘れずに、簡潔な質問を心がけています。

自分が失敗するとミスが連鎖したり、悪い影響が広がったりするので、正確さと誠実さを信条にしています。また、応募者の不安を少しでも払しょくできるよう、スピーディーな対応を実践してきました。業務の自由度が高いので、仕事の効率や正確性を高められるようフォーマットを自分でカスタマイズしています。

私には不安を感じやすい特性がありますが、だからこそ応募者の不安に寄り添ったり、正確さを追求できたりするのかもしれません。今思えば、ミラトレでも不安が原動力となって、苦手な物ごとや資格勉強に邁進できたのではないかと思っています。特性はマイナスにもプラスにもなりうるものだと感じました。今後は業務で使用するフォーマットをより良く改善し、さらに仕事の効率をアップすることが目標です。

「生活の基本」を大切に、仕事も趣味も自分らしく

自分自身を磨くため、新たな趣味に挑戦

今でもミラトレの定着支援を受けており、会社や家族に話しづらいことも支援員に聞いてもらえるのがありがたいと思っています。入社から1年余りが経ち、ライフワークバランスの充実を実感するようになりました。10年くらい続けているスイス伝統の切り絵や、今月始めたばかりの水泳など、趣味の幅も広がっています。視野が狭いと自身の成長が頭打ちになりそうなので、読書を生活のルーティンに取り入れるようになりました。

これからミラトレを利用する方へ

ミラトレは、「人生の通過点」であり、「生活の基本」に立ち帰れる場所でもありました。これから就労移行支援の利用を検討している方には、自分の足で複数の事業所を見学し、比較検討した上で自分に合う事業所を選んでほしいと思います。

まずは、お気軽に
支援員にご相談ください

ご自身のお困りごとや
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支援員が親身にお話をうかがいます

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ミラトレの確かな実績 ミラトレの確かな実績

企業担当者コメント

意欲的な人材との出会いに感謝しています

  • 株式会社丸広百貨店
  • 総務人事部 人事担当 マネージャー 渋谷健太郎様
    (2025年10月現在)

一人ひとりの人間性を尊重し、地域で愛される百貨店に

当社は、創業75年以上にわたり埼玉県に根ざして事業を展開する地域密着型百貨店です。「地域に役立つパートナー」をスローガンに掲げ、地域社会とともに成長し、価値を創造することを使命としています。障害者雇用においては、個性に合わせたはたらき方を実現できるよう、一人ひとりと向き合いながら休日や勤務時間を柔軟に設定しています。また、人事担当と受け入れ職場で協力して、ともにはたらく社員の理解を促し、温かくお迎えできる環境を整えています。入社者が安心して長くはたらけるよう、10年後、20年後を見据えて寄り添っていきたいと考えています。

お客様も従業員も縁あって出会えた方々なので、どのつながりもおろそかにしたくはありません。多様な人々と接点をもち、その交流をお客様との対話や業務に活かすことは、「豊かな人間性が、愛されるまるひろを築く」という社是の実践につながります。

チームになくてはならない「頼れる存在」に成長

今回、正確性が求められる人事部門の業務に適した人材を求め、定着支援に定評のあるミラトレにご相談しました。ご紹介いただいたKさんは、面談での誠実さと物事に真摯に取り組む姿勢、そして「自ら成長しようとする意欲」というポテンシャルを高く評価し、採用を決定しました。

入社当初は細かく作業を分けて指導しましたが、現在は完成形と資料を渡すだけで、優先順位を判断し、不明点を解決しながら、スピーディーかつ正確に業務を進めてくれています。業務上の知見を部内で共有する姿勢も見られ、この一年の目覚ましい成長により、今やチームに不可欠な「頼れる存在」として活躍しています。今後は、主業務であるデータ入力・加工の専門性を高めるとともに、将来的には業務改善提案や新人指導など、より幅広い領域での活躍を期待し、その挑戦を全力でサポートしていきます。

今後もミラトレには、地域に根ざす当社の価値観に共感し、ともに成長できる意欲的な人材との出会いを創出していただけるよう期待しています。これからミラトレを利用される方は、ご自身の得意分野を伸ばし、自信を深めてください。企業側が、応募者一人ひとりの強みを把握し、それを活かせる場所を提供できれば、障害のある方も「自分は必要とされている」と実感しながらはたらけることと思います。

※所属・役職ほか記事の内容は取材当時のものです

就労移行支援事業所
ミラトレ川越
所在地 :
埼玉県川越市脇田本町11-1 川越シティービル 5F
営業時間:
8:45 – 17:45
電話番号:
049-257-4283