徹底的な就活対策で自信を深め、「人の暮らしを守る」保険業界へ
ミラトレ三鷹
M.Yさん
広汎性発達障害
- 通所期間
- 1年9カ月
- 就職先企業
- 東京海上ビジネスサポート株式会社
就職までの道のり
- 利用開始
- 週4日利用からスタート。
- 7カ月目
- 就職活動をスタート
- 1年9カ月後
- 就職内定!ミラトレ卒業
記憶の困難と向き合い続けた青年時代
特性に対処した経験を糧に教育業界で活躍
元々、記憶力や理解スピードが低く、高校生の頃から障害の疑いをもっていましたが、医療機関を受診しても診断は下りませんでした。国語や英語の長文読解に時間がかかり、時間制限のある試験で得点を稼ぐことが難しかったので、ほかの科目でカバーしようと必死でした。理系科目でも苦労をしましたが、「難しい内容を自分にわかりやすく説明する」という方法で学力を向上。模試では世界史の偏差値が70に達し、無事、受験戦争を勝ち抜くことができたのです。
就職先として学習塾を選んだのは、「私の経験が子どもたちの助けになるかもしれない」と考えたからです。多くの子どもやほかの講師に私の学習法を広めることができましたが、昇進とともに残業時間が増え、体がついていかなくなってしまいました。
記憶力や理解スピードの低さが仕事の壁に
やむなく退職し、校務支援のソフトを開発する会社に転職。上司や先輩の助けを借りながら、仕様の決定からバグ対応まですべてこなそうとしていました。しかし、 業務指示を早口で伝えられると理解スピードが追いつかず、指示の抜け漏れによって作業を一からやり直すことも少なくありませんでした。また、複雑な自社開発ソフトの構造やプログラミング言語を覚えるうえで、記憶力の低さが課題になりました。「ここでのスキルアップは無理かもしれない」と思い悩んだ末に体調を崩し、休職することになりました。
就労移行支援制度の存在を知り、医療機関で障害の診断を受けたのもその頃です。社会人になってから5年間、記憶や理解スピードの問題を周囲に打ち明けたり、配慮を受けたりできないまま無理してはたらいていたので、障害が明らかになってホッとしました。「これからは、就労移行支援制度を活用して自分に合う会社を見つけ、障害者雇用枠で自分の強みを発揮できる」と前向きな気持ちで退職し、就労移行支援事業所へ通所することにしました。
障害者雇用を目指しミラトレへ
前職で培ったパソコンスキルをさらにレベルアップ
さまざまな就労移行支援事業所がありますが、私は迷わずミラトレを選びました。ソフト開発会社に転職する際、パーソルグループの転職サービス「doda」の支援を受けて、とても良い印象をもっていたからです。グループ会社のミラトレであれば、質の高いサポートを受けられるだろうと思いました。「dodaチャレンジ」との連携による求人ネットワークや、高い就職率と定着率、障害者雇用に関する豊富なノウハウも決め手になりました。
障害年金の受給手続きがあったため初月は週4日でしたが、2カ月目から週5日ミラトレに通所。Excelや関数の講座は、初級から上級へ無理なくステップアップできるカリキュラムだったので、私も最難関のレベルに挑戦できました。「自分でもこんな関数を作れた!」とうれしかったことを覚えています。
マニュアル作成で強みを発揮
ミラトレでは、実際の職場を想定した「手順書作成技能トレーニング」などをおこなっています。トレーニングの成果を感じたのは、擬似就労のマニュアルを作成したときでした。作業に慣れた立場でマニュアルを作成すると言葉を省略してしまいがちですが、初心者でもマニュアル通りに作業できるか確認し、言葉を補うという工程を繰り返して、完成度を高めました。そのマニュアルは、3年経った今でも使われているそうです。
焦らず準備に取り組み、万全の状態で就職活動へ
面接で「伝える力」を発揮できるよう、支援員と二人三脚
就職活動は、しっかり時間をかけて準備を万端にしてから、自信をもって臨みたいと考えていました。就職活動の準備をサポートしてくれた支援員は、障害者雇用の面接に携わった経験もあり、実践的なアドバイスを受けられて良かったと思います。採用選考で障害特性や配慮事項をわかりやすく伝えるための言葉選びは、とても勉強になりました。以前、学習塾で国語を教えていた私でも、「支援員の語彙力はすごいな」と感心させられたものです。
「長く定着できる」ことをアピールするため、3万字の面接問答集を作成
一般就労ではたらいていた頃、学習塾の教室長も経験していたので、障害者雇用の人事担当者から「定型業務に物足りなさを感じるのでは」と懸念されることもありました。しかしどんな業務も、スピードや正確性を追求したり、初心者でも簡単に習得できる方法を考えたりしながら取り組めば、物足りなさを感じることはありません。そのような業務スタイルをアピールし、長く定着できる人材であることを証明しようと考えました。アピール材料を整理しながら面接問答集を作成した結果、卒業論文に匹敵する3万字に達しましたが、おかげで自分自身への理解が深まり自信がつきました。
ミラトレ利用者の中には、早めに就職活動をスタートして数多くの会社に応募する人もいましたが、私は応募数を絞り、その分準備に時間をかける戦略を取っていました。本格的な就職活動に乗り出したのは、通所開始から7カ月目でした。
「人の暮らしを守りたい」と保険業界を志望
どこへ応募しようかと実習先リストを見ていたところ、有名な保険会社がいくつも目に留まり、保険業界が選択肢として浮上してきました。というのも、保険会社に勤める姉の勧めで生命保険に加入し、保険金の支払いを受けたこともあったので、「保険が人の安心を支えている」ことを実体験として感じていたからです。
応募した5社の中でも、東京海上グループの特例子会社である東京海上ビジネスサポートが第一志望でした。計9日間の実習を通じて封入作業やマニュアル作成のスキルを証明し、「手際が良いですね。即戦力になりそうです」と評価いただけました。内定通知を受け取ったときは、「ミラトレで1年半がんばった成果を出せて良かった」と感無量でした。
ミラトレでは「はたらく力」を身につけるために、実践的なトレーニングを行える環境をご用意しています。
ミラトレの実践的トレーニング
「伝える力」を活かしてチームの立ち上げメンバーに
ヒヤリハットで記憶力をカバーし、ミスを予防
入社後、データ入力や発送作業などさまざまなチームを経験する中で、ミラトレで習得したパソコンスキルが役立ちました。プルダウンや関数の知識を活用して、当番表を作成したこともあります。
保険業務にはマニュアル以外にもたくさんのルールがあり、決して気を抜けません。ヒヤリハットを作成して空き時間に必ず目を通し、ミスの予防に努めてきました。過去のミスは何度も目を通しているので記憶に定着していますが、直近のミスは繰り返す恐れがあるので、星印をつけて注意を促しています。
チーム全体のスキルアップを目指し、レクチャー業務に注力
入社4年目の今年、4月に発足したチームで口座情報入力業務に従事しています。発足前に3カ月間の実習を受け立ち上げから参加しているため、新メンバーへのレクチャーや質問対応をまかされることも 。チームでおこなっている業務の難易度は高く伝え方にも工夫が必要ですが、学生時代、「難しい内容を自分にわかりやす く説明」していた経験が今に活きています。学習塾で培ったノウハウも活かしながら、相手の理解スピードに合わせてレクチャー方法を変えるようにしています。
例として、相手に質問を投げかけ返ってきた答えで理解度を推しはかる、「レクチャーのスピードが速すぎるかも」と思ったときにはマニュアルを指で示しながら説明する、などの方法を実践してきました。スキルアップは、自分一人よりもチーム全体で目指した方が多くの価値を生み出せるので、「個」より「全体」を考えながら仕事をしています。
困ったことがあれば随時ジョブサポーターに相談したり、カウンセラーに面談を申し込んだりできますし、ミラトレの定着支援でも近況報告しています。安心してはたらける環境下で自分の得意分野を発揮できていること、そして何より、保険業務の最前線で困っているお客様の生活をお守りできることに、幸せを感じています。
就職は、夢に向かうスタート地点
プライベートで叶えたい夢
学習業界を離れましたが、「自分の勉強法を子どもたちに伝えたい」という夢は、今も変わりません。学生時代に暗記科目や英語・国語の長文読解で苦労した経験や、学習塾で教室長として指導したエピソードなどを、小説に書き起こしてきました。学習塾で出会った子どもたちのすばらしい人間性も、表現したいと思っています。
商業出版 に向けて執筆に取り組んでいますが、息抜きになるだけでなく、仕事にも良い影響を与えているようです。「どうしたらわかりやすく魅力的に伝えられるだろう」と推敲を重ねたことで、説明力が身につきました。その力は、業務説明や質問対応、体験談発表など、さまざまな場面で役立ち、「説明が わかりやすい」と言っていただくことが増えました。
会社で実現したい目標
会社での目標は、インクルーシブ部門への異動や損害保険会社である東京海上日動への出向を叶えること。そのためにも、チームへの貢献度を高めていくつもりです。ミラトレでしっかり訓練を積んだ経験が、レクチャーなどの業務に役立っていると感じます。
私の経験が参考になればと思い、Googleの口コミでミラトレの魅力を発信したところ、それを見てミラトレを利用し、就職を叶えた方もいました。これから就労移行支援の利用を予定している方も、事業所選びを妥協せず、就職活動の成功に向けて充実した日々を過ごしてください。
※所属・役職ほか記事の内容は取材当時のものです













企業担当者コメント
経営理念のひとつ「支援される立場から支援する組織へ」の実現に向けて、Mさんの活躍を期待しています
(2025年12月現在)
東京海上ビジネスサポートは、東京海上グループが2010年1月に設立した特例子会社です。東京・大阪・名古屋・福岡の事業所にて、書類発送業務やデータ入力・加工業務、印刷業務などを受託し、グループ各社を支援しています。法定雇用率の達成にとどまらず、ダイバーシティ推進に向けて障がい者雇用に注力してきた結果、2025年12月時点で298名の方を採用しています。
ミラトレに求人を出した理由として、プログラムの充実ぶりや定着支援における丁寧なサポートが挙げられます。当社では、周囲とコミュニケーションをはかりながらパソコン業務をおこなっていただくので、ミラトレの職業準備性講座やパソコン講座は求める人材の育成に最適です。
Mさんの採用時も、マニュアル作成などのスキルを評価しました。昨年はミラトレの事業所にお伺いして、会社説明会と意見交換会を実施。Mさんに体験談を話してもらったり、利用者の方から質問を受け付けたりする時間も設けました。利用者の方に「はたらくイメージ」をもっていただけるよう、これからも定期的に会社説明会を実施していきたいと考えています。
Mさんは、新チームの立ち上げメンバーとして、安定稼働にひと役買ってくれた一人。ミスを生まないよう真摯に仕事と向き合う姿勢は、他のメンバーの手本となっています。チーム内外から定評のある「伝える力」を活かし、多種多様な業務にチャレンジしながら、業務で活躍する後輩を増やしていってほしいと思います。
Mさんにとってミラトレの支援員が「安心して相談できる相手」であるように、誰にとっても心理的安全性は必要です。これから就労を目指す方も、心理的安全性を確保できる環境で自分の強みを見つけられれば、本来の力を発揮できるのではないでしょうか。