基礎知識

公開日:2026/5/31
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就職ガイド –はたらく選択肢-

聴覚過敏とは?セルフチェックと日常生活・仕事での対策方法を解説

聴覚過敏とは?セルフチェックと日常生活・仕事での対策方法を解説

職場の話し声やキーボードの音、電車や生活音などが気になる「聴覚過敏」の傾向がある場合、仕事や日常生活に強い疲れを感じてしまう方もいるでしょう。「自分が気にしすぎなのでは」と悩んでしまう方もいますが、音のつらさは他人からは分かりにくく、一人で我慢を続けてしまうケースも少なくありません。音によるつらさを軽減するためには、自分に合った対策や環境調整を行うことが大切です。
本記事では、聴覚過敏の症状や原因、仕事や日常生活で取り入れられる対策、相談先や支援機関について解説します。

【この記事で分かること】
●聴覚過敏の主な症状や原因
●聴覚過敏の傾向を確認できるチェックリスト
●仕事や日常生活で取り入れられる対策
●聴覚過敏がある方が利用できる支援機関

聴覚過敏とは?

聴覚過敏とは、感覚過敏の1つで、周囲の音が過剰に大きく、または特定の音が苦痛に感じられる状態を指します。聴覚過敏は診断名ではなく、明確な定義が決まっているわけではありませんが、音への不快感や耳の痛みなどにより、日常生活に困難を生じることがあります。

聴覚過敏の症状

聴覚過敏の症状は個人差があり、人によって感じ方は異なります。ものを置く音やキーボードのタイピング音など日常で発する音でも、異常に大きく聞こえてしまい、不快感や痛みとして現れる方もいます。
他にも、特定の音が鋭く聞こえる、エコーがかかったように聞こえる、複数の音が重なると、話し声などが聞き取りにくくなるなどの症状が挙げられます。単に「うるさい」と感じるだけでなく、耳の痛み・頭痛などの身体的苦痛を伴うケースもあります。

聴覚過敏の二次的な影響

聴覚過敏は、脳や自律神経に負担がかかることから、頭痛やめまい、動悸、吐き気や耳鳴りにつながるおそれがあります。また、音に対してストレスや不安を感じることで、強い疲労感をおぼえることもあります。音が気になって眠れずに、睡眠に影響する方もいるでしょう。
他にも、音が気になることから、気分の落ち込みや集中力の低下、外出への恐怖心(回避行動)につながるケースもあります。

聴覚過敏のチェックリスト

聴覚過敏のチェックリスト チェック
1 特定の音を聞くと耳が痛い、不快感が生じる現れる

2 電車や人混みなど騒がしい場所に強い不快感がある
3 テレビや家電などの生活音がつらく感じることがある
4 音の多い環境にいると頭痛やめまい、疲労感が出ることがある
5 人の話し声が聞こえると自分たちの会話が聞き取りにくいく、話の内容が入ってこない
6 突然の大きな音に、不安になったりパニックになったりする
7 食器がぶつかる音や金属音など、高い音が痛く感じたり不快に感じたりする
8 耳栓やイヤーマフなど、耳を保護するアイテムがないと不安を感じることがある
9 音が気になり、外出や人混みを避けるようになった
10 音によるストレスで、仕事や日常生活に支障を感じている

チェックリストはあくまでも目安ですが、チェックが多い場合はまずは耳鼻咽喉科に相談するようにしましょう。少しでも気になる症状があれば、早めに相談することをおすすめします。

聴覚過敏の原因は?

聴覚過敏の原因は、単一ではなく、多岐にわたります。例えば、身体的要因(耳・聴覚経路の不調)、脳機能の影響、心理社会的要因(ストレス・過労)、発達特性や精神疾患との関連などが考えられます。ここでは、聴覚過敏となりうる原因の一例について、詳しくご紹介します。

身体的要因(耳の機能の不調)

身体的要因として、耳の機能や神経の不調が挙げられます。例えば、メニエール病などが原因で内耳の不調がある方は、特定の音が大きく聞こえたり音がゆがんで聞こえたりするケースがあります。他にも、突発性難聴の症状として、聴覚過敏が現れることがあります。また、顔面神経麻痺の場合、麻痺症状によって音の調節ができず、音が耳に響くケースもあります。

脳機能の影響

脳のはたらきの影響によって、聴覚過敏になることもあります。例えば、てんかんや片頭痛などを併発している場合は、周囲の音に敏感になるケースがあります。

精神的要因

過度なストレスや過労といった精神的な負担も、聴覚過敏が現れる要因になります。ストレスや疲労がたまると、自律神経が過剰にはたらきやすく、音が割れるように聞こえたり、特定の音によって頭痛や吐き気の症状が出ることがあります。

発達障害や精神疾患

自閉スペクトラム症(ASD)などの発達障害がある方の中には、聴覚過敏の特性がある方もいます。他にも、うつ病、不安障害などの精神疾患が原因で、聴覚過敏になっている可能性があります。

仕事や日常生活で使える聴覚過敏の対策

仕事や日常生活で音に関する対策としては、「物理的な遮断」と「環境の調整」の2つがあります。物理的な遮断は、耳栓やイヤーマフの活用が挙げられます。環境の調整は、少しでも外部からの音を抑えられるよう自宅の環境を整えること、職場では上司や同僚に相談し、座席の変更や業務指示にツールを利用することなどが挙げられます。

耳栓やイヤーマフの活用

ちょっとした物音や生活音が気になり、心身の負担につながる方もいます。そこで音を和らげる対策として、耳栓やイヤーマフの活用がおすすめです。
耳栓には、ポリウレタン製の軽い素材でできた一般的なタイプの他、ノイズキャンセリング機能を搭載した電子耳栓(デジタル耳栓)やノイズキャンセリングイヤホンなどがあります。イヤーマフは、ヘッドホンのように耳全体を覆って遮音するアイテムです。
以下の表では、耳栓・電子耳栓・ノイズキャンセリングイヤホン・イヤーマフの違いを比較しています。

耳栓 電子耳栓(デジタル耳栓) ノイズキャンセリングイヤホン イヤーマフ
特徴 耳の中に入れて音を和らげる
軽量・安価・持ち運びしやすい
周囲の音を電子的に抑える
音楽再生を目的としていない製品が多い
 
ノイズキャンセリング機能により、周囲の雑音をカットして小音量でもクリアな音楽が聴ける
通話機能がついているものがある    
ヘッドホン型で耳全体を覆って遮音する
耳の中に入れないため、耳への負担を感じにくい場合がある
遮音性 騒音を和らげる 騒音は抑えられる
人の声やアナウンスは聞き取れる製品もある
電車や空調音などの低音の雑音を軽減しやすい 比較的遮音性が高い
価格帯 比較的安価 やや高価 比較的高価 製品によって幅がある

音の感じ方には個人差があるため、自分に合った遮音グッズを選ぶようにしましょう。

自宅での生活環境を整える

生活環境を整えるのも1つの手段です。まずは、ストレスを減らすために睡眠や休養が大切です。就寝中の音が気になる場合は、耳栓やイヤーマフを活用して、休みやすい環境を整えましょう。また、防音カーテンや防音マット、音が抑えられた家電を選び、少しでも外部からの音を遮断するようにしてください。

職場での環境調整

職場での聴覚過敏の対策は、壁際や比較的静かな場所への座席の移動、個室やブースの利用などが有効です。業務指示は、直接やり取りすると耳への負担になることもあるため、メールやチャット、ドキュメントといったツールの利用をおすすめします。他にも、業務中の耳栓着用や、パーティションの設置などを行うことで、音による負担を軽減しやすくなります。
調整の内容によっては、上司の許可や同僚などに相談が必要なこともあるでしょう。音による負担は他人からは分かりにくいため、配慮を相談する場合は診断書を提出するなど、具体的に困っている内容を話すことが大切です。聴覚過敏の原因が障害にある場合は、合理的配慮のひとつとして、産業医や人事にも相談してみると良いでしょう。

聴覚過敏がある方が利用できる支援機関一覧

聴覚過敏がある方が相談できる支援機関 特徴
医療機関(耳鼻咽喉科・、心療内科・、精神科・、神経内科) 症状の原因の確認や治療、負担軽減のために相談する。原因によって専門医が異なる
発達障害者支援センター 発達障害のある方が、保健・福祉・就労などの相談をする
障害者就業・生活支援センター 障害のある方が就業面と生活面のサポートを受けられる
ハローワーク 障害者向け窓口があり、専門求人の紹介を受けられる
自立訓練(生活訓練) 障害のある方の日常生活のスキル向上を支援する障害福祉サービス
就労移行支援事業所 一般企業への就職をサポートする障害福祉サービス

聴覚過敏による困りごとは、人によって異なります。耳の不調が背景にある場合もあれば、強いストレスや発達障害・精神疾患などが関係しているケースもあります。そのため、症状や困りごとの内容に応じて、適切な支援機関へ相談することが大切です。
特に、仕事や日常生活に支障が出ている場合は、一人で我慢を続けるのではなく、医療機関や支援機関を活用しながら、自分に合った環境調整や支援を受けることを検討しましょう。

聴覚過敏に関するよくある質問

Q.聴覚過敏の症状は治りますか?

A.症状の原因や程度によって異なりますが、音による負担が軽減するケースもあります。ただ、耳栓やイヤーマフなどの対策グッズを活用しながら、過ごしやすい環境を整えることが大切です。

Q.イヤーマフをしながら仕事をしても良いのでしょうか?

A. 最近では、耳栓やイヤーマフの使用を認める事例が増えています。まずは上司・や人事・産業医へ相談し、可能な対策を検討しましょう。安全管理上の懸念がある場合は、周囲の音をある程度確認しやすいデジタル耳栓などを検討する方法もあります。
耳栓やイヤーマフの着用を相談する際、診断書がある場合は提出するとより理解を求めやすいでしょう。

聴覚過敏による就労のお悩みは就労移行支援「ミラトレ」にご相談 ください

聴覚過敏は、周囲の音が強い苦痛や負担につながり、仕事や日常生活に影響することがあります。聴覚過敏の症状が現れた場合は、一人で抱え込まず適切な医療機関に相談するようにしましょう。また、発達障害や精神疾患などを併発しており、はたらきづらさを感じている場合は、就労移行支援事業所を利用する方法もあります。就労移行支援事業所では、就職や職場定着に向けたサポートを受けることが可能です。
就労移行支援事業所「ミラトレ」では、障害のある方が長く安心してはたらきつづけるためのサポートを行っています。お困りごとや就職について支援員が親身にお話をうかがい、一人ひとりの特性や体調に配慮しながら、就職後の定着まで総合的に支援いたします。聴覚過敏への対策などでお悩みの方は、ぜひ就労移行支援事業所「ミラトレ」にご相談ください。

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監修者:戸田 幸裕(とだ ゆきひろ)

パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー
上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】
■国家資格キャリアコンサルタント
■障害者職業生活相談員