基礎知識

公開日:2026/5/31
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就職ガイド –はたらく選択肢-

ADHDで障害者手帳はもらえない?はたらき方が変わるメリットと注意点を解説

ADHDで障害者手帳はもらえない?はたらき方が変わるメリットと注意点を解説

ADHDと診断を受けた、あるいは診断を検討している方の中には、「障害者手帳を取得することで生活やはたらき方はどう変わるのか」「そもそも取得できるのか」という疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。手帳を持つことへの期待と、「もらえなかったらどうしよう」「本当に取得すべきなのか」という不安が交錯し、なかなか一歩を踏み出せないというケースは少なくありません。
本記事では、ADHDにおける障害者手帳の取得可否やメリット、注意点、そして取得後のはたらき方について解説します。

【この記事で分かること】
●ADHDで障害者手帳を取得できるかどうか
●障害者手帳がもらえない場合の主な理由
●障害者手帳を取得することで得られるメリットと注意点
●障害者手帳取得後のはたらき方と、活用できる支援サービス

ADHDで障害者手帳はもらえる?

ADHDと診断された場合、条件を満たすことで障害者手帳を取得できます。ADHD(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder、注意欠如多動症)は、不注意・多動性・衝動性を主な特性とする発達障害の一つです。
障害者手帳には「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の3種類があり、ADHDの場合は精神障害者保健福祉手帳が取得対象となります。また、知的障害を伴う場合には、療育手帳を取得することもできます。

精神障害者保健福祉手帳の等級と判定基準

精神障害者保健福祉手帳の等級は1級から3級まであり、日常生活や社会生活における制限の程度によって判定されます。以下の表は、厚生労働省が定める判定基準をもとにまとめたものです。
等級 障害の状態
1級 精神障害により、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
2級 精神障害により、日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
3級 精神障害により、日常生活もしくは社会生活が制限を受けるか、または日常生活もしくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの

※参考:厚生労働省「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について

ADHDの場合は3級または2級に該当する例があります。ただし、等級は医師の診断書をもとに判定基準に従って決定されます。個々の状態によって結果が異なるため、上記はあくまでも目安としてお考えください。

※関連記事「精神障害者保健福祉手帳とは?申請方法からメリットまでを解説いて
※関連記事「療育手帳とは?申請方法やメリット・デメリット、受けられるサービスについて解説します!

ADHDで障害者手帳をもらえない場合はある?

ADHDの診断を受けた方であっても、「医師の確定診断がない」または「初診日から6カ月以上経過していない」という場合、障害者手帳が交付されないことがあります。

医師の確定診断がない

精神障害者保健福祉手帳を申請するには、医師から正式に診断書が発行されている必要があり、確定診断がない場合には申請ができません。症状が診断基準を満たさない、いわゆる「グレーゾーン」と呼ばれる状態では確定診断がおりないことがあります。また、診察の場で日常生活や仕事における困りごとを十分に伝えられず、確定診断に至らないケースも少なくありません。現在の診断結果に納得できない場合は、別の医療機関でセカンドオピニオンを検討することも一つの方法です。

※関連記事「大人の発達障害グレーゾーンとは?困りごとへの対処や仕事探しのポイント

初診日から6カ月以上経過していない

精神障害者保健福祉手帳の申請には、初診日から6カ月以上経過していることが要件となっています。これは、手帳の交付が「継続的な診断」や「経過観察」の実績をもとに行われるためです。診断を受けたばかりの方は、定期的な通院を続けながら、初診から6カ月後以降の申請を検討しましょう。その間も日々の困りごとを記録しておくと、診断書作成の際に役立ちます。

ADHDで障害者手帳はもらうべき?取得のメリットとは

ADHDと診断を受けたからといって、障害者手帳の取得が義務付けられているわけではありません。取得するかどうかは個人の自由であり、メリットを感じなければ取得しないという選択も十分に尊重されます。
一方、取得することで得られるメリットは多岐にわたります。主なメリットは以下のとおりです。
  • 取得メリット
    ●障害者雇用枠に応募できる
    ●税金控除や医療費助成などを受けられる
    ●障害のある方向けの割引制度を利用できる

障害者雇用枠に応募できる

障害者手帳を取得すると、障害者雇用促進法に基づく「障害者雇用枠」を設けている企業への応募が可能になります。障害者雇用枠では、障害への理解や配慮を前提とした環境が整備されていることが多く、ADHDの特性に合わせたはたらき方を実現しやすくなります。ADHDの特性は外見からは分かりにくいため、障害者手帳を取得することで、ADHDに起因する困りごとが「本人の努力だけではカバーしきれない」ものであることを示す公的な証明となります。「業務指示を口頭と文書で伝えてもらう」「席を静かな場所に配置してもらう」などの合理的配慮を求める際にも、手帳の存在が周囲の理解を促すきっかけとなることが期待できます。

税金控除、医療費助成などを受けられる

障害者手帳を取得すると、自立支援医療費制度(精神通院医療)を利用できる場合があります。この制度を利用すると、通院医療費の自己負担額が原則1割に軽減されます。特に、継続的な通院や服薬など長期的な治療が必要な場合は、医療費の大幅な負担軽減につながるでしょう。
また、所得税や住民税では「障害者控除」の対象となり、税負担の軽減にもつながります。具体的な控除額は所得や等級によって異なりますが、経済的な負担が軽減される場合があります。

障害のある方向けの割引制度を利用できる

障害者手帳を提示することで、さまざまな割引制度を利用できます。例えば、携帯電話料金、鉄道・バスなどの交通機関、映画館、美術館・博物館の入場料、テーマパークの入場料などが挙げられます。自治体によって利用できるサービスの内容は異なりますので、お住まいの地域の福祉窓口でご確認ください。

※関連記事「精解説精神障害者保健福祉手帳2級を取得するメリットとは?控除や利用できるサービスを詳しく解説
※関連記事「精神障害者保健福祉手帳3級を取得するメリットは?受けられるサービスや控除を解説

障害者手帳の取得にデメリットはある?

障害者手帳の取得によって、直接的なデメリットが生じることはほぼありません。ただし、心理的な抵抗感や更新の手間については、事前に理解しておくことが大切です。

周囲への開示義務はない

障害者手帳を取得しても、職場や家族・、友人などに開示する義務はありません。手帳は自分から提示・申告しない限り、周囲に知られることも基本的にありません。ただし、職場において合理的配慮を求める場合には、ADHDの診断を受けていること、または手帳を持っていることを申告する必要があります。開示のタイミングや伝え方については、支援機関のスタッフなどと相談しながら検討することをおすすめします。

2年ごとの更新がある

精神障害者保健福祉手帳の有効期間は2年間です。継続して手帳を所持するには、2年ごとに更新手続きを行う必要があります。更新の際には改めて診断書が必要となるため、定期的な通院を続けていることが前提です。
また、更新時の再判定の結果によっては、等級が変更される場合もあります。症状の変化によって等級が上がることも下がることもあるため、その点についても把握しておきましょう。

障害者手帳取得後のはたらき方と就労移行支援

障害者手帳を取得したからといって、はたらき方の選択肢が一つに限られるわけではありません。自身の障害特性やライフスタイルに合わせた柔軟なはたらき方を選択できます。

ADHDの特性がある方が障害者手帳を取得した場合、障害者雇用枠への応募が可能になります。障害者雇用枠では、職場から合理的配慮を受けながらはたらき続けやすい環境を整えられる点が特徴です。応募先の選択肢が広がることで、自分に合った職場環境を見つけやすくなるというメリットもあります。
一方、手帳を取得した後も一般雇用枠ではたらき続けることも可能です。実際に、手帳を取得した後も一般雇用枠のまま在籍し、職場へ合理的配慮を求めながらはたらき続けるケースも多くみられます。

「自分に合う仕事がなかなか見つからない」「新しい職場で続けていけるか不安」という方には、就労移行支援事業所を活用する方法もあります。就労移行支援とは、障害がある方が一般企業への就職を目指す際に、必要な知識やスキルの習得、応募書類の作成サポート、面接練習、就職後のフォローアップなど、包括的な支援を受けられる福祉サービスです。
就労移行支援事業所「ミラトレ」では、ADHDをはじめとした発達障害がある方の就職をトータルでサポートしています。手帳取得に関するご相談も承っておりますので、はたらき方にお悩みの方はお気軽にご連絡ください。

ADHDの特性がある方の障害者手帳取得に関するよくある質問

Q. 障害者手帳を途中で返納することは可能ですか?

A. 可能です。症状の改善や心境の変化などの理由から、途中で返納する方もいらっしゃいます。返納した場合、それ以降は手帳に紐づく各種支援・割引制度の利用ができなくなるため、主治医や支援機関に相談したうえで判断することをおすすめします。

Q. 障害者手帳がないと就労移行支援は利用できませんか?

A. 就労移行支援の利用には、「障害福祉サービス受給者証」が必要です。受給者証は障害者手帳がなくても、医師の診断書または意見書があれば自治体が交付する場合あります。手帳の取得と就労移行支援の利用は必ずしもセットではないため、手帳をお持ちでない方はまずはご相談ください。

ADHDの手帳取得についてお悩みの場合は就労移行支援事業所「ミラトレ」に相談しよう

ADHDの特性がある方は「精神障害者保健福祉手帳」、知的障害を伴う場合は「療育手帳」が取得対象となります。申請には医師による診断と初診日から6カ月以上の経過が必要ですが、手帳を取得することで、障害者雇用枠への応募や税制優遇、医療費助成などさまざまな支援を受けられます。一方で取得は義務ではなく、一般雇用枠ではたらき続けることも可能です。
ミラトレでは、手帳の取得に関するご相談やサポートを行っており、専門のスタッフが丁寧に対応いたします。「手帳の取得を検討しているが、何から始めればいいかわからない」「はたらき方を見直したい」とお考えの場合は、就労移行支援事業所「ミラトレ」にお気軽にご相談ください。

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ミラトレの確かな実績 ミラトレの確かな実績

監修者:戸田 幸裕(とだ ゆきひろ)

パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー
上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】
■国家資格キャリアコンサルタント
■障害者職業生活相談員