基礎知識

公開日:2025/4/30
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就労移行支援の制度解説

ヘルプマークとは?入手方法や配布場所も紹介

ヘルプマークとは?入手方法や配布場所も紹介

ヘルプマークとは、外見ではわからなくても支援を必要としている人たちが、援助を得やすくするためのマークです。ヘルプマークの対象者に基準は設けられていないため、援助や配慮を必要としているすべての人が利用できるのが特徴です。この記事では、「ヘルプマークは発達障害や精神障害も対象なのか」「ヘルプマークを見かけたらどうすれば良いか」といった疑問をおもちの方向けに、ヘルプマークの対象者や入手方法、使用方法、ヘルプマークを見かけた際の対処法などについて詳しく紹介します。ヘルプマークの記入例やヘルプカードについて知りたい方もぜひ参考にしてください。

ヘルプマークとは?障害者にかかわるマークも紹介

ヘルプマークとは、援助や配慮を必要としている人が、そのことを周囲に知らせることができるマーク(ピクトグラム)です。東京都福祉局が作成し、2012年から運用が開始されました。今では全国に普及しています。

日常生活においてなんらかの困難があるものの、その旨が外見からではわからない人たちがヘルプマークを身につけることで、周囲に「援助や配慮を必要としている」ことを伝えて援助を得やすくします。

※参照:東京都福祉局「助け合いのしるしヘルプマーク

障害者に関係するマークを紹介

障害のある人に関係するシンボルマークは、ヘルプマーク以外にもさまざまあります。ここでは、日常で見かける主なシンボルマークについて意味を紹介します。
名称・マーク 概要
障害者のための国際シンボルマーク

障害のある人が利用できる建物や施設であることを示す世界共通のシンボルマークです。設置には国や自治体の基準を満たす必要があり、主に建物入口や駐車場などに掲示されています。マークから車いすをイメージしますが、車いすに限らず「すべての障害者を対象」としています。

※参照:『公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会

盲人のための国際シンボルマーク

視覚障害がある人のための世界共通のマークです。視覚障害がある人の安全やバリアフリーを考慮した建物や設備、機器などに掲示されています。

※参照:『社会福祉法人 日本盲人福祉委員会

身体障害者標識(身体障害者マーク)

普通自動車免許を所持しており、四肢に障害のある人が車に表示するシンボルマークです。マークの表示については、努力義務となっています。

※参照:『警視庁 自動車の運転者が表示する標識(マーク)について

聴覚障害者標識(聴覚障害者マーク)

普通自動車免許を所持しており、聴覚に障害がある人が車に表示するシンボルマークです。マークの表示は義務であり、違反すると反則金を課されます。

※参照:『警視庁 自動車の運転者が表示する標識(マーク)について

ヘルプマークの対象者は?発達障害も対象になる?

ヘルプマークには、身体機能や障害の有無、程度など明確な基準は設けられておらず、支援や配慮、サポートを必要とするすべての人を対象としています。

たとえば、以下のような人たちがヘルプマークの対象となります。
  • 対象者の例
    ・内部障害や難病の人
    ・義足、人工関節を使用している人
    ・聴覚・言語・視覚に障害のある人
    ・発達障害や知的障害、精神障害のある人
    ・妊娠初期の人
    ・てんかんやパニック障害など発作の症状がある人 など
ヘルプマークは、外見からはわからない「ヘルプ」を伝えるためのマークです。そのため、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動性障害(ADHD)などの発達障害や、うつ病といった精神障害など、見た目ではわかりにくい困難さを抱える人もヘルプカードの対象となります。

ヘルプマークの配布場所と入手方法

ヘルプマークは、自治体の指定の窓口や福祉センターなど下記のような場所で配布されています。
  • ヘルプマークの配布場所
    ・都道府県・市区町村役場の担当課窓口(福祉課など)
    ・保健所・保健センター
    ・福祉センター・市民センター・障害者相談センター
    ・一部の医療機関
    ・地下鉄(東京都)やバスなど公共交通機関の各駅・営業所 など
自治体によって配布場所は異なるため、事前に確認しておくと安心です。また、一部の自治体では、ヘルプマークを郵送で配布してくれるところもあるようです。取りに行くのが困難な場合には、電話やメールなどで問い合わせてみましょう。

ヘルプマークは自作も可能

災害時やなんらかの事情によりヘルプマークを入手できない場合には、自分で作成して携帯することが認められています。配布場所に取りに行けず、かつ郵送での受取もできない場合などは、自分で作ったものを身につけましょう。

その際には、東京都福祉局が作成した「ヘルプマーク作成・活用ガイドライン」に沿って、提供される見本と同じデザインのものを作成する必要があります。

自分でヘルプマークを作成する場合、以下の点に注意してください。
  • ヘルプマークを作成する場合の注意点
    ・ガイドライン内の画像を使用する
    ・画像はカラーで印刷し、色を変えない
    ・マークの上に文字や絵を書かない
    ・拡大や縮小は可能だが、マークを変形させない など
    ※参照:東京都福祉局障害者施策推進部企画課『ヘルプマーク作成・活用ガイドライン

ヘルプマークの使い方と記入例

ヘルプマークの使い方や裏面の記入例について説明します。

見えるところに取りつけ、裏面に支援内容などを記入する

ヘルプマークは、鞄や持ち物など人目につきやすいところに取りつけるのが一般的です。

また、ストラップタイプのヘルプマークには、伝えたいことを書き込めるシールがついています。このシールに、緊急時の連絡先や必要な支援、配慮してほしい内容などを記入しておきましょう。

困ったときに、上手く話せない状況でも、裏面を見せるだけで自分の病気や障害について相手に伝えられ、必要な支援や配慮が受けやすくなります。

裏面のシールには、以下のような内容を記載すると良いでしょう。
  • 記入内容
    ・緊急時の連絡先(家族やかかりつけ医など)
    ・病名や障害名など
    ・ヘルプ・支援してほしいこと
    ・お願いしたい支援や対処の具体的内容
    ・アレルギーの有無
    ・服薬の有無
    ・氏名・住所・電話番号 など
記載する内容に決まりはありません。自身の特性や症状、必要な援助、対処法、緊急時の連絡先など、第三者が援助する際に困らないよう必要な情報を記載します。あらかじめ記載しておけば、周囲からの援助が受けやすくなるだけでなく、援助する側もサポートがしやすくなります。

発達障害がある場合の記入例

発達障害がある場合の具体的な記入例を紹介します。
  • 自閉スペクトラム症がある場合の記入例
    ・自閉スペクトラム症という障害があります
    ・体に触れられることが苦手です
    ・コミュニケーションが苦手です
    ・言葉で説明しても理解できないときは、絵を使って説明してください
    ・緊急時は以下に連絡してください
    ・連絡先:090-xxxx-xxxx
    ・名前:〇〇△△
発達障害や精神障害などは、人によって特性や症状が異なる上、支援してほしい内容も違います。そのため、適切な支援を受けるには、自身が苦手なことや希望する対処法などをしっかりと明記しておくことが大切です。

ヘルプマークとあわせて使えるヘルプカードとは?

ヘルプカードとは、ヘルプマークのように日常生活において特別な支援は必要ないものの、緊急時や災害時には支援を必要とする人向けに役立つアイテムです。ヘルプマークよりも多くの情報を記載できる上、ストラップ型のヘルプマークとは違ってカードサイズと小さいため手帳や財布などに収納できます。

記載内容は、自治体の配布する様式によっても異なりますが、緊急連絡先やかかりつけ医の項目、必要な支援内容などを自由に書き込める欄があるのが一般的です。ヘルプカードは、ヘルプマークと同様に自作したものでも利用できます。

※引用:千葉県庁「ヘルプカードの配布について

ヘルプマークとあわせてヘルプカードを活用することで、自身の状況をより具体的に伝えられるメリットがあります。

ヘルプマークを見かけた際の対応は?

ヘルプマークをつけている人を見かけたら、どのように対応すれば良いのかについて、状況別に説明するとともに、実際にあったエピソードを紹介します。

電車やバスの中で見かけた場合

ヘルプマークをつけている人を電車やバスの中で見かけたら、「座りますか?」「大丈夫ですか?」と声を掛けると良いでしょう。外見からではわからなくても、立っているのが難しい人や、疲れやすい人などもいます。

【実際のエピソード】
難病を患っていて一年くらい前から体調が良くないときはヘルプマークを鞄につけています。電車に乗っていて立っているだけでつらいときに、マークに気づいて座席を譲ってもらったときは本当にありがたかったです。なので、私自身も元気なときはヘルプマークやマタニティマークを見たら、できるだけ席を譲るようにしています。(30歳/会社員)

体調が悪そうな人や困った様子の人がつけていた場合

体調が悪そうな人でヘルプマークをつけていたら、まずは声を掛けて様子を伺いましょう。会話が困難な場合にはヘルプマークの裏面を確認します。対処方法が書かれていれば、その通りに援助しましょう。

【実際のエピソード】
あるとき、いつも利用している電車が運転見合わせになってしまったことがありました。新宿駅は乗客たちで大混雑・大混乱。駅員さんへ怒号を飛ばしている人もいて、私は怖くなって壁に寄りかかるようにしてなんとか立っていました。思考がうまく回らず、ベンチを見つけることができなかったのです。~中略~しんどそうな様子の私を見て、若いOL風の女性が声を掛けてくれました。「大丈夫ですか?」その優しい声掛けに、少しホッとしました。(35歳/会社員)

緊急時や災害時にヘルプマークを見かけた場合

緊急時には、ヘルプマークに記載された緊急連絡先に連絡しましょう。また、災害時など避難が必要な際にヘルプマークを見かけたら、積極的に声を掛けてください。視覚や聴覚に障害のある人や、身体が不自由な人など、避難が難しい場合があります。聴覚に障害がある人には、スマホの音声入力アプリや、メモ帳に文字を入力した画面を相手に見せると、コミュニケーションを取りやすくなります。安全に避難するために必要な支援をおこないましょう。

※参照:東京都福祉局「ヘルプマーク・ヘルプカードエピソード集

障害について配慮を受けながらはたらくことを検討している方は、就労移行支援事業所「ミラトレ」へ!

ヘルプマークについて、使用方法や入手方法、配布場所について解説しました。病気や障害など明確な基準を設けていないヘルプマークは、サポートを必要としている人なら誰でも利用できます。そのため、発達障害や精神障害、知的障害のある人が身につけ、周囲からの配慮を受けることも可能です。

就労移行支援事業所「ミラトレ」では、障害のある方が自分らしいはたらき方を見つけ、長くはたらき続けられるようサポートしています。ヘルプマークの利用の検討をはじめ、障害について配慮を受けながらはたらくことを検討している方は、ぜひ気軽にご相談ください。

執筆 : ミラトレノート編集部

パーソルダイバースが運営する就労移行支援事業ミラトレが運営しています。専門家の方にご協力いただきながら、就労移行支援について役立つ内容を発信しています。