基礎知識

公開日:2026/5/29
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就職ガイド –はたらく選択肢-

SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは?職場でのコミュニケーション改善に役立てるには

SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは?職場でのコミュニケーション改善に役立てるには

「職場で上司への相談がうまくできない」「断り方が分からずに仕事を抱え込んでしまう」といった対人関係の困難は、コミュニケーションに苦手意識を持つ多くの方が感じていることです。特に障害のある方で転職・復職を目指している方や、職場でのコミュニケーションに課題を感じている方にとって、SSTは具体的な改善策となり得ます。
本記事では、SST(ソーシャルスキルトレーニング)の概要や訓練内容、大人がSSTを受けられる場所、SSTの効果について解説します。

【この記事で分かること】
● SSTとはどのような訓練なのかの基本的な概要
● 職場でのどのような困りごとにSSTが役立つか
● 大人がSSTを受けられる具体的な場所・機関
● SSTを受けることで期待できる効果

SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは?

SSTとは、社会生活において対人関係の困難を抱える方が、ロールプレイングやゲームなどの実践を通じてソーシャルスキルを身につけるための訓練のことです。
ソーシャルスキルとは、社会の中で他者と関わりながら生活していくための能力を指し、具体的にはコミュニケーション能力、感情のコントロール、共感性、協調性などが含まれます。SSTは認知行動療法から発展した手法であり、知識として持つだけでなく、実践を通して行動パターンを身につけることを目的としています。現在では精神科領域のほか、医療、産業、福祉、教育など幅広い領域で活用されています。

※参考:一般社団法人 SST普及協会

SSTの対象

SSTの対象は、対人関係がうまくいかず生きづらさや悩みを感じている子どもから大人まで、幅広く含まれます。発達障害や精神障害のある方は、相手の気持ちを理解したり、良好な関係を築いたりすることに困難を感じることがあり、SSTは有効な支援手段として活用されています。また、診断の有無にかかわらず、対人関係や感情のコントロールに苦手意識がある方、社会との関わりに不安やストレスを感じている方もSSTの対象です。

SST(ソーシャルスキルトレーニング)が役立つ、職場での困りごと

SSTは、職場における以下のような困りごとの改善に役立ちます。
  • 困りごと例
    ・あいさつの仕方やタイミングがわからない
    ・指示された内容がわからない
    ・仕事の相談ができない
    ・相手に余計なことを言ってしまう
    ・ミスをしたときに謝れない
    ・仕事をうまく断れない
    ・仕事の加減がわからず残業が増えてしまう
これらの困りごとに共通しているのは、「その場に応じた適切な振る舞いや言葉の選び方を、具体的な技術として練習したことがない」という点です。SSTでは、こうした場面を想定したロールプレイングや訓練を繰り返すことで、職場で役立つコミュニケーション能力を実践的に身につけることができます。知識として「こうすると良い」と理解していても、実際の場面で行動に移すことが難しい方にとって、SSTは非常に効果的なトレーニングです。

SST(ソーシャルスキルトレーニング)の内容

SSTは主に少人数グループに分かれて行われ、以下のような手法を組み合わせて訓練を進めます。
  • 訓練内容
    ・ロールプレイング:実際の場面を想定して役割を演じながら学ぶ
    ・ゲーム:ルールの遵守や他者との協力を通じたスキル習得
    ・ディスカッション・ディベート:複数人での話し合いを通じて意見の伝え方や傾聴力を習得

ロールプレイング

ロールプレイングでは、具体的な状況設定で適切な受け答えや行動を学びます。例えば「上司からの依頼を上手に断る」といったテーマを設定し、役割を分けて会話を練習します。この練習では、相手を尊重しつつ自分の気持ちや意見を率直に伝える「アサーション」の考え方が重要です。一方的な主張とならない表現を、実践を通して習得していきます。

※関連記事:「ミラトレで学べる「アサーション」とは?実際の講座を体験レポート!

ゲーム

ゲームを用いたSSTは、遊びの要素を取り入れることで、緊張を和らげながらスキルを練習できる点が特徴です。ルールを守ることや他の参加者と協力して進めること、勝敗結果を受け入れることといった要素が、自然な形でソーシャルスキルの習得につながります。また、感情のコントロールや競争場面での適切な振る舞いを学ぶ機会にもなります。

ディスカッション・ディベート

グループでのディスカッションやディベートでは、複数人での話し合いを通じて相手の話を最後まで聞く力、自分の意見を整理して伝える力、異なる意見を受け入れる姿勢などを学びます。職場の会議や打ち合わせを想定した設定で行われることも多く、実際の業務場面に近い経験を積むことができます。発言することに不安を持つ方にとっても、安全な環境で発言の練習ができる機会となります。

大人がSST(ソーシャルスキルトレーニング)を受けられる場所

大人がSSTを受けられる場所は、医療機関から福祉施設まで多く存在します。主な受講先は以下のとおりです。
  • 受講先例
    ・精神科のデイケア・メンタルクリニック
    ・ハローワーク
    ・就労移行支援事業所
    ・就労継続支援A型・B型事業所
    ・障害者就業・生活支援センター
    ・地域活動支援センター など
精神科のデイケアや一部のメンタルクリニックでは、SSTがプログラムとして組み込まれています。専門のスタッフによるサポートのもと、継続的にスキルを身につけることができます。また、ハローワークや就労移行支援事業所でも、コミュニケーション訓練の一環としてSSTを取り入れていることが多く、利用登録後に参加することが可能です。
障害者就業・生活支援センターでは、有料のワークショップ形式でSSTを実施している場合があります。また、地域活動支援センターでは、社会参加や生活支援の一環としてSSTを取り入れていることがあり、日常生活でのあいさつや会話の練習を中心に実施されています。
各機関によって利用条件や手続き、プログラム内容が異なるため、事前に問い合わせて確認しておくと安心です。

SST(ソーシャルスキルトレーニング)の効果

SSTを継続的に受けることで、職場でのコミュニケーション能力の向上、円滑な人間関係の構築、業務ストレスの軽減といった効果が期待できます。

職場での実践的なスキルが身につく

SSTでは、職場で役立つ言葉や行動、振る舞い方を身につけられます。顧客対応時の情報の伝え方や、上司への報連相のタイミング・手順を実践的に練習します。さらに、表情や声のトーン、相槌の仕方など非言語コミュニケーションも含めて学び、より自然なコミュニケーション能力を高めていきます。

職場での人間関係が円滑になる

SSTで身につけたアサーティブなコミュニケーションを実践することで、職場の人間関係はより良好になります。相手を不快にさせずに自分の意見や状況を伝えられるようになると、誤解やトラブルが減り、上司・同僚とのやり取りもスムーズになります。「どう言えば良いか分からない」と悩む場面でも、練習したスキルを活かして対応できるようになります。

※関連記事「障害のある人の就職にも役立つアサーションとは?言いたいことを上手に伝えるスキル

業務の負担が減り、ストレス緩和につながる

対人場面への恐怖感や緊張が和らぐことで、日々のストレスが軽減されます。適切に相談や報告ができるようになると、仕事の抱え込みや残業が減り、業務の効率化にもつながります。また、「できた」という成功体験が積み重なることで自己肯定感が高まり、精神的な安定を保ちやすくなるという効果も期待できます。

SST(ソーシャルスキルトレーニング)に関するよくある質問

Q.SST(ソーシャルスキルトレーニング)の具体例はありますか?

A. SSTの具体例として、以下の場面を想定しロールプレイングで実践することがあります。
  • 具体例
    ・上司に質問するときの適切なタイミングと言葉の選び方
    ・無理な依頼を受けたときの断り方
    ・仕事でミスをした際の謝罪の仕方 など

Q.SST(ソーシャルスキルトレーニング)の効果が出る期間はどのくらいですか?

A. SSTの効果が出る期間は、個人の状況や目的、参加頻度によって異なります。短期間で集中的に訓練すれば、1カ月ほどで変化を実感できるケースもあります。ただし、日常で安定して活用するためには、継続的な練習と実践経験が重要です。

コミュニケーションや対人関係で悩んでいる場合は就労移行支援事業所「ミラトレ」に相談しよう

SSTは、対人関係について抱えている悩みを少しずつ解消していく方法です。会話や対応の仕方を実践的に学び、自分らしく無理のないコミュニケーションを身につけていきます。小さな成功体験を積み重ねることで、不安が和らぎ、日常や職場での人間関係も少しずつ楽になっていきます。

パーソルダイバースが運営する就労移行支援事業所「ミラトレ」では、コミュニケーション講座や実践的トレーニングなど、職場で役立つプログラムを用意しています。専門スタッフのサポートのもとで、自分のペースに合わせてスキルを身につけることが可能です。
職場でのコミュニケーションに悩んでいる方、就職・復職を目指している方は、就労移行支援事業所「ミラトレ」へお気軽にご相談ください。

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監修者:戸田 幸裕(とだ ゆきひろ)

パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー
上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】
■国家資格キャリアコンサルタント
■障害者職業生活相談員