基礎知識

公開日:2026/7/31
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就職ガイド –はたらく選択肢-

発達障害のある方が報連相で悩む理由とは?原因と職場でできる対策を解説

発達障害のある方が報連相で悩む理由とは?原因と職場でできる対策を解説

報連相とは、「報告・連絡・相談」の3つを指し、職場で円滑に仕事を進めるために欠かせない基本的なコミュニケーションです。しかし、発達障害の特性や職場環境などが影響し、報連相に苦手意識を抱えている方も少なくありません。「何を、誰に、いつ伝えれば良いのか」が分からず、悩んでいる方もいるでしょう。
本記事では、発達障害のある方が報連相に苦手意識を持ちやすい原因や仕事への影響、実践しやすい工夫や就労支援機関について解説します。

発達障害のある方が報連相に苦手意識を持つ背景には、ADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉スペクトラム症)などの特性が影響している場合があります。ただし、発達障害の特性だけが原因とは限らず、職場環境や業務内容との相性が関係していることもあります。自分に合った報連相の方法を見つけたり、必要な配慮について相談したりすることで、はたらきづらさを軽減できる場合があります。大切なのは、一人で抱え込まず、自分に合った工夫や支援を活用しながら、安心してはたらき続けられる環境を整えることです。

【この記事で分かること】
●報連相(報告・連絡・相談)が苦手になりやすいパターン
●発達障害の特性や職場環境が報連相に与える影響
●職場で実践できる報連相の工夫
●就労支援機関で受けられるサポート内容

目次

仕事で報連相ができないときによくあるパターン

報連相が苦手な場合、どこでつまずいているのかを把握することが改善への第一歩です。職場で報連相がうまくいかない場面には、以下のようなパターンがあります。
  • うまくいかないパターン
    パターン① 誰に伝えるべきか分からない
    指揮系統が曖昧だったり、複数の上司から指示を受けたりすると、誰に報告すべきか迷ってしまう
    パターン② 何をどこまで伝えるべきか分からない
    優先順位の判断が難しく、内容を一人で抱え込んでしまう
    パターン③ 適切な伝え方が分からない
    口頭・メール・チャットのどれを使うべきか判断できず、話や文章の組み立てにも時間がかかる
    パターン④ 伝えるタイミングが分からない
    状況判断や相手の様子を察することが苦手で、上司の忙しさなどを気にするうちに報告が後回しになる
    パターン⑤ 相手の状況を理解することが難しい
    相手の業務状況や心理状態を推し量れず、一方的なコミュニケーションになりやすい

発達障害のある方が報連相に苦手意識を持ちやすい主な原因

職場で報連相がうまくできない背景には、ADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉スペクトラム症)といった発達障害の特性が関係している場合もあれば、職場環境や業務内容とのミスマッチなど、障害や病気が直接関係しない場合もあります。まずは「なぜ報連相が難しいのか」を把握することが、適切な対策につながります。

ADHD(注意欠如多動症)の特性による影響

ADHDの特性がある方は、不注意や衝動性の影響により、報連相が難しくなることがあります。
例えば、不注意の特性によって、報告や相談が必要なタスクそのものを忘れてしまい、気づいたときには報告が遅れてしまうケースがあります。また、衝動性が強い場合は、相手の状況を十分に確認せずに話しかけてしまい、報連相のタイミングが合わずにコミュニケーションがすれ違うこともあります。

ASD(自閉スペクトラム症)の特性による影響

ASDの特性がある方は、相手の表情や職場の雰囲気を読み取ることが苦手な場合があり、「今話しかけても良いのか」といったタイミングを判断しにくいことがあります。
また、「何かあれば報告してください」といった曖昧な指示では、何をどこまで報告・相談すれば良いのか判断できず、報連相が遅れたり漏れたりすることがあります。

※関連記事「大人の発達障害とは。職場での困りごとや対処方法と相談先

職場環境やミスマッチが影響しているケース

報連相が苦手な原因は、発達障害の特性だけとは限りません。これまで報連相について丁寧な指導を受ける機会がなかった場合や、内気・引っ込み思案な性格から、上司や同僚へ話しかけること自体に心理的なハードルを感じる方もいます。

また、仕事内容に興味を持てず業務上の確認や報告がおろそかになったり、自分の適性に合わない業務を任されていたりすると、ミスや相談の遅れにつながることがあります。さらに、相談しにくい雰囲気の職場では、問題があっても一人で抱え込みやすくなります。そのため、自分の特性だけでなく、はたらく環境が合っているかどうかも見直すことが大切です。

報連相ができないことで生じる仕事の困りごと

報連相が十分にできない状態が続くと、業務の遅れやミスにつながるだけでなく、周囲との信頼関係にも影響することがあります。困りごとを理解したうえで、早めに対策を講じることが大切です。

困りごと1:トラブルの報告遅れによる損失の拡大

ミスやトラブルが発生しても報告するタイミングを逃してしまうと、上司や同僚が早い段階でフォローしづらくなります。
その結果、本来であれば簡単に対応できた問題が深刻化し、取引先への影響や納期の遅れなど、より大きな損失につながることがあります。

困りごと2:一人で仕事を抱え込むことによる納期遅れ

「こんなことを相談して良いのだろうか」と遠慮してしまったり、「完成してから報告しよう」と考えたりして、途中経過を共有できないまま仕事を進めてしまうケースがあります。方向性のずれや問題点に気づくのが遅れてしまい、修正に時間がかかって納期に間に合わなくなることがあります。

困りごと3:周囲との信頼関係の悪化

報連相が不足すると、周囲は仕事の進捗や状況を把握できません。そのため、「順調に進んでいるのか分からず不安」「自分の判断だけで仕事を進めている」と誤解されることがあります。本人にそのつもりがなくても、コミュニケーション不足が原因で信頼関係が損なわれ、相談や協力を得にくくなる可能性もあります。

発達障害のある方が職場で実践できる報連相の対策

報連相は、「苦手だからできない」と諦める必要はありません。自分に合った方法を取り入れ、職場とルールを共有することで、負担を減らしながら実践しやすくなります。例えば、以下のような工夫が有効です。
  • 有効な工夫
    ●テンプレートやチェックリストを活用する
    ●チャットツールやメールを活用する
    ●報連相を行うタイミングをルール化する
    ●報連相が難しい状況を事前に共有する

テンプレートやチェックリストの活用

報告内容を毎回一から考えることが負担になる場合は、テンプレートやチェックリストを活用しましょう。
例えば、次のような項目をあらかじめ決めておくことで、情報を整理しやすくなり、伝え漏れの防止にもつながります。
  • 報告の例
    ・何が起きたか
    ・現在の状況
    ・自分が行った対応
    ・今後の相談事項
この順番で伝えることで、相手も内容を把握しやすくなります。また、報告前にチェックリストを確認する習慣をつけることで、より正確でスムーズな報告がしやすくなるでしょう。

チャットツールやメールの活用

口頭で説明することが苦手な場合は、チャットツールやメールなど、文章で伝えられる手段を活用する方法もあります。文章であれば内容を整理しながら伝えられるだけでなく、送信履歴が残るため、伝達漏れや認識のずれを防ぎやすくなります。ただし、緊急性の高い内容は口頭や電話でも報告するなど、状況に応じて使い分け・併用のルールを決めておくことが大切です。

報連相を行うタイミングのルール化

「いつ報告すれば良いか分からない」という場合は、上司と具体的なルールを決めておくと安心です。例えば、「毎朝10時に進捗を報告する」「作業が50%進んだら一度共有する」など、時間や進捗状況を基準にすると迷いにくくなります。判断に悩む場面が減り、報告の習慣化にもつながります。

「報連相が難しい状況」の事前共有

報連相が難しい理由や、自分が困りやすい場面を事前に上司へ伝えておくことも大切です。近年は、自分の特性や必要な配慮を周囲へ伝えることを指す「セルフアドボカシー(自己権利擁護)」の重要性も注目されています。
例えば、「口頭よりチャットの方が伝えやすい」「曖昧な指示は理解しづらいため、具体的に伝えてほしい」といった希望を共有することで、合理的配慮を受けやすくなり、はたらきやすい環境づくりにつながります。

報連相などのビジネススキルの定着や就職活動をサポートしてくれる就労支援機関

報連相に苦手意識がある場合は、一人で改善しようと抱え込まず、就労支援機関を活用することも大切です。専門的な支援を受けることで、自分に合ったコミュニケーション方法を身につけながら、安心して就職・復職を目指せます。

ハローワークの専門援助窓口

ハローワークには、障害のある方の就職を支援する専門援助窓口が設けられています。障害者雇用枠の求人紹介を受けられるほか、自分の障害特性や必要な配慮を企業へどのように伝えれば良いかといったアドバイスも受けられます。応募書類の作成や面接対策など、就職活動全般について相談できる点も特徴です。

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所は、一般企業への就職を目指す障害や難病のある方を対象とした福祉サービスです。就職に必要な知識やスキルを身につけるための訓練に加え、応募書類の作成や面接練習などの就職活動支援、さらに就職後に職場へ定着するためのサポートも受けられます。利用するには、原則としてお住まいの自治体が発行する障害福祉サービス受給者証が必要です。

就労移行支援で学べる報連相のスキル

就労移行支援事業所では、あいさつや返事といった基本的なビジネスマナーに加え、報告・連絡・相談を適切に行うためのコミュニケーションスキルを実践的に学べます。例えば、上司へ話しかけるタイミングや伝え方の工夫、相談するときの言葉の選び方などを、ロールプレイや模擬業務を通して練習できる事業所もあります。実際の職場を想定した訓練を繰り返すことで、自信を持って報連相を行えるようになるでしょう。

発達障害のある方の報連相に関するよくある質問

Q.「報連相」はどこまで行えば良いですか?

A. 基本的には、「困る前・トラブルになる前」を目安に報連相を行いましょう。判断に迷ったときは、抱え込まずにその都度伝えることが大切です。口頭でのやり取りが苦手な場合は、チャットやメールなどのテキストツールを積極的に活用するのもおすすめです。

Q. 報連相が苦手なまま就職しても大丈夫ですか?

A. 報連相に苦手意識があっても就職は可能です。テンプレートやチェックリストを活用したり、自分に合った報告方法を取り入れたりすることで、負担を軽減できます。また、就労移行支援などで実践的な訓練を受けることで、就職前に報連相のスキルを身につけることもできます。事前に対策や訓練を行うことではたらきやすくなるでしょう。

Q. 就労移行支援では報連相の練習ができますか?

A. 多くの就労移行支援事業所では、ビジネスマナーやコミュニケーション訓練の一環として、報連相の方法を学べます。ロールプレイや模擬業務を通して実践的に練習できるため、就職後の職場でも活かしやすくなります。

発達障害の特性があり就労に悩んでいる方はミラトレに相談しよう

報連相が苦手な背景には、発達障害の特性だけでなく、職場環境や業務とのミスマッチが影響している場合もあります。大切なのは、一人で抱え込まず、自分に合った方法で報連相しやすい仕組みをつくることです。必要に応じて就労支援機関も活用しながら、自分に合ったはたらき方を目指しましょう。


就労移行支援事業所「ミラトレ」では、コミュニケーション講座や擬似就労などの実践的なプログラムを通じて、報連相やビジネスマナーを身につけることができます。擬似就労の時間を設けているため、実際の仕事を想定しながら、上司への報告や相談のタイミング、伝え方の工夫などを実践的に学べることが特徴です。
また、一人ひとりの状況や特性に合わせて、コミュニケーション面の課題を整理し、自分に合った対応方法を支援員と一緒に練習しながら身につけていくことができます。就職活動のサポートだけでなく、仕事を安定して続けるための習慣づくりや職場定着に向けた支援も行っているため、安心して就職を目指せます。
「報連相に苦手意識がある」「職場でのコミュニケーションに不安がある」という方は、まずはお気軽に「ミラトレ」の支援員にご相談ください。

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監修者:戸田 幸裕(とだ ゆきひろ)

パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー
上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】
■国家資格キャリアコンサルタント
■障害者職業生活相談員